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遺品整理の費用相場|間取り別の目安と追加料金の内訳

遺品整理の費用相場|間取り別の目安と追加料金の内訳

遺品整理の費用は部屋の広さで決まるように見えて、実際は現地の条件で動く。

結論から書く。事業者が公表する間取り別の相場は、同じ1R・1Kでも約3万〜8万円と約10万〜15万円が並び3倍ずれる。国民生活センターが分析した522件では、契約金額の平均が約42万円だった(2026年7月30日確認)。

この記事の目次
  1. 「間取り別の相場表」は事業者ごとに3倍ずれる
  2. 実際に請求された額の水準。国民生活センターが分析した522件
  3. 見積書の内訳を実物で分解する。14万円の中身
  4. 現地の条件で上に振れる。見積もり前に伝える8項目
  5. どこから別料金になるか。オプションの相場
  6. 買取で相殺できる部分と、相殺が総額を隠す仕組み
  7. 費用を下げる順番。効く順に5つ
  8. 追加請求とキャンセル料。実際に起きた3件の金額
  9. 契約した後に効く手。訪問販売に当たるなら8日
  10. 誰が払うか。相続財産から出す場合と、税の扱い
  11. 自分でやると総額はどこまで下がるか
  12. 細かい疑問への答え

「間取り別の相場表」は事業者ごとに3倍ずれる

費用を調べ始めると最初に出てくるのが間取り別の相場表だ。ところが表を2枚並べると、同じ間取りで金額が重ならない。

間取り比較サイトの公表値遺品整理事業者の解説の公表値
1R・1K約3万〜8万円約10万〜15万円
1DK・2K前後約5万〜12万円約15万〜30万円
1LDK・2DK前後約7万〜25万円約30万〜50万円
2LDK・3DK・3LDK以上約12万〜50万円約50万〜100万円以上

左は掲載800社以上のホームページと3万人以上の支払い金額データから算出したとされる相場(みんなの遺品整理・遺品整理の費用相場、2024年2月12日時点)。右は日本郵便のサイトに掲載された遺品整理事業者キーパーズ有限会社の解説(日本郵便・遺品整理の費用相場、2026年7月30日確認)。どちらも実務を持つ側が出した数字で、片方が誤りというわけではない。集計の母数と、どこまでを基本料金に入れるかが違う。

もう一つの見方として、価格.comの遺品整理サービスのページ(監修はメモリーズ株式会社代表取締役の横尾将臣氏)は実績の中央値として、1Rで約13万7千円、2LDKで約24万6千円、3LDKで約36万9千円を公表している(価格.com・遺品整理費用の仕組みと相場、2026年7月30日確認)。1Rの中央値は、比較サイトが示す1R・1Kの幅の上限である約8万円を超えている。

相談者相談者
どの表を信じればいいのか分からなくなってきました。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
どれも当てには使わない。相場表は自分の家の金額を先に知るためではなく、出てきた見積もりが桁として外れていないかを確かめるために使う

間取りが同じで幅が2倍から3倍に開くのは、作業量を決めているのが広さではなく物量と搬出のしにくさだからだ。相場表を先に握ると、幅の下限を期待値にしてしまう。順番を変えて、金額が何で積まれているかを先に見る。

実際に請求された額の水準。国民生活センターが分析した522件

相場表ではなく、契約が起きた後の金額が分かる公的な資料がある。国民生活センターは2018年7月19日に遺品整理サービスの契約トラブルについて注意喚起を公表しており、その参考資料でPIO-NETに登録された相談522件(2013年4月1日以降受付・2018年6月30日までの登録分)を分析している(国民生活センター・遺品整理サービスでの契約トラブル、2026年7月30日確認)。

項目数値
契約金額(契約購入金額)の平均約42万円
実際に支払った金額(既支払額)の平均約30万円
支払い手段9割以上が即時払い(現金等での一括払い)
販売購入形態訪問販売が58.5%(n=272)
相談内容(複数回答)契約・解約372件で71.3%、価格・料金36.2%、販売方法32.8%(n=522)

ここは慎重に読む必要がある。522件はトラブルとして相談された案件で、市場全体の平均ではない。それでも、契約金額の平均が約42万円という水準は、相場表の幅の下限で予算を組むと足りなくなる可能性を示している。支払い手段の9割以上が即時払いという点も実務に効く。作業当日に現金で払う流れが標準になっていると、金額に納得できないまま払い切ってしまう。

