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実家じまいとは?進め方と費用の全体像を7ステップで解説

実家じまいとは?進め方と費用の全体像を7ステップで解説

実家じまいは、片づけと不動産と墓や仏壇を同時に動かそうとした時点で止まります。

順番は、期限のある手続き、家の中身、建物、土地、墓と仏壇。費用は片づけだけなら20万円台から、解体まで含めると数百万円まで幅が出ます。先に手を付けるのは、日付が決まっている手続きだけです。

この記事の目次
  1. 実家じまいとは、何を片づける作業なのか
  2. 実家じまいの7ステップ(入れ替えると戻れなくなる)
  3. 費用は「片づけ」「建物」「手続き」の三段で見る
  4. 日付が決まっている手続きだけ、先に潰す
  5. 決めないまま置くと、税と過料の側から動き始める
  6. 家の中身は、捨てる前に探す
  7. 建物は4択、決め手は出せる費用と隣地への影響
  8. 建物が消えたあと、土地だけが残る
  9. 墓と仏壇は、家とは別の時計で動く
  10. いつ始めるか、誰が決めるか
  11. 詰まりやすい場面と、誰に聞くか
  12. 確認した出典と、この記事から繋ぐ先

実家じまいとは、何を片づける作業なのか

実家じまいは、親が住まなくなった家について、中身を整理し、不動産をどうするか決め、家に付いていた墓や仏壇の行き先まで決めるところまでを指します。子の側から見た作業で、所有者本人が自分の家を始末する家じまいとは、名義と鍵と意思決定が自分の手元にあるかどうかが違います。

止まる原因はほぼ一つで、性質の違う三つを同時に動かそうとすることです。分けると次のようになります。

  • 動産:家財、書類、貴重品、遺品。相手は自分と兄弟、そして業者。期限はない
  • 不動産:建物、土地、庭、農地。相手は不動産会社、解体業者、役所、農業委員会。税の特例に日付がある
  • 祭祀:墓、仏壇、神棚。相手は寺院、霊園、石材店、市区町村。家の日程とは別に動く

この三つは、担当する相手も、決めるのに必要な同意も、期限の有無も違います。片づけ業者に見積もりを取りながら墓の話を親族に振り、同じ週に不動産会社へ査定を頼むと、どの返事を待っているのか分からなくなって手が止まります。逆に、三つを別のリストとして持てば、止まっているのがどれか一目で分かります。

数の上でも、途中で止まっている家のほうが多い

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(住宅及び世帯に関する基本集計の確報集計、2024年9月25日公表)では、2023年10月1日時点の総住宅数は6504万7千戸、空き家は900万2千戸で、空き家率は13.8%と過去最高でした。このうち、賃貸用や売却用、別荘などの二次的住宅を除いた空き家が385万6千戸あります(出典:総務省統計局・2026年7月30日確認)。

賃貸にも売却にも出ていない空き家、というのがこの385万6千戸です。持ち主が決めきれていない家がここに入ります。あなたの実家が例外なのではなく、多い側に入っているだけです。

相談者相談者
何から手を付けるのが正しいのか分からないまま、半年たちました。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
入口は一つで、日付が決まっている手続きです。片づけはいつ始めても間に合いますが、税の特例と登記は日付で切れます。

実家じまいの7ステップ(入れ替えると戻れなくなる)

編集部が役所と業者を回って整理した順番を、7つに分けます。上から片づけると、後戻りが起きません。

やること期限主な相手
1名義、相続人、遺言の有無を確認する(登記事項証明書と戸籍)ここが起点法務局、市区町村
2相続を承認するか放棄するかを決める知った時から3か月家庭裁判所
3相続登記、または相続人申告登記を出す3年以内法務局、司法書士
4家の中身を分ける(書類と貴重品を先に、家財は後)なし兄弟、遺品整理業者
5建物をどうするか決める(現況で売る、解体する、貸す、持つ)税の特例を使うなら日付で切れる不動産会社、解体業者
6土地の始末(売却、活用、国庫帰属、農地の転用)なし不動産会社、法務局、農業委員会
7墓と仏壇(改葬許可、閉眼供養、撤去)なし市区町村、寺院、石材店

