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実家を更地にする費用と、更地にしてから売る損得

実家を更地にする費用と、更地にしてから売る損得

実家を更地にするか決めきれないのは、解体費だけ調べても総額が見えないからだ。

木造30坪の解体は各社集計で90〜150万円が目安。ここに付帯工事と整地、滅失登記が乗り、翌年からは住宅用地特例が外れて土地の固定資産税が上がる。売り先が決まる前に壊すと、費用と税を同時に抱える。判断の分岐は本文の表にまとめた。

この記事の目次
  1. 更地にするまでに出ていくお金の全体像
  2. 構造と坪数で見る解体費用の目安
  3. 見積りで後から乗ってくる付帯費用
  4. 工事の前後にある手続きと期限
  5. 更地にすると固定資産税はどう変わるか
  6. 更地にして売るか、建物付きで売るか
  7. 解体費と税金で戻ってくる部分
  8. 自治体の解体補助金は先に確認する
  9. 更地にしても売れなかったときに残るもの
  10. 壊す前に決めておく順番

更地にするまでに出ていくお金の全体像

「実家 更地 費用」で出てくる金額のほとんどは、解体工事費そのものを指している。ただし実際に口座から出ていくのはその一項目ではない。付帯工事、整地、登記、法定の届出、そして解体した翌年からの固定資産税の増分まで足して、はじめて更地にするコストになる。

項目目安何で決まるか
解体工事費構造と坪数で90〜400万円台木造/鉄骨/RC、延床面積
付帯工事費数万円〜100万円超塀、樹木、浄化槽、アスベストの有無
整地・仕上げ粗整地で1㎡あたり数百円〜仕上げの程度、舗装するか
建物滅失登記自分で申請すれば実費、依頼で数万円土地家屋調査士に頼むかどうか
建設リサイクル法の届出手数料はかからない延床80㎡以上かどうか
解体後の固定資産税の増分土地分が数倍になりうる住宅用地特例が外れるため

見落とされやすいのは下の2行で、どちらも工事が終わってからしか発生しないため、解体業者の見積書には出てこない。更地にした状態が何年続くかによって、この2行の合計は解体費に迫ることもある。

構造と坪数で見る解体費用の目安

解体費に公的な基準単価はない。不動産売却系の媒体が公開している集計を並べると、幅はおおむね次の範囲に収まる(SUUMO住まいの売却ガイド/LIFULL HOME'S、いずれも2026年7月31日確認)。

構造坪単価の目安30坪50坪
木造3〜5万円90〜150万円150〜250万円
鉄骨造5〜7万円150〜210万円250〜350万円
鉄筋コンクリート造6〜8万円180〜240万円300〜400万円

別媒体の集計でも木造30坪は120〜150万円、RC30坪は180〜240万円とされており、幅は重なる。つまりこの範囲を大きく外れる見積りが出たときは、坪単価ではなく別の条件が効いていると考えたほうが早い。

坪単価から外れる主な条件

  • 前面道路が狭く、重機やダンプが入らない。手壊しの割合が増える
  • 隣家との距離が近く、養生や防音対策を厚くする必要がある
  • 建物が2棟以上ある、増築部分の構造が母屋と違う
  • アスベストを含む建材が使われている(後述の付帯費用に直結する)
  • 敷地が傾斜している、擁壁がある

坪単価はあくまで入口の数字で、実家のように築年数が古く、増改築を重ねた建物ほど坪単価から離れやすい。現地を見ない電話見積りの金額をそのまま予算にしない。

見積りで後から乗ってくる付帯費用

建物本体以外の撤去は、多くの見積書で別項目になっている。実家の敷地は庭木や塀、古い浄化槽が残っていることが多く、ここで数十万円動く。

項目費用の目安
ブロック塀の撤去1㎡あたり2,000〜10,000円
庭木の伐採・抜根1本あたり8,000〜50,000円
浄化槽の撤去5〜10万円
アスベスト含有建材の除去1㎡あたり2〜8.5万円
コンクリート・土間の処分1㎡あたり5,000円〜
粗整地1㎡あたり300〜600円

アスベストは幅が広く、量が多ければ本体工事費を超えることもある。2006年以前に建てられた建物では事前調査が入るため、調査結果が出るまで総額は確定しない。

もうひとつ差が出るのが残置物だ。家具や布団、仏具などを片づけずに解体業者へ丸ごと任せると、産業廃棄物として処理されて単価が上がる。処分を分けるだけで数十万円変わる場合がある。

相談者相談者
見積りは1社だけ取れば十分ですか。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
同じ建物でも付帯工事の見積り方が業者ごとに違うため、幅を知る目的で複数社を並べる意味がある。

