実家の片付けはどこから?手を付ける部屋の順番

実家を前にして、どこから手を付けるかが決まらないまま止まることはよくあります。
先に触るのは自分の物と居室の床、後に回すのは押入れ・納戸・物置です。後ろの3つには粗大ごみと自治体が収集しない物が集中し、手配が先に要ります。一戸建ての住宅は平均5.62室あり、同時に開けると必ず止まります。
この記事の目次
先に触る場所と、後に回す場所
並びは、判断の速さと、処分ルートの手配が要るかどうかで決まります。公的な統計と自治体の処分ルールを突き合わせると、次の順になります。
| 順 | 場所 | 先に置く理由 | 1回で触る範囲 |
|---|---|---|---|
| 1 | 実家に残っている自分の物 | 親の判断が要らない。処分の実績が先にできる | 段ボール2箱 |
| 2 | 居室・寝室の床と通路 | 転倒事故が最も多い場所。捨てずに動かすだけで効く | 床に置かれた物だけ |
| 3 | 玄関・脱衣所・洗面所・屋外 | 面積が小さく、判断が要る物が少ない | 1か所ずつ |
| 4 | 台所 | 期限で判断できる物が多い。火元でもある | 引き出し1つ、棚1段 |
| 5 | 押入れ・納戸・物置・車庫 | 粗大ごみと、自治体が収集しない物が集中する | 手配を済ませてから1段 |
| 6 | 仏間・アルバム・手紙 | 1点あたりの判断時間が長い | 最後に回し、日を分ける |
この並びには例外が1つあります。書類と貴重品は順番の外に置き、どの部屋で見つけても、その場で作業を止めて別扱いにします。理由は後半の章に書きます。
一戸建ての実家は平均5.62室ある
実家が終わらないのは、散らかり方より先に、部屋の数の問題です。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、居住専用に建てられた住宅のうち一戸建ての1住宅当たり居住室数は5.62室、延べ面積は126.32平方メートルです。専用住宅の全国平均は4.26室・90.86平方メートルなので、一戸建てはそれより1室以上多いことになります(表6、2026年7月31日確認)。
同じ表で、一戸建ての1室当たり人員は0.46人です。部屋の数に対して住んでいる人が少ないのが平均だという意味になります。子が独立して親が1人か2人で暮らす家では、使われなくなった部屋がそのまま物の置き場に変わります。相手は散らかった1部屋ではなく、用途を失った部屋がいくつあるか、です。
ここから出る結論は単純です。5部屋を同時に開けない。1回で開ける場所を1つに限り、開けた場所はその日のうちに閉じます。並行して開けると、出した物が床に残り、次に来たときには着手前より歩きにくい家になります。
1番目:実家に残っている自分の物
最初に触るのは、実家に置いたままの自分の物です。教科書、参考書、部活の道具、卒業アルバム、学生時代の家具、置きっぱなしの本棚。親に相談せずに決められる唯一の範囲になります。
先に置く理由は3つあります。1つ目は、捨てる基準を自分の物で決めておくと、親の物を前にしたときに迷う回数が減ること。2つ目は、自分の物を残したまま親の物を減らそうとすると話が通らないこと。3つ目は、量として無視できないこと。子が2人いれば使われていない部屋も2つあり、そこは何年も開けられていない収納になっています。
やり方は、部屋単位ではなく物の種類で切ります。紙(本・書類・雑誌)、衣類、家具、家電、思い出品の順に見て、紙から出します。紙は資源回収に乗るので、粗大ごみの申込みを待たずに家から出ていきます。家具と家電は、後半の章の手配に回します。
親が住んでいる実家で、片付けそのものが動かない状態から立て直す場合は実家の片付けが進まないときの順番|親が生きている場合のほうに、量と感情と親の抵抗の外し方を分けています。
2番目:居室と寝室の床と通路
2番目は、居室と寝室の床と通路です。捨てる判断をゼロにしたまま効果が出る、片付けの中で唯一の場所になります。床に置かれた物を、既にある収納か、空いた部屋へ移すだけで終わります。
ここを先に置く理由は事故の統計です。内閣府の平成30年版高齢社会白書は、医療機関ネットワーク事業から国民生活センターに提供された事故情報として、65歳以上の住宅内の事故発生場所を居室45.0%、階段18.7%、台所・食堂17.0%と並べています(2026年7月31日確認)。居室が突出しています。
