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市街化調整区域の農地は転用できる?可否の見分け方

市街化調整区域の農地は転用できる?可否の見分け方

市街化調整区域の農地は転用できない、と言われて調べ始めた人が多い。ただ可否を決めているのは調整区域かどうかではなく、農振農用地区域の中か外か(青地か白地か)と、農地区分のほうだ。

白地で第2種・第3種なら許可の余地がある。青地は農振除外が先で、最短でも8か月かかる。確認すべきは3点。順に見ていく(2026年7月31日時点)。

この記事の目次
  1. 可否を分けるのは3つの重なり
  2. 確認1:青地か白地か(ここで期間が半年変わる)
  3. 確認2:農地区分(許可の方針は区分で決まっている)
  4. 確認3:都市計画法の関門(建物を建てるなら二重)
  5. 4条・5条・3条の違いと、市街化区域との差
  6. 手続きの流れと、実際にかかる期間
  7. 費用の目安(本体は工事費のほうになりやすい)
  8. 転用できないと分かったときに残る出口
  9. 自分で調べる順番(窓口の回り方)
  10. よくある質問

可否を分けるのは3つの重なり

市街化調整区域にある、という一点だけでは転用の可否は決まらない。実務で結論を分けているのは次の3つで、1つでも壁に当たればそこで止まる。

  1. 農業振興地域の農用地区域の中か外か(青地か白地か)
  2. 農地法の農地区分(農用地区域内農地・甲種・第1種・第2種・第3種)のどれに当たるか
  3. 建物を建てるなら、都市計画法の開発許可・建築許可の要件に当たるか

順番も決まっている。青地なら農振除外が先で、農地区分や都市計画法の話はその後になる。行政書士KS事務所も、市街化調整区域でも農地転用は可能だが事前審査が厳しくハードルは高い、と整理している(行政書士KS事務所/2026年7月31日確認)。

逆に言えば、3つとも抜けられる農地は調整区域にもある。最初に潰すべきは①で、ここが白地か青地かで、必要な時間が半年単位で変わる。

相談者相談者
農業委員会に電話する前に、何を用意すればいいですか。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
地番です。登記事項証明書か、固定資産税の納税通知書に載っています。地番がないと窓口では判定してもらえません。

確認1:青地か白地か(ここで期間が半年変わる)

青地とは、都道府県が指定する農業振興地域のうち、市町村が農業振興地域整備計画で農用地区域に定めた土地にある農地を指す。計画図で青く塗られることからこう呼ばれる。おおむね今後10年以上、農業に使うべき土地として位置づけられているため、転用は原則できない。白地は農振地域内でも農用地区域に入っていない農地で、転用の検討の土俵に乗る。

青地を転用したいなら、まず農用地区域から外す手続き(農振除外)が要る。浜松市は除外の要件として次の6つを公表している(浜松市/2026年7月31日確認)。

  • 必要かつ適当で代替すべき土地がない
  • 地域計画の達成に支障がない
  • 農業上の効率的な利用に支障がない
  • 認定農業者などの利用集積に支障がない
  • 土地改良施設などの機能に支障がない
  • 土地改良事業などの完了後8年を経過している

同市の受付は年2回(通常2〜3月と7〜8月の各2週間)で、決定まで最短でおよそ8か月。異議申出が出ればさらに最長5か月ほど加わり、1年以上になることもあるとしている。受付回数と所要期間は自治体ごとに違うので、自分の市町村の農政担当課で確認する。詳しい要件は農振除外とは?6要件と費用、農地転用との違いを解説にまとめている。

青地か白地かは、農林水産省のeMAFF農地ナビで地番から当たりを付けられる。所在・地番、登記地目、面積、農業振興地域内・農用地区域内かどうかが表示される。ただし最終判定は窓口の回答による。地図上の表示だけで動かない。

確認2:農地区分(許可の方針は区分で決まっている)

白地でも、どこにある農地かで許可方針が決まっている。これが立地基準で、市街化調整区域内の農地は営農条件と周辺の市街地化の状況から次のように区分される。名古屋市の公表内容から整理した(名古屋市/2026年7月31日確認)。

区分どんな農地か許可の方針
農用地区域内農地(青地)農業振興地域整備計画で農用地として利用すべき土地と定められた区域内の農地原則不許可。土地収用法第26条第1項の告示があった事業と一時転用は許可
甲種農地高性能農業機械による営農に適した農地、土地改良事業完了後8年未満の農地原則不許可。公共性の強い事業に供する場合などは許可
第1種農地集団的に存在する農地その他良好な営農条件を備えている農地原則不許可
第2種農地市街地等に近接する区域、その他市街地化が見込まれる区域内の農地周辺の他の土地で事業が達成できない場合は許可
第3種農地市街地の区域内、または市街化の傾向が著しい区域内の農地原則許可

実家の田畑が集落の中にまとまって残っているなら第1種の可能性が高く、原則不許可の側に立つ。駅や幹線道路に近く、周りに住宅や店舗が並び始めている農地は第2種・第3種に寄る。第2種で許可を取るには、その事業を周辺の他の土地では達成できない、という説明が要る。ここが申請書の中身になる。