飛ばすと戻れない場所は二つだけ

一つ目は、4を1から3より先に始めることです。名義と相続人が確定する前に家財を処分すると、あとで遺産の範囲を説明できなくなります。通帳や権利証、契約書が家財と一緒に出ていくのもここです。

二つ目は、5を税の確認より先に実行することです。建物を残したまま売る場合と、解体してから売る場合で、使える特例と手元に残る金額が変わります。取り壊してから要件を知っても戻せません。

残りの5つは、順番が多少入れ替わっても損は出ません。焦る必要があるのは1から3と、5の判断の前に税を確認することだけです。

全体でどれくらいかかるかは、家の広さと相続人の数、そして買い手が付くかどうかで変わるため、平均を出しても自分の家には当たりません。設計できるのは期限の側だけです。3か月、10か月、3年という与えられた日付から逆算し、その間に入る作業(戸籍と登記事項証明書の取得、相続人の連絡、財産の洗い出し)を先に置きます。4から7は、その骨組みの隙間に入れていけば足ります。費用の全体像は実家じまいの費用は総額いくら?項目別の内訳と削れる順番で項目ごとに分けています。親が健在で、まだ相続が起きていないなら、1と2の前に生前整理とは?親が元気なうちに決めておく5つのことの範囲から入れます。

費用は「片づけ」「建物」「手続き」の三段で見る

総額を先に出そうとすると必ず外れます。実家じまいの費用は片づけ、建物、手続きの三段に分かれていて、どこまでやるかで総額が変わるためです。段ごとの目安を並べます。

金額はすべて幅で書きます。相続と不動産の実務サイトが公開している相場を確認した値で、地域と業者、道路の広さや作業のしやすさで上下します。

項目目安の幅
片づけ家財の処分(1R・1K)約3〜8万円
片づけ家財の処分(2DK・2LDK前後)約7〜30万円
片づけ家財の処分(3DK・3LDK前後)約17〜50万円
片づけ家財の処分(4LDK以上)約22〜70万円
建物木造の解体(30坪前後)約90〜150万円
建物鉄骨造の解体(30坪前後)約120〜210万円
手続き相続登記の司法書士報酬約5〜15万円(別に登録免許税)
手続き売却の仲介手数料売却額の3%+6万円程度(別に消費税)

間取り別の処分費と解体の坪単価はベンチャーサポート相続税理士法人が公開している相場、不用品回収と仲介手数料の考え方はALSOKのコラムで確認しました(いずれも2026年7月30日確認)。官公庁が相場を出している費目ではないため、各社の集計値として扱います。契約の前に、自分の家で見積もりを取り直すことが前提です。

削るなら、単価より量を削る

片づけの見積もりは、作業量とトラックの台数で決まります。単価を交渉するより、自分で出せる量を減らすほうが効きます。順番としては、市区町村の収集で出せる物を先に出し、それでも残る大型家具と家電を業者に回します。買い取りが付く物があるなら、処分の見積もりを取る前に抜いておきます。

解体には補助制度がある自治体があります。ただし多くの制度で、申請の前に工事契約や着工をしていると対象外です。相見積もりより先に、市区町村の担当課へ制度の有無を聞く順番にしてください。

墓と仏壇の費用は、寺院と地域で幅が大きく、平均で語ると外れます。それぞれ墓じまいとは?費用と流れ、遺骨の行き先の決め方仏壇の処分方法と費用|魂抜きから引き取りまでの順番に分けています。

日付が決まっている手続きだけ、先に潰す

実家じまいで期限があるのは4つです。ほかは急ぎません。ここだけカレンダーに入れます。

手続き期限起算点窓口
相続の放棄、限定承認3か月以内自己のために相続の開始があったことを知った時家庭裁判所
相続税の申告と納税10か月以内被相続人が死亡したことを知った日の翌日税務署
相続登記3年以内不動産を相続で取得したことを知った日法務局
空き家の3000万円特別控除を使う売却相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで相続の開始税務署