相談件数は年に100件前後で続いている

同じ資料のPIO-NET相談件数は2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件。2018年度は6月30日までの登録分で31件、前年の同期は16件だった。件数そのものは大きくないが、契約当事者は女性が337件(67.1%)で男性165件(32.9%)の約2倍、年代は70歳代21.0%と80歳以上17.3%を合わせて4割近くを占める(性別はn=502、年代はn=433)。親の家を片付ける側も高齢という構図が、その場で金額を詰めにくい理由になっている。

見積書の内訳を実物で分解する。14万円の中身

相場表より役に立つのは、実際に出された見積書の内訳だ。前記の国民生活センターの資料には、内訳が金額まで残った相談事例が載っている(2018年2月受付、60歳代、女性、滋賀県)。一人暮らしの母が亡くなり、実家の遺品整理でインターネットで探した事業者に見積もりを依頼した件だ。

項目金額全体に占める割合
スタッフ4人の人件費約76,000円約54%
2トントラック1台約25,000円約18%
トラック1台分の廃棄物処理代約40,000円約28%
見積合計約141,000円100%

人件費が半分を超え、車両と処分費が残りを分ける。この構造が分かると金額が動く理由もはっきりする。人件費は人数と時間の掛け算なので、階段や狭い道で作業が長引けば伸びる。処分費はトラック1台分という単位で積まれているので、量が1台に収まらなければ台数が増える。この件では最終的に約32万円を請求されている。

人数と時間の目安を先に置く

人件費の当たりを付けるために、間取りごとの作業人数と作業時間の目安を並べる。前掲の比較サイトが公表している数値(2024年2月12日時点)。

間取り作業人数の目安作業時間の目安
1R・1K1〜2名1〜2時間
1DK2〜3名2〜4時間
1LDK2〜4名2〜6時間
2DK2〜5名2〜6時間
2LDK3〜6名3〜8時間
3DK3〜7名4〜10時間
3LDK4〜8名5〜12時間
4LDK以上4〜10名6〜15時間

見積書に人数と時間が書かれていなければ、そこを埋めてもらう。3LDKで作業員2名・4時間という前提の見積もりが出てきたら、それは物量を小さく見た見積もりで、当日に増える余地が残っている。

料金体系は3つ。どれで出された見積もりかを先に確かめる

2社の見積もりを並べても比べられないことがある。組み立て方が違うからだ。前掲の価格.comの解説は、料金体系をパック料金型、作業内容ごとの定額型、買取併用型の3つに分類している。

体系金額の決まり方比べるときの注意
パック料金型間取りごとに料金の目安が設定される間取りで括るので、庭や物置、屋根裏の量が入っていないことがある。含まれる範囲を1行ずつ確認する
作業内容ごとの定額型必要な作業を組み合わせて積む積み上げなので比べやすいが、抜けた作業が当日に追加になる。搬出、清掃、家電、供養の有無を先に確定する
買取併用型家具や家電の買取金額を作業費から差し引く差引後の1つの数字で提示されると作業費が妥当か分からない。作業費と買取額を別行で出してもらう

基本料金に入るとされるのは、遺品の仕分けと貴重品の捜索、不用品の分別と搬出、処分の手続き、作業後の簡易清掃まで(価格.com・遺品整理費用の仕組みと相場)。日本郵便に掲載された解説では、全部屋10分から20分程度の簡易清掃と、帰社後の荷下ろしまでが料金に含まれるとされている。ここから先が別料金になる。

家電4品目は別の料金が二階建てで乗る

エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、遺品整理の作業費とは別の料金がかかる。払うのはリサイクル料金と収集・運搬料金の2つで、リサイクル料金はメーカーごと、収集・運搬料金は小売業者ごとに設定される(経済産業省・家電4品目の正しい処分早わかり、2026年7月30日確認)。小売業者には収集運搬料金を店頭掲示などで公表する義務があり、照会を受けたら回答する義務もある(環境省・家電リサイクル法Q&A(4)、2026年7月30日確認)。金額は聞けば分かる。品目ごとのリサイクル料金の実額は遺品整理とは?時期と費用、業者に頼む前の準備に自治体の公表額でまとめてある。