消費者庁の注意喚起も同じ方向を向いています。65歳以上が自宅で転倒したという事故情報は平成27年4月から令和2年3月末までに275件寄せられ、発生場所別に見て最も多く48%を占めます。8割以上が通院や入院が必要なけがで、脚や足を骨折した場合は76%が要入院でした。後期高齢者は前期高齢者の2.2倍です(令和2年10月8日公表、2026年7月31日確認)。
同じ資料の注意点には、電源コードが通り道に来ないように電気製品を置く、という項目が入っています。実家の居間で最初に動かすのは家具ではなく、延長コード、新聞や雑誌の束、紙袋、健康器具、座椅子です。どれも処分の判断をしないまま、置き場所を変えるだけで通路が戻ります。
床が空いてから親と一緒に見ると、次の話が進みやすくなります。歩けるようになったという変化は目で分かるので、次にどこを触るかの合意が取りやすくなります。
3番目:玄関・脱衣所・洗面所、それから庭と駐車場
3番目は玄関、脱衣所、洗面所です。小さい場所から始めることを勧める解説は多く、理由はたいてい達成感の話になります。事故のデータを重ねると、優先する理由がもう1つ出てきます。
消費者庁の同じ資料で、自宅内の発生場所が分かっている144件の内訳は、浴室・脱衣所27件、庭・駐車場26件、ベッド・布団23件、玄関・勝手口22件、階段22件でした(2026年7月31日確認)。面積が小さいのに件数が多いのが、脱衣所と玄関です。
この3か所に共通するのは、判断が要る物の割合が低いことです。玄関にあるのは履かない靴、傘、園芸用品、たたんでいない段ボール。脱衣所と洗面所にあるのは、古いタオル、使いかけの洗剤、期限の切れた薬や化粧品です。相談しなくても決められる物が多く、1回の作業で終わります。
庭と駐車場が2番目に多い点は、実家の片付けでは見落とされます。物干し、脚立、植木鉢、ホース、灯油のポリタンク、割れた鉢の破片。屋外は片付けの対象から外されがちですが、事故が起きる場所としては屋内と並びます。玄関を触る日に、そのまま外まで出るのが効率的です。
4番目:台所は期限で進む。火元でもある
4番目は台所です。物の量が多い割に進みが速い場所になります。期限が書いてあるからです。調味料、缶詰、レトルト、乾物、薬、冷凍庫の中身。日付を見て動かせるので、残すか捨てるかの相談がほとんど発生しません。
台所を早めに入れるもう1つの理由は、火元だからです。総務省消防庁の令和6年版消防白書によると、令和5年中の出火件数は38,672件で、失火が全体の75.2%を占めます。原因別ではたばこが3,498件で最も多く、たき火3,473件、こんろ2,838件と続きます。こんろ火災の主な経過は、放置する・忘れるによるものが1,169件で最多です(2026年7月31日確認)。
片付けの言葉に直すと、こんろの周りに紙と布を置かない、コンセント周りに物を積まない、の2点になります。実家の台所は、こんろ脇に新聞と食用油、レンジ台の裏に延長コードとほこり、という形になりがちです。減らす作業ではなく置き場所を変える作業なので、判断を挟まずに先に済ませられます。
食器だけは例外で、判断が遅い物に入ります。来客用の食器、箱に入ったままの贈答品、漆器。数が多いうえに、値が付くかもしれないという迷いが挟まります。台所を触る日は食器棚を開けないと決めておくと、最後まで走れます。
押入れ・納戸・物置を最後に回す理由
押入れ、納戸、物置、車庫を最後に回すのは、量が多いからではありません。家から出しにくい物が、ここに集まっているからです。中身は大きく3種類に分かれます。
1. 粗大ごみとして申し込む物
布団、こたつ、座卓、姿見、自転車、脚立、電子レンジ。粗大ごみは事前の申込制で、手数料も品目ごとに決まっています。名古屋市の場合、粗大ごみ処理手数料は250円、500円、1,000円、1,500円の4段階で、布団は250円、自転車は500円、電子レンジは1,000円です。同市は令和8年10月1日以降の収集分から手数料を改定すると告知しています(ページ更新2026年6月19日、2026年7月31日確認)。金額も申込みの締切も自治体ごとに違うので、実家がある市区町村のページで確認する順番になります。
2. 自治体が収集しない物