相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月

相続の放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。費用は申述する人1人あたり収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手です。財産の調査が終わらない場合は、承認または放棄の期間の伸長を申し立てることもできます(出典:裁判所・2026年7月30日確認)。放棄すると実家だけでなく相続分の全部を手放すことになるため、土地が売れないという理由だけで選ぶ判断ではありません。

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内が申告と納税の期限です(出典:国税庁・2026年7月30日確認)。かかるかどうかの判定自体に財産の評価が必要なので、不動産が複数ある場合は早めに税理士へ持ち込むほうが安全です。

相続登記は2024年4月1日から義務、過去の相続にも期限がある

相続登記の申請は2024年(令和6年)4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前に相続した不動産にも適用され、こちらは2027年(令和9年)3月31日までに登記する必要があります。遺産分割がまとまらない場合は、自分が登記簿上の所有者の相続人であることを期限内に申し出る相続人申告登記で、義務を果たす方法があります(出典:法務省・2026年7月30日確認)。ただし相続人申告登記のままでは売却や抵当権の設定はできず、その段階で通常の相続登記が必要になります。

3000万円の特別控除は、日付と建築年で切れる

相続した家を売るときの空き家の特別控除は、確認した時点で次の条件です。適用は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡まで。家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたもので、区分所有建物の登記がされていないこと。相続の時から譲渡の時まで、事業、貸付け、居住に使われていないこと。売却代金が1億円以下であること。相続人が3人以上の場合、令和6年1月1日以降の譲渡では控除額が2000万円になります。買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを行った場合も対象になります(出典:国税庁・2026年7月30日確認)。

編集部は士業ではありません。要件に当たるかどうかの判断、税額の計算、遺産分割の取り分の決め方は扱いません。特例は税務署と税理士、登記は司法書士、相続人の間で争いがあるなら弁護士が窓口です。制度は年度で変わるので、読んだ日に一次情報を開き直してください。税金側の詳細は実家を売ったときの税金|3000万円控除で0円になる条件にまとめています。

決めないまま置くと、税と過料の側から動き始める

2015年に施行された空家法は、2023年12月13日の改正で対象が広がりました。倒壊のおそれがある特定空家等の前段として、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家を管理不全空家等として、市区町村が指導と勧告をできるようになっています(出典:国土交通省・2026年7月30日確認)。

効き目があるのは税です。指導に従わずに勧告を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地特例から外れます。命令にも従わない場合は50万円以下の過料の対象になります(出典:国土交通省・空き家対策特設サイト・2026年7月30日確認)。

「固定資産税が6倍」の正体

住宅が建っている土地には、固定資産税と都市計画税の課税標準を下げる住宅用地特例があります。東京都主税局の説明では、1戸あたり200平方メートルまでの小規模住宅用地は固定資産税が価格の6分の1、都市計画税が3分の1、200平方メートルを超える部分はそれぞれ3分の1と3分の2です(出典:東京都主税局・2026年7月30日確認)。

6倍という言い方は、この6分の1が外れることを指しています。税率が6倍になるのではなく、外れるのは軽減の側です。実際の税額は評価額と負担調整の仕組みで決まるため、単純な掛け算にはなりません。しかも勧告を受けた場合の話で、空き家にした翌年から自動で上がるものでもありません。煽られる必要はない代わりに、市区町村から指導が来た段階で放置し続ける理由もない、という程度の話です。

放置の実際のコストは、毎年出ていく固定資産税と、草刈りや見回りの手間です。金額が小さいほど後回しにしやすく、後回しにした年数だけ積み上がります。遠方なら、行くたびの交通費と休みも消えます。

家の中身は、捨てる前に探す

業者に頼むかどうかの前に、順番があります。捨てる作業ではなく、探す作業を先に終わらせます。

  1. 権利と契約の書類:登記済証や権利証、固定資産税の納税通知書、預金通帳、保険証券、年金関係、施設の契約書、賃貸契約書
  2. 現金、貴金属、印鑑、鍵、金庫の中身
  3. 写真、手紙、記念品。兄弟に確認が必要なもの
  4. 家具、家電、寝具、食器
  5. 生活ゴミ、庭の物、物置の中身