内訳の書き方を業者ごとに見比べる

間取りと地域を入れると、対応できる業者の料金の幅とオプションを一覧で見られる。金額だけ確認する使い方でも構わない。

遺品整理の料金を比べる

現地の条件で上に振れる。見積もり前に伝える8項目

同じ間取りで金額が2倍以上ずれる原因は、ほぼ現地の条件に集約される。伝え漏れがそのまま当日の追加請求になるので、訪問見積もりの前に自分から出す。

  1. 階数とエレベーターの有無。階段で下ろす作業は人数と時間の両方が増える。日本郵便に掲載された解説では、エレベーターのない高層階では真夏の作業で人員が3名から4名増えることがあるとされている
  2. 前の道路の幅と駐車できる位置。トラックを横付けできないと運搬距離が伸び、台数や往復回数が変わる
  3. 間取りに入っていない場所。庭、物置、離れ、ベランダ、屋根裏、床下収納。ここが見積もり後に出てくると量の前提が崩れる
  4. 重量物。金庫、ピアノ、大型の機械類は人員の追加や機材が必要になる
  5. 物量の見え方。押し入れや天袋の中身は外から見えない。開けて見せる
  6. 日程の指定と即日対応。日を絞ると割高になりやすい
  7. 時期。事業者の解説では、引っ越しが集中する2月から4月と年末が繁忙期にあたり、料金が高めに設定されることがあるとされている
  8. 特殊清掃の必要性。室内で長く発見されなかった場合は、消臭や殺菌、原状回復が入る別枠の作業になる

特殊清掃の金額は出所によって幅が大きく違う。比較サイトのオプション一覧では約30,000円からと表示され、日本郵便に掲載された解説では約15万円から50万円という水準が示されている(いずれも2026年7月30日確認)。前提にしている作業範囲が違うので、範囲を確かめずに安いほうの数字を持つと外れる。

そして、追加料金が発生する条件を契約書に書いてもらう。国民生活センターの資料は、追加料金についての説明を受けていないという相談が多く見受けられることから、追加料金が発生する場合があることについて消費者と事業者の間に認識の違いがあることが大きな要因と分析している。

どこから別料金になるか。オプションの相場

基本料金の外にある作業は、単価が公表されているものがある。前掲の比較サイトが掲載しているオプションの料金(2026年7月30日確認)。下限だけを示す表記なので、上限は現物を見ないと決まらない。

オプション料金の目安
形見分けの梱包・配送無料から数千円程度
自宅での供養約20,000円から
お焚き上げ約3,000円から
エアコンの取り外し無料から約6,000円
畳の撤去1枚あたり約3,000円から
風呂釜の撤去約10,000円から
ハウスクリーニング(部屋全体)1Rで約15,000円から
トイレ清掃約6,000円から
浴室清掃・キッチン清掃各約10,000円から
消臭除菌・害虫駆除各約10,000円から
特殊清掃約30,000円から
廃車の手続き代行約15,000円から
バイクの手続き代行約8,000円から

見積もりを取るときは、この一覧を上から読んで自分の家に当てはまるものに印を付ける。3LDKの実家なら、畳の撤去とハウスクリーニング、仏具の供養あたりで数万円が乗る前提になる。含めるか外すかを決めてから金額を出してもらうと、当日に迫られる判断が減る。

相談者相談者
供養やお焚き上げは業者に頼むほうが安いのでしょうか。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
値段だけなら寺院や神社に直接持ち込むほうが安く済む場合がある。ただ運ぶ手間と日程が別に発生する。作業日に一緒に出せることの価値と比べて決める

買取で相殺できる部分と、相殺が総額を隠す仕組み

作業費から買取額を差し引く提示の仕方は珍しくない。比較サイトの事例紹介にも、買取金額が作業費用を上回った件や、買取で一部が相殺された件が挙げられている。差し引かれるのはありがたいが、見積書の作り方としては危ない。

危ないのは1つの数字にまとめられたときだ。作業費30万円から買取10万円を引いて20万円という提示は、作業費が30万円で妥当なのか、買取が10万円で妥当なのかのどちらも検証できない。相見積もりを取っても、他社は差引前で出してくるので比べられない。

  • 作業費と買取額は別の行に分けて書いてもらう
  • 買取の対象になった品目を一覧で出してもらう
  • 買取額が当日に下がる条件があるかを聞く
  • 買取だけ別の会社に出す選択肢も残す

