実家じまいの悩みは何が多いのか|知恵袋61件を分類した
実家じまいで何に詰まるのかは、始める前にはわかりません。そこで、実際に困って書き込まれた質問を集めて数えました。
Yahoo!知恵袋から61件を拾って分類したところ、最も多かったのは売却でも費用でもなく、親が物を捨てない段階でした。
この記事の目次
どうやって数えたか(先に方法と限界を出します)
この記事の数字は、当編集部がYahoo!知恵袋を実際に検索して集計したものです。 どこかの調査会社の発表ではないので、方法をそのまま書きます。
- 収集日:2026年8月6日
- 方法:Brave Searchで
site:detail.chiebukuro.yahoo.co.jpを指定して検索 - クエリ:「実家じまい」「実家 借地 解体 地主 返す」「実家 片付け 親 捨てない」「実家 相続 兄弟 揉める 空き家」の4本
- 件数:61件(タイトルと本文冒頭で中身が判別できたものだけを数えました。 重複と、実家じまいと関係のないもの(同名のドラマの感想、実家暮らしの是非など)は外しています)
限界も先に書きます。これは知恵袋の全質問から無作為に抜いたものではなく、 上の4本のクエリで拾える範囲です。片付けと相続を名指しで引いているので、 その2つは構造的に多めに出ます。ですから以下の件数は 「この4本で見える範囲の傾向」までしか意味しません。順位を絶対のものとして読まないでください。
分類の結果。最多は売却でも費用でもなかった
| 分類 | 件数 | 中身 |
|---|---|---|
| 親が物を捨てない(親が存命) | 18 | もったいない、まだ使える、高かったから。捨てると怒る |
| 相続・名義・兄弟の分け方 | 11 | 誰が継ぐか、住んでいる兄弟の扱い、共有のまま動かない |
| 費用と業者選び | 9 | 相場がわからない、見積りが妥当か、無許可業者への不安 |
| 売却の出口が無い | 8 | 値下げしても売れない、固定資産税だけ出ていく |
| 仏壇・墓・神棚の行き先 | 7 | 罰当たりではないか、宗派がわからない |
| 近隣・境界 | 4 | 挨拶の範囲、隣人が測量に協力しない |
| 感情(喪失感・罪悪感) | 3 | 生家が無くなる寂しさ、勝手に捨てた後ろめたさ |
| 手続きの実務 | 1 | 光回線と固定電話をどちらの会社に解約を出すか |
実家じまいの記事は、費用や売却の話から始まるものが多くあります。 しかし実際に書き込まれている悩みは、その手前で止まっているものが最も多いという結果でした。 親が存命で、まだ何ひとつ売る段階に来ていない人たちです。
最多だった「親が物を捨てない」の中身
18件を読むと、止まり方には型があります。
親側の言い分は3つに集まる
「もったいない」「まだ使えるから」「高かったから」。この3つが繰り返し出てきます。 実際には何年も使っていない物についても、同じ言葉が返ってきています。
先送りの理由は季節で回る
「冬は寒い」「夏は暑い」「春は花粉症が辛い」と、季節を理由に先送りが続いた例がありました。 理由が入れ替わるので、待っていても着手日が来ません。
子の側は「勝手に捨てる」に傾いていく
親のいない日に少しずつ処分している、という書き込みが複数ありました。 気づかれなかったという報告もあれば、気づかれて強く怒られたという報告もあります。 どちらに転ぶかは事前にはわかりません。
ここで一つだけ、順番の話をします。親が存命のうちに子が処分を進める場合、 物の持ち主は親です。所有権の所在が変わらないまま進めると、 関係が壊れたときに片付け自体が止まります。 先に触ってよい範囲を決める方法は 親が実家の片付けを嫌がるとき|先に触っていい場所で扱っています。
実額が書かれていた投稿を拾う
61件のうち、金額や量が具体的に書かれていたものを抜き出します。 いずれも投稿者の自己申告であり、条件(間取り、物量、地域)はそろっていません。 幅を持って読んでください。
- 片付け業者に依頼:賃貸2DK・足の踏み場もない状態で約20万円