1と2が出てくる場所は、たいてい家財の下です。先に業者を入れると、この二つが家財と一緒に運ばれます。逆に1と2が済めば、残りは量の問題に変わり、見積もりの比較ができるようになります。

抜けやすいのは、家の外側の手続き

物より止まっていないのが、家に紐づいた契約です。郵便物の転送、固定電話、電気とガスと水道、NHK、火災保険と地震保険、クレジットカード、通販の定期購入、新聞、町内会費、口座振替。誰も住んでいなくても引き落としは続きます。

ただし、解体や売却の日程が決まると、水道と電気は工事の都合で残す期間が出ます。止める順番を業者に確認してから解約してください。先に全部止めて、工事のために再開する手間をかけることになります。

量が多い、実家が遠い、期限が近い、のどれかに当たるなら業者を使う判断が現実的です。見積もりは家の中を見せた上で取り、追加費用が出る条件(階段作業、庭の残置物、家電のリサイクル料金)を書面で確認します。進め方は遺品整理とは?時期と費用、業者に頼む前の準備に分けています。親が健在なら、探す作業だけでも一緒にやっておくと後の工程が丸ごと軽くなります(生前整理とは?親が元気なうちに決めておく5つのこと)。

相談者相談者
全部まとめて業者に任せたほうが早いのでは、と思ってしまいます。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
早いのは事実です。書類と鍵だけ自分で拾ってから渡してください。そこだけは代わりが利きません。

建物は4択、決め手は出せる費用と隣地への影響

選択肢向く場合先に出る費用注意
現況のまま売る建物がまだ使える。解体費を先に出せない片づけ、仲介手数料買主が解体前提なら、価格に解体費が織り込まれる
解体して売る傷みが進んでいる。隣地や道路に影響が出ている片づけ、解体費更地にする前に、使える特例の要件を確認する
貸す借り手のある立地。修繕費を回収できる修繕費、管理委託料貸すと空き家の特別控除の要件から外れる
持ち続ける用途が決まっていない。親族に使う予定がある固定資産税、管理費(毎年)管理が切れると管理不全空家等の対象になりうる

4つのうち、いちばん選ばれているのは持ち続けるです。決めていないだけで結果として選んでいる形になります。毎年の支出と手間がそれに見合うかどうかだけ、一度計算しておくと迷いが減ります。

解体は、補助制度の有無を先に聞く

解体費の補助は自治体ごとに条件が違います。例として神戸市の老朽空家等解体補助制度は、市内にある1986年(昭和61年)12月31日以前に建てられた建物で、腐朽や破損のある空き家が対象です。補助額は解体する空き家の床面積によって決まり最大60万円、3戸以上の寄宿舎または共同住宅で面積100平方メートル以上に当たる場合は最大100万円になります。補助金の申請前に解体工事の契約や着工をしている場合は対象外です(出典:神戸市・2026年7月30日確認)。

金額も条件も自治体で変わるので、この数字を自分の家に当てないでください。持ち帰る情報は、制度がある自治体では契約の前に申請する、という順番だけです。庭木や庭石、ブロック塀の撤去が解体の見積もりに含まれるかどうかも業者で分かれます(庭石の処分費用はいくら?運び出しで決まる相場の話)。

売った年の税率は、所有期間で分かれる

譲渡所得の税率は、売った年の1月1日時点の所有期間で分かれます。5年を超える長期譲渡所得は所得税15%と住民税5%、これに復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加わります。5年以下の短期譲渡所得は所得税30%と住民税9%に、同じく復興特別所得税が加わります(出典:国税庁・長期譲渡所得短期譲渡所得・いずれも2026年7月30日確認)。相続で取得した不動産の所有期間の数え方は取得の経緯で変わるので、自分のケースは税務署か税理士で確認してください。