期待値の置き方も決めておく。買取で相殺できるのは、値が付く品が実際にあった場合に限られる。着物や貴金属、骨董は状態と種類で分かれるので、何が値になりやすいかを先に見ておくと交渉が変わる。着物の条件と相場は実家の着物は売れる?買取価格が付く条件と相場にまとめた。

なお、買取をする事業者は古物商の許可を持つが、この許可は中古品の売買のための許可であって、家庭から出るごみの運搬や処分には使えない。国民生活センターの資料も、家庭での遺品整理で捨てることとしたごみは一般廃棄物であり、市町村から委託を受けた事業者か市町村長から一般廃棄物処理業の許可を受けた事業者でなければ運搬や処分等を行うことはできない、産業廃棄物処理業や古物商の許可では不可と注記している。許可の見分け方は遺品整理とは?時期と費用、業者に頼む前の準備に整理してある。

費用を下げる順番。効く順に5つ

安くする方法は数多く挙げられるが、効き方の大きさが違う。内訳の割合から逆算すると順番が決まる。人件費が5割強、処分費が3割弱という構造なので、人と量に触る手が最も効く。

  1. 同じ条件で複数社に出す。国民生活センターは、事業者を選ぶ際は最低限、必ず複数の事業者から見積もりを取り、料金と契約内容を比較検討するようにと述べている。同じ間取りで公表値が3倍ずれる市場なので、1社だけの金額は高いか安いかの判断ができない
  2. 量を減らしてから呼ぶ。人件費は人数と時間、処分費はトラックの台数で決まる。量が減ればこの2つが同時に下がる。押し入れの衣類や雑誌のように自分で袋に入れられるものを、通常のごみの日に何回かに分けて先に出しておく
  3. 粗大ごみで出せるものを先に自治体へ出す。家具や寝具は自治体の手数料のほうが安く済むことが多い。ただし申し込みから収集日までに日数がかかるので、作業日が決まる前に始める
  4. 買取を分けて出させる。相殺後の1つの数字にせず、作業費と買取額を別の行にする。金額が見えれば削る場所が分かる
  5. 日程をずらす。即日や日付指定は割高になりやすく、事業者の解説では2月から4月と年末が繁忙期とされている。期限が緩いなら時期をずらすだけで下がる余地がある

やってはいけない削り方

  • 金額だけで一番安い相手に決める。国民生活センターは、見積金額が他よりも低いことだけを理由にすぐに契約せず、サービス内容と料金が自身の要望と合っているかを十分に検討するようにと述べている
  • 作業範囲を狭めて安く見せた見積もりを受ける。庭や物置を外して安くしても、当日に追加になれば総額は変わらない
  • 許可を確かめずに安い回収業者に頼む。家庭から出るごみを運べる許可がない相手に頼むと、処分の適法性の問題が残る
  • 立ち会いを省いて全部任せる。残す品の指示が伝わらないと、費用ではなく物で損をする

追加請求とキャンセル料。実際に起きた3件の金額

金額が動いた実例を、国民生活センターの資料から3件並べる。相場表では見えない部分がここに出る。

何が起きたか金額受付
作業当日に予定外の料金を請求され、最終請求が見積額の約2倍になった見積約141,000円から請求約32万円へ2018年2月・60歳代女性・滋賀県
見積もりのつもりで呼んだ事業者にその場で契約させられ、作業が始まらないので解約したい契約約324,000円・手持ちの約24,000円を支払い2018年4月・60歳代女性・兵庫県
他社が安かったのでキャンセルを申し出たら高額なキャンセル料を請求された契約約37万円に対しキャンセル料約17万円2017年7月・60歳代男性・岐阜県

2件目には見積書の書き方の問題が残っている。契約後に見積書を見返したところ、作業日は今月末までと、作業日の2日前まで違約金10%と書かれていたが、事業者から説明は受けていなかったという内容だ。書いてあれば足りるわけではないが、書いていない相手はもっと危ない。3件目のキャンセル料は契約額の約46%に当たる。

見積書の段階で潰しておく4行

国民生活センターは消費者へのアドバイスとして、複数社から見積もりを取って事業者の選定を慎重に行うこと、作業内容や費用を明確に出してもらい見積書の内容を十分に確認すること、料金やキャンセル料と具体的な作業内容を事前に確認すること、残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくこと、トラブルになったら消費生活センターに相談することの5点を挙げている。これを見積書の行に落とすと次の4行になる。