区分に加えて、申請者の資力、転用後に本当にその用途で使われるか、周辺農地への日照や排水の影響、といった一般基準にも適合しないと許可されない。立地基準と一般基準は両方を満たす必要がある。

確認3:都市計画法の関門(建物を建てるなら二重)

転用先が建物なら、農地法の許可だけでは足りない。市街化調整区域での開発行為・建築行為は都市計画法で別に規制されていて、この許可が取れないと農地転用も許可されない。市川市は、開発許可がないと農地転用は許可されない、原則として一般の住宅建設のための開発行為は許可されないので農地の転用も許可できない、と明記している(市川市/2026年7月31日確認)。

調整区域で建てられる例外は、都市計画法第34条の各号(および施行令第36条第1項第3号)に当たるものに限られる。相模原市は、開発許可・建築許可を受けようとする場合は34条各号に規定する立地基準に該当するものでなければならない、としている(相模原市/2026年7月31日確認)。

34条のうち何号を運用しているかは自治体ごとに違う。さいたま市は、第3号・5号・11号・12号・13号については市街化調整区域での立地を認容すべき特別の必要性が認められないため基準を制定していない、と公表している(さいたま市/2026年7月31日確認)。よその市で通った事例が、自分の市で通るとは限らない。

先に決めるのは用途のほうだ。住宅なのか、資材置場なのか、駐車場なのか、太陽光なのか。用途が決まらないと、農業委員会も都市計画課も判定を返せない。

4条・5条・3条の違いと、市街化区域との差

農地の手続きは、何をしたいかで条文が変わる。混ざったまま窓口に行くと話が進まない。

  • 農地法3条:農地を農地のまま売る・貸す。農業委員会の許可。買主側に要件がかかる
  • 農地法4条:自分の農地を自分で別の用途にする(自己転用)
  • 農地法5条:転用を前提に売る・貸す(権利移動を伴う転用)

市街化区域内の農地なら、4条・5条はあらかじめ農業委員会に届け出れば足りる。市街化調整区域はこの届出の対象外で、許可が必要になる。さいたま市も、市街化区域内の農地の転用は届出、市街化調整区域内の農地(4ヘクタール以下)の転用は同市農業委員会の許可申請、と手続きを分けている(さいたま市/2026年7月31日確認)。

許可を出す主体も一律ではない。名古屋市は4ヘクタール以下を農業委員会、それを超える場合は愛知県が許可権者としている。一方で市川市は、申請は農業委員会に出し、意見を付して県に送り、県知事が許可する流れだ。指定市町村かどうかで変わるので、自分の市町村の農業委員会に確認する。

転用の全体像と必要書類は農地転用とは?費用と期間、許可が下りる条件をまとめて解説に分けて書いている。

手続きの流れと、実際にかかる期間

白地で、農地区分と都市計画法の関門を越えられる見込みが立った場合の流れは次のとおり。

  1. 用途を決める(住宅・資材置場・駐車場・太陽光など)
  2. 農業委員会と都市計画(開発指導)の担当課に事前相談。開発許可が要るかを確認する
  3. 申請書と添付書類を用意する
  4. 農業委員会に提出。総会で審議
  5. 県の農業委員会ネットワーク機構などへ意見照会
  6. 許可書の交付

期間の実例を並べる。名古屋市は、受付が毎月末日、農業委員会総会は締切日の翌月20日、愛知県農業会議への意見聴取は総会からおおむね15日後、許可書交付は締切日の翌月末日頃としている。市川市は標準事務処理モデルとして、申請書受付からおおむね40日後に許可書交付、受付期間は毎月21日から25日まで。さいたま市は、3,000平方メートルを超える転用は埼玉県農業委員会ネットワーク機構への意見照会が入るため、申請締切日から許可日まで6週間程度としている。

つまり白地で順調でも、申請から許可まで1.5〜2か月前後を見ておく。ここに事前相談と書類集めの期間が乗る。青地なら、この前に農振除外の8か月以上が付く。着工まで1年を超えるのは珍しくない。

添付書類は市川市の例で、許可申請書、3か月以内の土地登記事項証明書の原本、位置図、公図の写し、現況写真、事業計画書、土地利用計画図、排水計画図、資金計画書、資力を証する書面など。資金計画と資力の証明が入っているのは、転用後に計画どおり使われるかを見られているためだ。

費用の目安(本体は工事費のほうになりやすい)

手続き費用と、その後にかかる費用を分けて見る。

手続きを行政書士に頼む場合、行政書士池田法務事務所は目安として、届出で3万〜4万円、許可申請で8万〜11万円という範囲を示している(行政書士池田法務事務所/2026年7月31日確認)。開発許可や農振除外が絡むと別料金になるのが通例で、事務所ごとに幅がある。報酬額は各行政書士が自由に定めるもので、日本行政書士会連合会が5年に1度、全国の報酬額統計調査を実施して公表している(日本行政書士会連合会/2026年7月31日確認)。見積りを取るときは、どこまで含むのかを明細で出してもらう。

