ホーム/借地の実家/借地の承諾料の相場|何を頼むときにいくら払うか

借地の承諾料の相場|何を頼むときにいくら払うか

地主から承諾料を求められて、金額が妥当なのか判断できないまま止まっている段階でも読める。頼む内容ごとに分けると、譲渡は借地権価格の10パーセント程度、建替は更地価格の3〜5パーセント程度、非堅固から堅固への条件変更は更地価格の10パーセント程度が目安とされる。

金額を定めた法律はない。相続だけは原則として支払いの根拠がなく、承諾が得られないときは裁判所の借地非訟という道がある。

この記事の目次
  1. 承諾料が出てくる場面を、頼む内容ごとに分ける
  2. 譲渡承諾料の相場と、金額の出し方
  3. 建替承諾料と条件変更承諾料は、更地価格が基準になる
  4. 相続では原則として承諾料はいらない
  5. そもそも承諾料に支払義務はあるのか
  6. 承諾が得られないときは借地非訟という道がある
  7. 旧借地法か借地借家法かで前提が変わる
  8. 無断で進めた場合に何が起きるか
  9. 実家じまいの側から見た確認の順番

承諾料が出てくる場面を、頼む内容ごとに分ける

借地では土地の所有者は地主のままで、建物だけが借地権者のものになっている。土地の使われ方が変わる場面では地主の承諾が要り、その承諾の対価として支払われる一時金が承諾料と呼ばれている。頼む内容によって名前も、相場の示され方も違う。ここを混ぜたまま金額だけを比べると、高いのか安いのか判断できない。

相談者相談者
地主から承諾料と言われたが、何に対するお金なのか説明がない
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
先に「何を頼んでいるか」を確定する。譲渡なのか、建替なのか、用途や構造の変更なのかで、基準になる価格そのものが変わる

2026年8月6日時点で実務に出てくる主な種類は次のとおり。

名称頼む内容目安の示され方
譲渡承諾料(名義書換料)借地権付き建物を第三者に売る、贈与する、遺贈する借地権価格の10パーセント程度
建替承諾料既存の建物を取り壊して建て直す更地価格の3〜5パーセント程度
条件変更承諾料非堅固から堅固へ、または用途を変える更地価格の10パーセント程度
転貸承諾料借地権を第三者に転貸する個別。譲渡に準じて交渉される

基準になる価格が違う点が要注意になる。譲渡承諾料は借地権価格に対する割合、建替承諾料と条件変更承諾料は更地価格に対する割合で把握されるのが通常だと、不動産鑑定の実務解説は説明している(堤不動産鑑定、2026年8月6日確認)。更新料は承諾料とは別の一時金で、扱いも争点も違う。借地の更新料はいくら?払う義務があるかの見方で分けて整理している。

譲渡承諾料の相場と、金額の出し方

借地権付きの実家を売るとき、地主に支払うのが譲渡承諾料で、名義書換料や名義変更料とも呼ばれる。目安は借地権価格の10パーセント程度とされることが多い。日本地主家主協会は「借地権価格の10%程度が一つの目安」とし、そのうえで条件変更、更新料、借地期間を考慮して決まると説明している(2026年8月6日確認)。法律事務所の解説でも、概ね借地権価格の10パーセント程度が一つの目安という同じ水準が示されている。

では借地権価格をどう出すか。売買の場面では最終的に市場での評価になるが、当たりを付ける段階では相続税評価の考え方が使える。国税庁のタックスアンサー「No.4611 借地権の評価」は、普通借地権の価額を、その宅地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて求めるとしている。借地権割合は借地事情が似ている地域ごとに定められていて、路線価図や評価倍率表に表示されている、とも書かれている(2026年8月6日確認)。

つまり手順は、国税庁の財産評価基準書で対象地の路線価と借地権割合を調べ、路線価に面積を掛けたものを土地の評価額とし、それに借地権割合を掛ける、という順になる。たとえば土地の評価額が2000万円、借地権割合が60パーセントなら借地権価格は1200万円で、その10パーセントなら120万円前後が目安の位置になる。