  1. 作業の範囲。どの部屋とどの場所までか。庭と物置と屋根裏を含むかを明記させる
  2. 追加料金が発生する条件と、その場合の単価
  3. キャンセル料の発生時期と金額。何日前から何%かまで
  4. 作業日と作業完了日。人数と車両の台数も書かせる

加えて、呼ぶ前に見積もり自体が有料かどうかを確認する。同じ資料は、見積もりの際に出張料や見積料などの名目で料金を請求される場合があると注意している。何社に当たり見積書のどこを見るかは遺品整理の業者の選び方|見積もりで見る5項目に分けた。

同じ条件で複数社に出してもらう

遺品整理士が在籍する全国の業者を、対応範囲と料金で比較できる。相見積もりの条件を揃える用途に向く。

遺品整理の料金を比べる

契約した後に効く手。訪問販売に当たるなら8日

金額に納得できないまま契約してしまった場合、契約の形によっては解除の余地が残る。前掲の522件の分析では、販売購入形態のうち訪問販売が58.5%を占めていた。自宅で契約するケースが多いということだ。

訪問販売とは、事業者が営業所等以外の場所で契約を締結して行う商品や役務の提供を指す(特定商取引法第2条)。訪問販売に当たる場合、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができる(同法第9条)。このとき損害賠償や違約金を支払う必要はなく、土地や建物の現状が変更されている場合は無償で元に戻してもらえる(消費者庁・特定商取引法ガイド 訪問販売、2026年7月30日確認)。

遺品整理で分かれ目になるのは、訪問を誰が求めたかではなく何のために求めたかだ。国民生活センターの資料は、消費者がその住居において契約を締結することを事業者に請求して行われた訪問販売の場合は適用除外となりクーリング・オフはできないが、単なる見積りのために訪問を要請した事業者とその場で契約をした場合には訪問販売に該当し特商法の規定が適用されると注記している。見積もりのつもりで呼んで、せかされてその場で契約したという形は、ここに入る余地がある。

同じ注記では、クーリング・オフは不備のない正しい記載がなされている契約書面を受け取った日から8日以内であれば無条件で行使でき、既に契約代金の一部を支払ってしまっている場合でもその返還を請求できるとされている。契約の大切な部分について事実と違うことを告げられた等の場合は、そのことに気付いてから1年以内であれば契約の取消しを行うことができる。

編集部は士業ではないので、あなたの契約がどれに当たるかの判断は書かない。判断が必要な段階なら、契約書と見積書を持って消費生活センターに相談するのが早い。窓口は消費者ホットラインの188で、住んでいる地域の相談窓口を案内してもらえる。

誰が払うか。相続財産から出す場合と、税の扱い

費用を誰が負担するかは、法律で一律に決まっているわけではない。実務上の考え方として、故人の預貯金などの相続財産から支払うのが基本とされることが多い(価格.com・遺品整理費用の仕組みと相場、2026年7月30日確認)。ただ、そのまま動かすと別の摩擦が起きる。

  • 遺産分割が終わる前に故人の口座から出すと、他の相続人から使途を問われる。領収書と内訳の写しを全員に回す
  • 立て替えた人が後で精算する形にするなら、誰が何を立て替えたかを1枚にまとめておく
  • 賃貸なら退去期限が作業日を縛る。日程を絞るほど割高になりやすいので、期限を先に共有する

相続税の葬式費用としては列挙されていない

相続税では、遺産総額から葬式費用を差し引ける。国税庁が挙げているのは、火葬や埋葬・納骨のためにかかった費用、遺体や遺骨の回送にかかった費用、通夜など通常の葬式に欠かせない費用、お寺などへの読経料などのお礼をした費用、死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用。差し引けないものとして、香典返しの費用、墓石や墓地の買入れや借入れの費用、初七日など法事の費用が挙げられている(国税庁タックスアンサーNo.4129 相続財産から控除できる葬式費用、令和7年4月1日現在法令等/2026年7月30日確認)。

遺品整理の費用は、この控除できるものの列挙にも、控除できないものの列挙にも書かれていない。編集部は税額の計算をしないので、あなたの支出がどちらに当たるかは税理士に確認してほしい。確認するときは、作業の内容が分かる内訳付きの領収書を持っていく。一式で書かれた領収書だと判断のしようがない。