これに実費が乗る。登記事項証明書・公図の取得費、測量や分筆が必要なら土地家屋調査士の費用、転用後の地目変更登記、売買を伴うなら所有権移転登記の登録免許税と司法書士報酬。

そして金額が大きくなるのは工事のほうだ。造成、進入路、上下水道や電気の引き込み。調整区域はインフラが整備されていない場所が多く、引き込み工事が別途必要になることがある。ここは土地の条件で桁が変わるので、目安の数字ではなく現地を見た見積りで判断する。転用の許可が下りても、この工事費が用途の採算を壊すことがある。

転用できないと分かったときに残る出口

青地で除外要件を満たせない、第1種で原則不許可、という結論になることはある。その場合に残る道を並べる。

  • 農地のまま売る・貸す:農地法3条の許可を取り、農業をする相手に渡す。農業委員会が農地の貸し手と借り手をつなぐあっせん事業を持っている地域もある
  • 農地中間管理機構(農地バンク)に貸す:市町村の農政担当課が窓口を案内している
  • 時間を置いて条件が変わるのを待つ:周辺の市街地化が進めば農地区分の判断が動くことがある
  • 一時転用:農用地区域内農地でも、一時転用は許可の対象になり得る(名古屋市)

すでに転用許可を取って農地以外の状態になっている土地なら、地目を雑種地などに変えて売る道もある。その線引きは雑種地に家は建てられる?農地から変えるときの条件にまとめた。

実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

出口を全部当たってから、保有を選んだ

編集部の運営者は沖縄の傾斜地を相続している。農地ではないが、売却、寄付、国庫帰属と出口を順に当たって、どれも成立しなかった土地だ。今も保有していて、固定資産税は年約7万円が出ていく。

そのとき分かったのは、出口を1つずつ当たる作業そのものに数か月かかること、そして早く手放したい気持ちのまま調べると、成立しない出口を何度も往復してしまうことだった。農地の転用も同じで、青地か白地か、農地区分は何かを先に確定させたほうが、結果的に速い。無理な出口に半年を使わずに済む。

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自分で調べる順番(窓口の回り方)

調べる順番を間違えると、同じ役所を何度も往復することになる。次の順で当たる。

  1. 地番を用意する:登記事項証明書、または固定資産税の納税通知書の課税明細から拾う
  2. eMAFF農地ナビで当たりを付ける:農用地区域内かどうか、登記地目、面積を見る
  3. 市町村の農政担当課(農業振興課など):青地か白地か、青地なら除外の受付時期と要件
  4. 市町村の都市計画課・開発指導課:市街化調整区域か、非線引きか。予定している用途で開発許可・建築許可が下りる余地があるか
  5. 農業委員会事務局:農地区分、必要書類、受付締切と許可までの標準期間

3から5は、どの窓口も用途を聞いてくる。住宅なのか資材置場なのかで答えが変わるためだ。まだ決まっていないなら、想定を2案ほど持っていくと具体的な回答が返ってくる。

編集部は士業ではないため、個別の許可可否の判断や税額の計算はしない。要件に当たるかどうかの最終判断は農業委員会と都市計画担当課、税額は税理士、登記は司法書士・土地家屋調査士の領域になる。この記事は、その窓口に行く前に何を確定させておくかの順番として使ってほしい。

よくある質問

市街化調整区域の農地を、農地のまま売れますか

農地法3条の許可を取れば可能だ。買主側に、取得後の農地を全部効率的に利用すること、農作業に常時従事すること、周辺の農地利用に支障を生じないこと(地域調和)といった要件がかかる。かつてあった下限面積要件(一定面積以上を耕作していないと許可されない規定)は、農地法の改正により令和5年4月1日から廃止された(山形市京都市/2026年7月31日確認)。面積が小さいという理由だけで買い手が門前払いされる状況ではなくなっている。ただし他の要件は残る。

非線引き区域の農地はどうなりますか

区域区分が定められていない都市計画区域を指す。市街化区域ではないため、転用は届出ではなく許可の対象になる。判断は農地区分に沿って行われるので、確認の順番は調整区域と同じでよい。

駐車場や資材置場なら通りやすいですか

建物を伴わない分、都市計画法の関門は軽くなることがあるが、農地転用の許可は必要で、農地区分の判断は変わらない。加えて計画の具体性を見られる。市川市は駐車場について、普通車1台当たり25〜30平方メートルという面積基準を示している。台数と面積が噛み合わない計画は通らない。

青地でも家を建てられた人がいると聞きました

農振除外を経て、農地転用と開発許可・建築許可がそろえば成立する。ただし34条のどの号を運用しているかは自治体ごとに違い、除外の受付も年1〜2回しかない地域が多い。他地域の事例をそのまま自分の土地に当てはめない。自分の市町村の窓口で、地番を出して確認するのが最短になる。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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