ただし、これは目安を置くための計算で、実際に地主と決める金額そのものではない。路線価は相続税の課税のための価格で、売買の実勢とはずれる。取引の場面での金額は、更新時期がいつか、建替を伴うか、地代の改定を一緒に話すかで動く。編集部は税額や適正額の算定に立ち入らない立場を取っている。金額の妥当性を詰める段階では、借地に慣れた不動産会社か弁護士、税務は税理士に確認する範囲になる。

消費税の扱いは国税庁が明示している。借地上に建物を所有している者が第三者に借地権付きで建物を譲渡する際、地主が承諾の対価として受ける名義書換料は、他の者に土地を利用させることの対価と認められるため非課税とされている(国税庁 質疑応答事例、2026年8月6日確認)。

建替承諾料と条件変更承諾料は、更地価格が基準になる

実家じまいの場面で先に来るのは、売るより建て直しや解体後の扱いということもある。借地上の建物を取り壊して建て直す場合、契約に増改築を制限する定めがあれば地主の承諾が要り、建替承諾料が問題になる。相場は更地価格の3〜5パーセント程度とされる(堤不動産鑑定、2026年8月6日確認)。更地価格1億円なら300万円から500万円程度という水準になる。

単なる建替ではなく、木造などの非堅固建物から鉄筋コンクリートなどの堅固建物へ変える場合や、住宅から店舗へと用途を変える場合は、条件変更承諾料として別枠で扱われる。目安は更地価格の10パーセント程度で、非堅固建物所有の場合の借地権価格と堅固建物所有の場合の借地権価格の差額が一つの基準になる、という整理が法律事務所の解説にも出ている(川崎パシフィック法律事務所、2026年8月6日確認)。建替より高く出るのは、土地の使われ方が長期に変わり、地主側への影響が大きいという理屈による。

ここで詰まりやすいのが、基準にする更地価格をどの数字で取るかという点になる。固定資産税評価額は地価公示価格の7割程度、路線価は8割程度の水準とされ、どれを基準に置くかで承諾料の額が動く。当事者が合意できるなら基準の決め方は自由で、法律が定めているわけではない。合意に至らないときは裁判所の手続きに移り、鑑定委員会が算定する。

相談者相談者
契約書に増改築の制限が書いていない場合はどうなるか
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
増改築を制限する定めがなければ、そもそも承諾を要する場面ではないという整理になる。まず契約書の文言を確認する。契約書が見つからない場合は、地代の領収書や過去の承諾書が手掛かりになる

相続では原則として承諾料はいらない

実家じまいで最も多い誤解がここになる。親が借地権者で、亡くなって相続人が引き継いだ場合、地主から名義変更料や譲渡承諾料を請求されることがある。ただし相続による承継は、民法612条が承諾を必要としている「譲渡」には当たらない。相続人は被相続人の権利義務をそのまま引き継ぐため、地主の承諾を要する場面ではなく、承諾の対価を支払う根拠もない、という説明が実務の解説で共通している(相続専門の法律事務所の解説、2026年8月6日確認)。

一方で、相続と形が似ていても扱いが違うものがある。

  • 遺贈:遺言によって財産を無償で譲るもの。法定相続人以外への遺贈は、承諾と承諾料が必要になり得る
  • 生前贈与:子への贈与でも、相続ではないため譲渡に当たり、承諾と承諾料の対象になる
  • 遺産分割の結果として第三者へ売る:これは相続ではなく譲渡なので、譲渡承諾料の話になる

請求されたときにその場で払うか払わないかを決めない。相続で引き継いだのか、遺贈なのか、贈与なのかを確定してから話す。地主との関係を壊さないために名義変更の挨拶と契約名義の書き換えは早めに済ませたうえで、金銭の要求だけは分けて扱う、という順番が現実的になる。借地に建つ実家を相続した直後の確認順は借地に建つ実家を相続したら|最初に確かめる3つと4つの出口にまとめている。

なお相続税の場面では、借地権も相続財産として評価の対象になる。土地は地主のものでも、借地権という財産を引き継いでいるという扱いになる。評価額の計算や申告要否は税理士の領域で、編集部は個別の税額計算をしない。

借地権の評価や名義の扱いを税理士に確認したいとき

借地権は土地の所有権がなくても相続財産として評価される。承諾料の要否と相続税の申告は別の話なので、評価額の見立てだけでも先に確認しておくと、地主との交渉で押し切られにくくなる。