建物が消えたあと、土地だけが残る

実家じまいで最後まで残るのは土地です。家財は運び出せて、建物は解体でき、墓は移せます。土地は買い手がいなければ動きません。出口を並べます。

  • 隣地の所有者に打診する。接道や形の弱点は、隣の土地と一体になると消える場合がある
  • 市区町村の空き家バンクや相談窓口に登録する
  • 駐車場や資材置場など、建物を建てない使い方を探す
  • 相続土地国庫帰属制度を使う
  • 相続の段階に戻れるなら、放棄を検討する(3か月の期限がある)

国庫帰属は、金額より「引き取ってもらえない条件」を先に読む

相続や遺贈で取得した土地は、法務大臣の承認を受けて国庫に帰属させることができます。審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、申請を取り下げた場合や、審査の結果が却下や不承認だった場合も返還されません。承認されると、国有地の種目ごとに10年分の標準的な管理費用を考慮して算定した負担金を納めます。法務省の案内では一筆20万円が基準で、土地の種目や所在する区域によって変わります(出典:法務省・制度の概要負担金・いずれも2026年7月30日確認)。

先に読むのは除外条件です。建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地や所有権の存否や範囲に争いがある土地は申請できません。管理に過分な費用や労力がかかる崖がある土地、管理を妨げる物が地上にある土地、除去が必要な地下埋設物がある土地は承認されません。放置してきた土地ほど条件に当たりやすい制度だと考えてください。

実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

出口を一つずつ当たって、どれも成立しなかった土地の話

編集部の運営者は、沖縄の傾斜地を相続しました。順番はこうです。まず相続し、次に売却、寄付、国庫帰属といった出口を一つずつ当たり、どれも成立せず、いまも保有しています。売れない理由は特別なものではなく、傾斜があり、接道が弱く、使える状態にするための造成費が土地の値段を超える、という条件が重なっただけです。

毎年出ていくのは固定資産税で、年に約7万円です。金額としては小さく、だから何年も後回しにできました。後回しにできる金額であることが、いちばん厄介な性質だと思っています。ここに並べた順番は、そのときに知っておきたかったものを並べ直したものです。

畑や田が付いている場合、土地の話に農地の手続きが乗ります。宅地への転用には農業委員会の手続きが必要で、区域によっては許可が下りません。先に区域を調べないと、売る前提が崩れます(農地転用とは?費用と期間、許可が下りる条件をまとめて解説)。

墓と仏壇は、家とは別の時計で動く

解体日が決まってから墓と仏壇に手を付けると間に合いません。相手が役所と寺院と石材店に分かれていて、書類の順番が決まっているためです。

遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す改葬には、墓地、埋葬等に関する法律に基づく市区町村長の許可が必要です。申請先は、いま遺骨がある墓地の所在地の市区町村になります。横浜市の案内では、新しい墓地の使用許可書などを用意し、現在の墓地の管理者から埋蔵証明を受け、改葬許可申請書を提出して改葬許可証の交付を受け、それを新しい墓地の管理者に提出する流れです(出典:横浜市・2026年7月30日確認)。書式と必要書類は自治体で違うので、申請先の市区町村のページで確認します。

順番に直すと、受入先の決定、埋蔵証明、改葬許可、石材店による撤去と原状回復、新しい場所への納骨になります。最初に決めるのは受入先で、ここが決まらないと許可が取れません。寺院墓地の場合は、この前に離檀の話し合いが入ります。

仏壇は、閉眼供養(魂抜き)をしてから引き取りに出すのが一般的な段取りです。家の解体日程に押されて先に運び出すと、供養の順番が戻せません。金額は寺院と地域、仏壇の大きさで幅が大きく、平均値を出す意味が薄い費目です。ここは運営者の実体験ではないため、体験談ではなく手続きの順番として置いています。詳細は墓じまいとは?費用と流れ、遺骨の行き先の決め方仏壇の処分方法と費用|魂抜きから引き取りまでの順番にあります。

いつ始めるか、誰が決めるか

入口は4つあり、それぞれ最初の一手が違います。どこから来ても読めるように並べます。

いまの状況最初の一手
親が元気で、実家に住んでいる書類と鍵の場所、預金と保険、墓の名義を一緒に確認する
施設への入居が決まった家に紐づく契約の棚卸しと、住まなくなる日からの管理の担当決め
相続が起きた3か月と10か月をカレンダーに入れ、名義と相続人を確定させる
数年、空き家のまま置いている登記の状態、固定資産税の通知、市区町村からの通知の有無を確認する