- 片付け業者に依頼:2階の2部屋で75,000円(写真は分けて残してもらえた)
- 自力で処分:燃えるゴミが47袋。1度に出さないよう自治体から言われた
- 自力で処分:親と祖母の2軒分で2年かかった
業者に頼んだ2件は、7万円台と20万円で3倍近い開きがあります。 間取りが違うので当然ですが、費用の見当を1つの数字で持つと外れます。 間取り別の相場と、その相場表が事業者ごとにずれる理由は 遺品整理の費用相場|間取り別の目安と追加料金の内訳にまとめました。
自力の2件で目を引くのは、金額ではなく時間と回数のほうです。 47袋を一度に出せないという制約は、自治体の収集ルールから来ています。 自力を選ぶ場合、費用ではなく往復の回数が効いてきます。
仏壇と神棚は、費用より先に「罰当たりか」で止まる
7件のうち複数で、金額の質問より先に 「罰当たりじゃないでしょうか」という問いが立っていました。
具体的には、魂抜きをした後の仏壇を自治体の粗大ごみに出してよいか、という質問です。 費用面から自治体を選びたいが、それが許されるのか判断できない、という止まり方でした。
神棚では別の詰まり方が出ています。稲荷を祀った神棚で、 どの神社から迎えたものか記録が残っておらず、返す先が特定できないという例です。
どちらも、手順の情報が足りないのではなく、 判断してよいという後押しが無いために止まっています。 仏壇の扱いは仏壇の処分方法と費用|魂抜きから引き取りまでの順番、 神棚は神棚の処分方法とお札の扱い|神社に返す手順で それぞれ整理しています。
件数は少ないが、放っておけない分類が2つある
近隣・境界(4件)
挨拶の範囲を聞く質問が中心ですが、1件だけ性質が違うものがありました。 売却のため測量を始めたところ、隣家の1軒だけが立ち会いに協力せず、 境界が確定できずに止まっている、というものです。
境界が確定しないと売買が進みません。これは片付けや費用と違い、 自分の側の努力では動かせない種類の詰まりです。 売却の手順で境界をどこに置くかは 実家を売る手順と相場の調べ方|更地と現状の比較で扱っています。
手続きの実務(1件)
件数は1件ですが、内容が具体的でした。 実家の光回線を解約したいが、NTTの回線契約とホームゲートウェイ、 プロバイダの契約とレンタル機器で、どこにどの解約を出せばよいのかわからない、というものです。
水道と電気は情報が多い一方、通信の契約は会社をまたぐぶん手順が見えにくくなります。 この点は空き家の水道と電気は止める?残す場合の費用に 通信と受信料の章を足して扱うことにしました。
この集計から編集部が読み取ったこと
3つあります。
1つ目。実家じまいの入口は、売却ではなく片付けです。 61件のうち18件が、親が存命で物が動かない段階にいました。 費用や税金の記事が役に立つのは、その先まで進んだ人だけです。
2つ目。止まっている理由の多くは、情報不足ではありません。 仏壇を粗大ごみに出してよいかという質問は、手順を知らないから出るのではなく、 決めてよいと言ってくれる相手がいないから出ています。
3つ目。件数の少ない分類ほど、詰まると重い。 境界の非協力や、借地の更地返還は、件数としては少数です。 しかし当たった人は自分の努力では動かせず、費用も時間も跳ね上がります。
当サイトは、沖縄に売れない土地を相続してそのまま維持している立場で運営しています。 毎年の固定資産税は約7万円で、これは今も払い続けています。 出口が見つからないまま持ち続ける側にいるので、 「早く売りましょう」とは書けません。この集計も、その立場から読んだものです。
この集計を今後どう更新するか
今回は61件、クエリ4本での集計です。分類の比率を確かなものにするには、 件数とクエリの本数の両方が足りません。
次に更新するときは、クエリを分類ごとに用意して偏りを減らし、 件数を増やしたうえで、収集日を明記して差し替えます。 更新の際は、前回との比較ではなく、その時点の集計として出し直します。 方法が違うものを並べて増減を語ると、実態と関係のない変化が出てしまうためです。