相続放棄を考えているなら、遺品を動かす前に弁護士に相談する。放棄の効力や、放棄した後にその財産についてどこまで義務が残るかは事案ごとの判断になり、編集部の範囲を超える。家全体でいくらかかるかの組み立ては実家じまいの費用は総額いくら?項目別の内訳と削れる順番に置いた。

自分でやると総額はどこまで下がるか

自分で運べば人件費と車両費は消えるが、処分の実費は残る。粗大ごみの処理手数料は自治体が公表しているので、点数を数えれば先に計算できる。大阪市の手数料は1点につき200円、400円、700円、1,000円の4区分で、一覧に品目がない場合は幅・奥行・高さの合計で区分が決まる(大阪市・粗大ごみ処理手数料一覧表、2025年8月6日更新/2026年7月30日確認)。

幅・奥行・高さの合計手数料
1.5m未満約200円
1.5m以上2m未満約400円
2m以上2.5m未満約700円
2.5m以上約1,000円

メジャーで測れば申し込む前に金額が出る、という点がここの実用性だ。合計2.2mのたんすが700円程度、合計1.9mの食器棚が400円程度、合計2.6mの本棚が1,000円程度、合計1.4mの衣装ケースが200円程度。この4点で2,300円程度になる。家具を数点出す規模なら、処分費は数千円で収まる。

ここに家電4品目のリサイクル料金と収集・運搬料金が乗り、量が多ければ搬出のための車両と人手が乗る。区分の金額も品目の分け方も自治体ごとに違うので、必ず自分の市区町村の一覧で確認する。名古屋市の区分と家電のリサイクル料金の実額、それに交通費や休みの日数といった見えにくい費用の数え方は遺品整理とは?時期と費用、業者に頼む前の準備に置いた。

分かれ目は3つ。物量が少ないか、現地が近いか、期限が緩いか。3つそろえば自分でやる側が安くなる。1つでも欠けると、休みを取る日数と往復の交通費で外注との差が消える。

細かい疑問への答え

訪問見積もりなしで金額を出す業者はどうか

電話や写真だけで出た金額は、現地を見た後に変わる余地が残る。国民生活センターの相談事例でも、作業当日に搬出用のトラックの追加が必要などとして当初の見積金額以外の追加料金を請求されるケースが挙げられている。訪問見積もりを断る相手は、その時点で比較の対象から外していい。

相見積もりは何社取ればいいか

同じ資料は、最低限、必ず複数の事業者から見積もりを取り、料金と契約内容を比較検討するようにと述べている。件数の指定はない。実務上は、料金体系の違う3社に同じ条件で出してもらうと幅の形が見える。

一式いくらの見積書は受け取っていいか

受け取らないほうがいい。同じ資料は、具体的な作業内容や費用単価等が記載されていない書面が交付されていたり、そもそも契約書面すら交付されていなかったりするケースもあると指摘している。人件費、車両費、廃棄物の処分費が別の行になっているかを見る。

地域によって相場は違うか

違うとされているが、公表されている地域別の一覧は、その地域に掲載されている業者の料金であって統計ではない。同じ市内でも道路の幅と階数で金額が変わる。地域名で相場を探すより、現地を見た見積もりを2社から3社取るほうが早い。

物が極端に多い家では相場表は使えるか

使えない。間取り別の相場は物量が標準的な前提で作られている。比較サイトの相場表にも、ゴミ屋敷のような状態や特殊清掃が必要な場合は料金が変わるという注記が付いている。この場合は間取りを伝えるより、写真を送って現地を見てもらうほうが早い。

遠方で立ち会えない場合は高くなるか

立ち会いなしの作業を受ける事業者はある。ただ残す品と処分する品の指示を口頭でできないので、指示の書面化と写真の共有が前提になる。国民生活センターの相談事例には、処分しないよう頼んだ物を勝手に処分されたという件も含まれている。費用の増減より、指示の残し方でもめる確率が上がる。

買取額で作業費が0円になることはあるか

比較サイトの事例紹介には買取金額が作業費用を上回った件が挙げられているが、値の付く品が実際にあった場合に限られる。予算の前提に置く数字ではない。

費用が払えない場合はどうするか

賃貸で退去期限が迫っているのか、持ち家で期限がないのかで打てる手が変わる。持ち家なら急ぐ理由がない場合も多い。生活状況に応じた支援の有無は自治体ごとに違うので、市区町村の福祉の窓口に事情を伝えて確認するのが確実だ。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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