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遺品整理士とは?資格の中身と業者選びでの意味

遺品整理士とは?資格の中身と業者選びでの意味

遺品整理士の資格がある業者なら安心なのか、調べても結論がはっきり書かれていない。

結論は、遺品整理士は民間資格で必須ではなく、法律で必須なのは一般廃棄物収集運搬業などの許可のほう。有資格者は6万名超、協会の優良企業一覧は1,637社(2026年7月31日確認)。資格の有無より、許可番号を見積書で確認するほうが早い。

この記事の目次
  1. 遺品整理に必須の資格はない。必須なのは許可のほう
  2. 遺品整理士とはどんな資格か
  3. 資格を取るのに何がかかるか(2026年7月時点)
  4. 業者側に本当に要る許可は3種類
  5. 資格は判断材料としてどこまで効くか
  6. 遺品整理士以外に出てくる資格の位置づけ
  7. 見積もりと契約でここを見る
  8. トラブルはどれくらい起きているか
  9. 確認する順番

遺品整理に必須の資格はない。必須なのは許可のほう

遺品整理という仕事そのものに、法律で持たなければならないと定められた国家資格はない。遺品整理士は一般財団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格で、無資格でも遺品整理業を営むこと自体はできる。

一方で、家財を運び出して処分する段階に入ると、法律上の許可が必要になる。家庭から出た不用品を業として収集運搬するには、廃棄物処理法に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可(市町村長の許可)か、市区町村からの委託が要る。愛知県豊田市は無許可業者への注意ページで、産業廃棄物収集運搬業の許可・古物商の許可と並べて「遺品整理士の資格ではご家庭・事業所等の廃棄物を回収できません」と明記している(同ページ更新日2024年6月13日、2026年7月31日確認)。

資格と許可は別のものとして見る

区分性質ないとどうなるか
民間資格遺品整理士協会が講座と課題で認定。任意営業はできる。信頼の目安が1つ減る
法律上の許可一般廃棄物収集運搬業許可市町村長が許可家庭の不用品を運べない(無許可営業)
法律上の許可古物商許可公安委員会(申請は警察署)遺品の買い取りができない

業者選びで最初に確認するのは下2行のほうになる。遺品整理士は、その上に乗る加点材料として見るのが実態に近い。

遺品整理士とはどんな資格か

遺品整理士認定協会は北海道千歳市に事務局を置く一般財団法人で、遺品整理士養成講座は2011年11月に開講した。協会は公式サイトで、2024年6月3日に遺品整理士の会員数が60,000名を突破したと公表している(2026年7月31日確認)。

学ぶ内容は、協会の養成講座申込ページに掲載された教本の目次から確認できる。第1部が遺品整理・遺品整理業とは(遺品整理とは何か/専門家が必要とされる理由/取り巻く社会問題)、第2部が遺品整理を行うためには(実務で必要なこと/実際の業務/作業を行う上での留意点/法規制との関わり)という構成になっている。

読み取れるのは、遺品の値付けや不動産の処理を教える資格ではなく、遺族への向き合い方と、廃棄物処理法をはじめとする法規制を踏み外さないための基礎を通信で学ぶものだということ。作業の腕前や見積もりの適正さを保証する資格ではない点は、押さえておいたほうがいい。

相談者相談者
国家資格じゃないなら、あまり意味がないということ?
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
意味がないのではなく、意味の置き場所が違う。法令を知っているかの目安にはなるが、料金が適正かどうかは別に確かめることになる。

資格を取るのに何がかかるか(2026年7月時点)

依頼する側にとっても、この資格がどれくらいの手間で取れるものかを知っておくと、過大評価も過小評価もしなくて済む。協会の養成講座申込ページ(2026年7月31日確認)に記載されている金額と流れは次のとおり。

  • 入会金 30,000円
  • 会費(認定手続き含む) 8,000円・1年間有効
  • 申込資格は「どなたでも申込いただけます」(反社会的勢力に該当する者を除く)
  • 教材は教本・資料集・問題集。DVDは希望者のみ送付
  • 問題集の全設問に回答して提出。レポート提出期間の目安は2か月間で、延長は協会に連絡すれば無料で更新できる