無料で相続税の相談をする

そもそも承諾料に支払義務はあるのか

承諾料の金額を定めた法律の条文はない。譲渡承諾料は慣習として行われているもので、法律上の明文の義務ではない、という点は不動産会社の解説でも法律事務所の解説でも一致している。だから「相場だからこの額を払え」という主張には、それ自体では強制力がない。

ただし、払わずに進めてよいという結論にはならない。民法612条1項は、賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができないと定めている。承諾を得ずに譲渡すれば契約の解除事由になり得る。承諾料が義務ではないことと、承諾が要ることは別の話になる。

整理すると次の三層になる。

  1. 承諾が要るかどうか:民法612条と契約書の定めで決まる。ここは動かない
  2. 承諾料を払うかどうか:契約書に定めがあればその定めによる。定めがなければ交渉事になる
  3. いくら払うか:法律に基準はなく、慣行の目安と借地非訟の実務水準が参照される

建替承諾料についても、契約書に増改築の制限や承諾料の記載がなければ支払義務があるとは言えない、という説明が不動産会社の解説に出ている。争いのある論点は争いのあるまま扱うほうが安全になる。更新料の支払義務の有無は、慣習としての支払義務を否定した判例がある一方、契約に定めがある場合の扱いは別に議論されていて、決着した一本の答えがあるわけではない。

編集部は士業ではないため、あなたの契約書がどちらに当たるかの判断はしない。契約書の該当条項を写真に撮って、借地の取り扱い実績がある不動産会社か弁護士に見せる、というところまでが自分でできる範囲になる。

承諾が得られないときは借地非訟という道がある

地主が承諾しない、あるいは相場からかけ離れた額を求めてくる場合、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める手続きがある。借地非訟と呼ばれる。根拠は借地借家法にあり、条文と類型は次のとおり(e-Gov法令検索および東京地方裁判所の案内、2026年8月6日確認)。

  • 借地条件変更申立事件:借地借家法17条1項
  • 増改築許可申立事件:同法17条2項
  • 土地の賃借権の譲渡または転貸の許可申立事件:同法19条1項
  • 競売または公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件:同法20条1項。この申立ては建物の代金を支払った後2か月以内に限られる(同法20条3項)
  • 借地権設定者の建物および土地賃借権譲受申立事件(介入権):同法19条3項、20条2項

19条1項は、第三者が賃借権を取得しても地主に不利となるおそれがないのに地主が承諾しないとき、裁判所が承諾に代わる許可を与えることができるとし、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、その許可を財産上の給付にかからしめることができると定めている。この財産上の給付が、実務で譲渡承諾料と呼ばれているものに当たる。つまり承諾料は、裁判所が公平の観点から額を決める性質のものになる。

東京地方裁判所の案内によると、裁判所は裁判の前に原則として鑑定委員会の意見を聴く必要があり(17条6項、18条3項、19条6項、20条2項)、事件ごとに弁護士、不動産鑑定士、有識者から3人以上の鑑定委員が指定される。鑑定委員に要する費用は国が負担すると明記されている。期間の目安は、申立てから概ね1か月から1か月半後に第1回審問期日、その約1か月半後に鑑定委員の現地調査、意見書提出後に1か月から1か月半程度で審問期日、という流れになる。

注意すべきは介入権で、地主の側が建物と借地権を自ら買い取る申立てをすることができる。譲渡許可を求めた結果、地主に借地権を買い取られるという展開もあり得る。手続きに入る前に、その結果を受け入れられるかを確認しておく必要がある。

旧借地法か借地借家法かで前提が変わる

実家の借地は、契約が古いことが多い。ここを確認しないまま条文を当てると、記事も判断も丸ごとずれる。

現行の借地借家法は平成3年10月に公布され、平成4年8月に施行された(国土交通省「定期借地権の解説」、2026年8月6日確認)。施行日は平成4年(1992年)8月1日とされ、同時に借地法、借家法、建物保護ニ関スル法律が廃止された。附則1条は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と定め、具体の日は政令に委ねられている。

問題は、平成4年7月31日以前に設定された借地権にどちらが適用されるかになる。附則の構造は次のとおり。

  • 附則4条:この法律の規定は、附則に特別の定めがある場合を除き、施行前に生じた事項にも適用する。つまり原則は新法が及ぶ
  • 附則5条:施行前に設定された借地権について、建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による
  • 附則6条:施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による