決め方を決めると、揉める回数が減る

相続人が複数いるとき、一人でできることと全員の同意が要ることを最初に分けておくと止まりにくくなります。調査、書類集め、見積もりの取得、写真の記録は一人で進められます。売却、解体、遺産分割は全員の合意が必要な行為です。合意のない状態で解体や処分が進むと、そこから先が全部止まります。

記録も残してください。見積書、支払いの控え、作業前後の写真、誰といつ何を決めたか。実家じまいは支出が先に立ち、精算の話が後から来ます。立て替えた側が損をした感覚を持ったまま進むと、墓や仏壇の判断まで揉めます。

始める時期に正解はありません。期限が決まっている手続きだけは待ってくれない、というのが唯一の制約です。費用の内訳を見ながら、出せる金額と使える時間から逆算するのが現実的な進め方になります。

詰まりやすい場面と、誰に聞くか

止まる場面には型があります。よく詰まる5つと、そこで動かす相手を並べます。

相続人の一人が連絡に応じない

売却と解体は相続人全員の合意が必要な行為なので、一人が動かないと不動産の話が全部止まります。一方で相続登記の義務は相続人それぞれに及びます。遺産分割がまとまらないなら、期限内に相続人申告登記を出して義務の側だけ止め、分割の話は別の時計で進めるという分け方ができます。話し合いが対立に変わっているなら、その時点で弁護士に持ち込む場面です。

相続税がかかりそうだが、現金がない

申告と納税の期限は10か月です。不動産を売って払う想定だと、買い手が決まるまでの時間が読めないため、この期限に間に合わないことがあります。順番としては、売却活動を始める前に評価の見込みを税理士に立ててもらい、納税の資金をどこから出すかを先に決めます。

更地にしてから、特例の要件を知った

空き家の特別控除は、家屋の建築年や相続後の使い方で判定が変わります。買主が譲渡の翌年2月15日までに取壊しや耐震改修を行った場合も対象になる仕組みがあるため、自分で先に解体するのが常に得とは限りません。解体の工事契約より前に、税務署か税理士に自分のケースを当ててください。

市区町村から助言や指導の通知が届いた

管理不全空家等の段階です。勧告まで進むと固定資産税の住宅用地特例が外れます。届いた時点で担当課に連絡し、いまの状態と今後の予定(草刈りの時期、解体や売却の見込み)を伝えるほうが早く収まります。通知を放置して勧告に進む流れが、いちばん高くつきます。

農地や山林が付いていて、宅地だけでは売れない

宅地への転用は農業委員会の手続きが必要で、区域によっては許可が下りません。国庫帰属も、崖や地下埋設物、境界の不明といった条件で承認されません。売る前提が崩れることがあるので、土地の一覧を作った段階で地目と区域を先に調べます。

相談先の使い分け

聞きたいこと相手
名義、相続登記、必要書類司法書士、法務局
相続税、譲渡所得、特例の要件税理士、税務署
相続人の間の争い、遺産分割弁護士
境界、測量、越境土地家屋調査士
農地の転用、区域農業委員会、行政書士
空き家の制度、解体の補助市区町村の空き家担当課
売れる価格、売り方不動産会社(複数に当てる)
片づけの量と費用遺品整理業者(現地で見積もり)
改葬の手続き、墓の撤去市区町村の窓口、寺院や霊園、石材店

窓口が多く見えますが、同時に当たる必要はありません。1から3の段階で必要になるのは司法書士と税理士、5から7で不動産会社と業者、という順に増えていきます。無料相談の枠を持っている窓口も多いので、有料の依頼を決める前に、聞くだけの回を作って構いません。

確認した出典と、この記事から繋ぐ先

本文の数値と制度は、2026年7月30日確認に次のページで確認しました。制度は年度で変わるため、読んだ日にもう一度開いてください。

ABOUT US

実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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