ここで一つ注意がある。他サイトでよく見かける「入会費25,000円、会費7,000円で2年間有効」という説明と、協会の現行ページの金額は一致しない。会費の有効期間も2年ではなく1年と書かれている。金額と有効期間は改定されるので、取得を検討するなら協会の申込ページを自分で開いて、その日の表示を確認するのが確実になる。

合格率についても、協会の申込ページには記載がない。「合格率65%」という数字が各所で引用されているが、編集部が確認した範囲では協会自身が公表した数字として確認できなかった。裏が取れない数字なので、合否の難易度は断定しない。

業者側に本当に要る許可は3種類

遺品整理は、片付け・運び出し・処分・買い取りが一続きになった作業になる。作業の中身ごとに必要な許可が違うので、分けて見ると混乱しにくい。

一般廃棄物収集運搬業許可

家庭から出た不用品を業として収集運搬する場合に必要で、許可を出すのは市町村。自社で持っていない業者は、許可を持つ業者へ委託するのが適正なルートになる。北九州市は注意ページで、他の何らかの制度で登録されていても一般廃棄物収集運搬業の許可がないと家庭のごみの回収はできないとし、提携していると説明しながら実際には無許可の者がそのまま運ぶケースがあるため、一般廃棄物収集運搬業許可業者による収集運搬かどうかを必ず確認するよう呼びかけている(2026年7月31日確認)。

産業廃棄物収集運搬業許可

これは工場や事業所から出る産業廃棄物のための許可で、家庭の不用品の回収はできない。ホームページに産廃の許可番号だけが載っている場合、実家の片付けにはそのままでは足りない。

古物商許可

遺品の買い取りを行う場合に必要になる。都道府県公安委員会の許可で、申請は主たる営業所を管轄する警察署の防犯係へ出す。警視庁のページによれば手数料は19,000円、営業所ごとに管理者1人を選任する義務がある(古物営業法第13条第1項、2026年7月31日確認)。買い取り分を作業代から差し引く提案を受けたときは、この許可の有無が前提になる。

沖縄の傾斜地を相続して出口を探してきた編集部の実感で言えば、実家じまいでつまずくのは判断そのものより、こうした「どの許可が要るのか」が誰の説明にも出てこないことのほうが多い。

資格は判断材料としてどこまで効くか

ここが多くの解説記事で曖昧になっている部分になる。数字を並べると輪郭が出る。

  • 遺品整理士の会員数:60,000名を突破(協会公表、2024年6月3日時点)
  • 協会の優良企業一覧の登録企業数:1,637社(2026年7月31日確認)

有資格者は6万名を超えている。つまり「遺品整理士が在籍しています」という表示だけでは、候補をほとんど絞り込めない。掲げている業者が多すぎて、差がつかないためになる。

一方で協会は、資格認定を受け、法規制を守って適正業務を行っていると認めた会員在籍企業を優良企業一覧として公開している。こちらは1,637社。会員数との桁の違いが、そのまま「資格を持っている」と「事業所として審査を通っている」の距離になる。

業者選びで資格を使うなら、有資格者がいるかどうかではなく、事業所単位でどこまで確認されているかを見るほうが機能する。そして資格をどれだけ積み上げても、一般廃棄物収集運搬業の許可の代わりにはならない。豊田市の記述のとおり、資格では廃棄物を回収できない。

相場感や見積書の読み方も含めた業者選定の手順は、遺品整理の業者の選び方|見積もりで見る5項目にまとめている。

資格と許可を先に確認したい

遺品整理士認定協会は、掲載審査を協会が実施しているポータルとして「みんなの遺品整理」を挙げている(協会サイト、2026年7月31日確認)。登録の条件に遺品整理士であることを置き、法令遵守を審査していると説明されている。複数社の料金を並べて比べるところから始めると、金額の幅が見える。