名古屋市は、ガレキ、鉄塊、自動車用タイヤ、オートバイ、原動機付自転車、消火器、自動車鉛蓄電池、ピアノ、FRP浴槽、大型電気温水器、自動車などを、収集または処理が著しく困難な物として収集の対象外にしています(同上、2026年7月31日確認)。物置と車庫を開けると、この一覧のどれかが出てきます。粗大ごみに出せる前提で作業日を組むと、その日は動きません。
消火器は別のルートになります。消火器リサイクル推進センターの案内では、廃消火器は全国約5,000か所の特定窓口への引取り依頼、メーカー営業所など約200か所の指定引取場所への持込み、事前申込みによるゆうパック回収のいずれかで処理し、リサイクルシールが貼られていない場合はシールを購入して貼る必要があります(2026年7月31日確認)。押入れの奥から出てくる古い消火器は、この手配を先に済ませないと家から出ません。
3. 家電リサイクル法の4品目
エアコン、テレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、粗大ごみに出せません。リサイクル料金は品目とメーカーで異なり、家電リサイクル券センターの一覧では税込でエアコンが550円から、液晶・有機EL・プラズマ式テレビが15V型以下で1,320〜3,700円・16V型以上で2,420〜3,700円、冷蔵庫・冷凍庫が170リットル以下で3,740円から・171リットル以上で4,730円から、洗濯機・衣類乾燥機が2,530〜3,300円という幅になっています。エアコンは室内機と室外機をあわせた料金で、片方だけ処分する場合も金額は変わりません(2026年7月31日確認)。これに収集運搬の料金が別途かかります。
3種類に共通するのは、開けた日には出せないという点です。押入れと物置は、中身を見る日と、家から出す日を分ける前提で最後に置きます。
捨てるか残すかで手が止まったときの外し方
順番どおりに進めても、物を手に持った瞬間に止まることがあります。原因はたいてい、残すか捨てるかの二択にしていることです。二択にすると、迷った物が全部、残す側へ流れます。
作業中の箱は3つにします。
- 出す(資源回収、予約済みの粗大ごみ、買取に回す物)
- 残す(使う場所へ戻す。戻す先が決まらない物は残すに入れない)
- 保留(判断を先送りする物。家に1つだけ)
保留の箱には、側面に日付と中身の分類を書きます。次に来たときに開けて、まだ迷うなら写真に撮ってから出す、という運用にすると、同じ物を何度も持ち上げずに済みます。保留の箱が2つ目になった時点で、その日は判断ではなく搬出に切り替えます。
判断の主語も決めておきます。物の持ち主が親なら、決めるのは親です。子が代わりに決めた物は、後から必ず話が戻ります。親が判断できない状態なら、決める人を1人に固定し、他の親族には決まった内容だけを共有します。
順番の外に置く物。見つけたら手を止める
どの部屋にいても、見つけた時点で作業を止めて別扱いにする物があります。片付けの順番とは別のレーンです。
- 権利証、登記識別情報、売買契約書、地積測量図
- 通帳、キャッシュカード、印鑑、印鑑登録証
- 保険証券、共済の証書、年金関係の封書
- 賃貸借契約、借入や保証に関する書類
- 封筒に入った手書きの遺言書
最後の1つは特に注意が要ります。裁判所の案内によると、法務局に保管されていない自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要で、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いの上で開封しなければならないとされています。公正証書による遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は、検認が不要です。申立てには遺言書1通につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手、検認済証明書の申請には1通につき収入印紙150円分が必要になります(2026年7月31日確認)。
片付けの最中に封筒が出てきて、その場で開けてしまうのが一番多い失敗です。見つけたら開けずに1か所へまとめ、袋か箱に日付と出てきた場所を書きます。編集部は士業ではないので、その書類がどの手続きに当たるか、税額がいくらになるかの判断はしません。相続や税に関わりそうな書類が出たら、司法書士や税理士に確認する範囲になります。