更新と朽廃という、借地の存続そのものを左右する部分は旧借地法のままになる。施行後に更新した契約であっても、旧法で設定された借地権であれば更新の規律は旧法によるという整理が実務解説で共通している。新法の適用があるのは平成4年8月1日以降に設定された借地権、という言い方はこの意味になる。

承諾料に関わる部分では、借地条件変更や増改築許可などの借地非訟の規定は、旧借地法の適用がある借地権にも一部を除いて適用される。旧法時代の契約でも、承諾が得られないときに裁判所へ行く道は開かれている。ただし個別の契約がどちらに服するかの最終判断は、契約書と設定時期を見た専門家の領域になる。契約書に記載された契約日と、建物の登記事項証明書に出る新築年月日が、時期を確かめる最初の材料になる。

無断で進めた場合に何が起きるか

承諾料を惜しんで無断で売却や建替に踏み切ると、失うものが承諾料より大きくなる。民法612条2項により、無断譲渡や無断転貸は契約の解除事由になり得る。解除されれば借地権そのものを失い、建物も土地上に置いておけなくなる。

実務では、無断行為があっても地主との信頼関係を破壊するとは言えない事情があれば解除が認められないという判断枠組みが用いられているが、それは裁判で争って初めて分かる話で、事前に当てにできる保険ではない。承諾を得ずに進めた借地権付き建物は、買主側も敬遠するため売却自体が難しくなる。

逆に、契約が終わる場面では借地権者を守る条文もある。借地借家法13条1項は、借地権の存続期間が満了した場合に契約の更新がないとき、借地権者は借地権設定者に対し建物を時価で買い取るべきことを請求することができると定めている。14条は、借地上の建物を取得した第三者が譲渡や転貸を承諾されなかった場合に、その第三者も時価での買取を請求できるとしている。承諾が得られないまま話が止まったときの出口の一つが、この建物買取請求権になる。

また同法21条は、17条から19条までの規定に反する特約で借地権者または転借地権者に不利なものは無効とすると定めている。契約書に「借地非訟の申立てをしない」といった趣旨の条項があっても、そのまま効くとは限らない。契約書の文言だけで諦めない材料になる。

実家じまいの側から見た確認の順番

借地の実家を片付ける立場からは、承諾料は単独の論点ではなく、出口の選び方に付いてくる費用になる。順番を先に決めると、余計な承諾料を払わずに済むことがある。

  1. 契約書を探す。契約日、存続期間、増改築の制限、譲渡に関する定め、承諾料の記載を確認する
  2. 設定時期から、旧借地法と借地借家法のどちらの規律が働く契約かを見当付ける
  3. 今からやろうとしていることを一つに絞る。売るのか、建て直すのか、更地にして返すのか。承諾料の種類も基準価格も、ここで決まる
  4. 国税庁の財産評価基準書で路線価と借地権割合を調べ、借地権価格の当たりを付ける
  5. そのうえで地主に相談する。金額を提示されたら、その場で応じず根拠を聞く
  6. 折り合わなければ、借地に強い不動産会社か弁護士に入ってもらい、借地非訟も選択肢に含めて検討する

建て直して住むのでなければ、建替承諾料を払う場面自体が発生しないこともある。売却を選ぶなら建替承諾料ではなく譲渡承諾料の話になり、地主に借地権を買い取ってもらう形なら承諾料は問題にならない。出口ごとの違いは借地権付きの実家を売る3つの方法|地主・第三者・同時売却で分けている。

相談者相談者
地主と揉めたくないので、言われた額を払ってしまいたくなる
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
関係を保つ選択自体は否定しない。ただし根拠を聞いて記録に残すことと、承諾の範囲を書面にしておくことは別に必要になる。承諾したはずの条件が後から変わったという相談は実際に起きている

承諾を得たら、承諾の内容と承諾料の額、支払期限を書面にする。譲渡の場面では借地権譲渡承諾書という形にするのが一般的で、条件の抜けがあると後で争いになる。編集部は法令の解釈や個別の金額の妥当性を判断する立場ではないため、書面の作成と最終確認は借地の実務に慣れた専門家に委ねる範囲になる。

ABOUT US

実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

実家の土地、まず相場だけ知る

無料で取り寄せる →