遺品整理の料金を比べる

遺品整理士以外に出てくる資格の位置づけ

業者のサイトには、遺品整理士のほかにもいくつかの肩書きが並ぶことがある。どれも民間資格で、法律上の必須要件ではない点は共通している。

  • 生前整理関連の資格:本人が存命のうちに持ち物を整理する場面向け。遺品整理と客層も進め方も違う
  • 特殊清掃系の資格:孤独死などで原状回復が必要な現場に関わる。遺品整理士認定協会の関連団体として一般社団法人事件現場特殊清掃センターがあり、協会サイトでは2026年4月9日に同センターより認定資格「化学物質安全管理者」が始まったと告知されている(2026年7月31日確認)
  • 遺品の査定・買い取り系の資格:買い取りを伴う場合でも、法律上必要なのは古物商許可のほうになる

生前整理側の資格をどう見るかは、生前整理アドバイザーの資格は必要?業者選びの見方で整理している。

肩書きが多い業者ほど良い、という読み方はしないほうがいい。数ではなく、その資格が今回頼む作業に対応しているかで見る。

見積もりと契約でここを見る

資格の話に時間を使うより、書面の3か所を見るほうが早い。

  1. 許可番号が書いてあるか。ホームページか見積書に、一般廃棄物収集運搬業の許可番号、または委託先の許可業者名が記載されているか。記載がなければその場で聞く
  2. 追加料金の条件が書面にあるか。国民生活センターは、無許可業者の広告に「定額パック◯◯円」「トラック詰め放題△△円から」と安価な料金が表示されていても、実際には基本料金のほかに人件費や廃棄費用などさまざまな名目で追加料金が発生し、高額請求のトラブルになっていると注意喚起している(2022年11月2日公表、2026年7月31日確認)
  3. 残す遺品と処分する遺品の線引きが共有されているか。国民生活センターは遺品整理サービスのトラブルについて、残す遺品と処分する遺品を分け、作業員が分かるよう印をつけるなど明確にしておくよう助言している(2018年7月19日公表)

依頼後に一般廃棄物処理業の無許可業者だと分かった場合は作業を断る、というのも同センターが示している対応になる。訪問を受けてその場で契約したケースは契約の性質が変わることがあるため、迷ったら消費者ホットライン188番で最寄りの消費生活センターに相談する。編集部は士業ではないので、契約が解除できるかどうかの個別判断はここではしない。

トラブルはどれくらい起きているか

不安を煽る必要はないが、数字は見ておいたほうがいい。

国民生活センターのPIO-NETに登録された不用品回収サービスに関する相談件数は、2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と推移している(2022年11月2日公表資料、2022年9月30日までの登録分)。遺品整理サービスに絞った相談件数は、2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件(2018年7月19日公表資料)。

件数の桁は違うが、実家じまいで発生するのは家財の運び出しと処分なので、不用品回収サービス側のトラブル構造がそのまま重なる。相談として上がっているのは、事前説明と違う高額請求、キャンセル料の請求、そして回収後の不法投棄になる。不法投棄が起きた場合、無許可業者だけでなく、回収を依頼した本人が排出者として問われる可能性があることを、志免町など複数の自治体が注意ページで示している(2026年7月31日確認)。

実際の相談事例と、無許可業者を見分ける具体的なポイントは遺品整理業者とのトラブル例|無許可業者の見分け方にまとめている。

確認する順番

遺品整理士という資格を軸に業者を選ぼうとすると、有資格者6万名超という分母の前で判断が止まる。順番を入れ替えると動きやすくなる。

  1. 一般廃棄物収集運搬業の許可(自社保有か、委託先の明示か)を確認する
  2. 買い取りを含めるなら古物商許可の有無を確認する
  3. そのうえで遺品整理士の在籍や、協会の優良企業一覧への掲載を加点材料として見る
  4. 残す遺品と処分する遺品を分け、印をつけてから見積もりを取る
  5. 複数社の見積書を並べ、追加料金の条件が書面にあるかを比べる

金額は間取りや荷物量、階数やエレベーターの有無で大きく動くため、ここでは一点で示さない。相場を知る目的でも、複数社の見積もりを並べるところからになる。

制度や協会の金額は年度で変わる。この記事の数値は2026年7月31日に各公式ページで確認したもので、依頼の直前にもう一度、協会と自治体のページを開いて現在の表示を見ておくと確実になる。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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