親が元気なうちなら、これらは処分する物ではなく、在りかを共有する物です。物の判断より先に、どこに何があるかの一覧を作っておくと、後の作業が軽くなります。
誰が住んでいるかで、最初の一手は変わる
同じ実家でも、いまの状態によって最初に触る場所が変わります。
| 実家の状態 | 最初に触る場所 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 親が住んでいる | 自分の物、次に居室の床と通路 | 物の所有者は親。処分は親の判断で決める |
| 親が入院・入所中 | 書類と貴重品の在りか確認、次に自分の物 | 本人が判断できる状態かで進め方が変わる。決める人を1人に固定する |
| 相続後の空き家 | 書類と貴重品、次に搬出の動線、それから部屋 | 相続人が複数いるなら、処分の前に費用と判断者を決める |
相続後の空き家だけは、部屋の順番より搬出の動線が先になります。玄関から道路まで運べるか、2階の家具を下ろせるか、庭や駐車場に仮置きできるか。ここが詰まると、どの部屋を片付けても物が家の中を移動するだけで終わります。
親と一緒に部屋を回りながら荷物を減らす場合の進め方は実家の荷物整理を親と進める順番|部屋別の攻め方のほうに分けています。
1回で開ける範囲は、部屋ではなく開口部で数える
順番が決まっても、1回で欲張ると次に来るまで散らかったままになります。範囲は部屋ではなく、開口部の数で数えると崩れません。
- 引き出し1つ、押入れ1段、棚1段を1か所と数える
- 開けた場所は、その日のうちに閉じる
- 作業に入る前に、その日出す物の行き先を決めておく
- 粗大ごみと家電の手配は、開ける日より前に済ませる
それでも量が合わない家があります。目安になるのは、家にある開口部の総数と、1回に開けられる数の比です。押入れが4か所、納戸と物置が1つずつ、台所の棚と引き出しが10か所ある家で、1回に4か所しか開けられないなら、単純計算でも4回以上、実際には相談と搬出が挟まるのでその倍はかかります。年に2回しか帰れないなら、そこで答えが出ます。
業者が入った場合の作業量を並べると、比が見えます。遺品整理と実家片付けの比較サイトが公表している目安では、2LDKで3〜6名・3〜8時間、3LDKで4〜8名・5〜12時間、費用は2LDKが約120,000〜300,000円、3LDKが約170,000〜500,000円の幅です(みんなの遺品整理、2026年7月31日確認)。1人で通って同じ量を動かすなら、この人数と時間ぶんの回数が要る、という読み方になります。
量が合わないと分かった時点で、比べるだけはしておく
間取りと地域を入れると、対応できる業者の料金と作業範囲を並べて見られます。頼まずに、量と費用の見積もりを取るだけの利用でも構いません。
遺品整理の料金を比べる業者に頼む場合も、順番の考え方は残ります。自分の物と書類を先に片付けておくと、当日の作業が仕分けではなく搬出だけになり、立ち会いの時間も短くなります。
実家の片付けをどこから始めるかについて、よくある質問
最初の1回で何をすればいいか
自分の物を段ボール2箱ぶん処分し、居室の床に置かれた物を通路から外します。判断をほとんどせずに終わり、家の見た目が変わります。
親の部屋から始めてはいけないのか
いけないわけではありませんが、同意がないまま寝室やたんすを開けると、その後の作業への抵抗が強くなります。所有者は親なので、親の物は親の判断で動かします。
思い出の品はいつ触るか
最後です。アルバム、手紙、賞状、着物は1点あたりの判断時間が長く、途中で手が止まります。判断が速い場所を先に終わらせて、残った時間で触る形にします。
掃除はどの段階でやるか
物を出し切った後です。片付けと掃除を同じ日に混ぜると、掃除した場所に次の部屋から出した物が積まれて、二度手間になります。
1日でどのくらい進むか
開口部の数で見ます。引き出しや棚1段を1か所として、1人で1日に3〜6か所というのが、判断が挟まる実家での現実的な幅です。物置と押入れは1段でも半日かかることがあります。
どうしても順番を決められない
玄関から始めます。面積が小さく、判断が要る物が少なく、その後の搬出の動線でもあります。決められないときに最も外れが少ない場所です。