解体費用の幅を先に知る

構造・坪数・付帯工事の条件で金額は動く。まず複数社の見積りを並べて、自分の実家がどの帯に入るかを確かめる。

無料で解体費用を比べる

解体費の内訳をさらに細かく見るなら、空き家の解体費用の相場|坪単価と追加費用の内訳にまとめてある。

工事の前後にある手続きと期限

解体は工事だけで終わらない。前後に期限つきの手続きが挟まる。

着工の7日前までに届出(建設リサイクル法)

床面積80㎡以上の建築物の解体工事は分別解体等の対象となり、工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事へ計画を届け出る義務がある(環境省「建設リサイクル法の概要」/2026年7月31日確認)。実務では解体業者が代理で出すことが多いが、義務者は発注者、つまりあなた側にある。

取壊しから1か月以内に建物滅失登記

建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人が、滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請しなければならない(不動産登記法57条/静岡地方法務局の案内、2026年7月31日確認)。申請には解体業者が発行する取壊証明書が要る。自分で法務局に出せば登録免許税はかからず、土地家屋調査士に依頼すると報酬が数万円かかる。

滅失登記を出さないと、なくなった建物に課税が残ったままになり、土地の売却手続きも進まない。工事完了時に取壊証明書を必ず受け取っておく。

名義が親のままなら先に相続登記

相続登記の申請義務化は令和6年4月1日に施行されている(法務省/2026年7月31日確認)。名義が被相続人のままだと解体後の土地を売る段階で止まるため、更地にする前に登記の状態を確認しておく。相続人が複数いる場合の持分や分割の判断は、司法書士に確認する範囲になる。

更地にすると固定資産税はどう変わるか

更地にする判断でいちばん重い変化がここにある。住宅が建っている土地には課税標準の特例があり、建物を壊すとそれが外れる。

区分固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)価格×1/6価格×1/3
一般住宅用地(200㎡を超える部分)価格×1/3価格×2/3

税率は固定資産税1.4%、都市計画税0.3%(東京都主税局/2026年7月31日確認)。よく言われる「6倍」は、この小規模住宅用地の1/6が外れることを指している。

ただし実額がそのまま6倍になるとは限らない。非住宅用地には課税標準を評価額の70%で計算する調整があり、解体系の媒体の解説では実際の増え方は3〜4倍程度に収まるケースが多いと説明されている。逆に、建物の評価額が高く家屋分の税が大きかった土地では、家屋分が消える効果で差が縮む。数字は自治体の課税明細書で土地分と家屋分を分けて見るのが確実で、市区町村の資産税課に現況で聞ける。

1月1日をまたぐかどうかで1年ずれる

固定資産税は毎年1月1日時点の現況で決まる。12月に工事を終えると翌年度から特例が外れ、1月に入ってから壊せば、その年度はまだ特例が乗ったままになる。売却の見通しが立っていない段階で年内に壊すと、上がった税額を売れるまで払い続けることになる。

壊さなくても特例が外れる場合がある

令和5年12月13日に改正空家法が施行され、管理不全空家等・特定空家等の枠組みが整理された。勧告を受けた場合は、建物が建っていても住宅用地特例が解除される(国土交通省/2026年7月31日確認)。放置していれば必ず安いまま、とは言えない。税の側の詳しい条件は空き家の固定資産税が6倍になる条件と回避の順番で整理している。

更地にして売るか、建物付きで売るか

更地にする理由が売却なら、比べる相手は「古家付き土地のまま売る」になる。どちらが有利かは物件の条件で反転する。

更地にしたほうが向く建物付きのままが向く
建物が明らかに再生不能で、内見の印象を下げている再建築不可(接道義務を満たさない、市街化調整区域など)
買主が自分で家を建てる実需層で、土地の相場が解体費を十分上回る解体費が土地の想定価格に近い、または上回る
境界が確定していて、引渡しまでの期間が読める古民家として使える、賃貸や再生の余地がある
近隣から管理状態の指摘が出ている売れるまでの期間が読めず、税負担を伸ばしたくない

再建築不可の土地を更地にすると、建て替えできない空き地になる。この場合は建物という既存不適格の資産価値を自分で消してしまうため、解体は不利に働きやすい。

中間解として「更地渡し」がある

売買契約を結んだうえで、引渡しまでに解体して更地にする条件を付ける方法がある。買主が決まってから壊すので、売れ残った期間の高い固定資産税を負担せずに済む。ただし解体費は売主負担であることが多く、地中埋設物が出た場合の費用分担を契約書に書いておかないと揉める。

更地にする前に、建物付きでいくらの評価が付くかを一度知っておくと、解体費を差し引いた比較ができる。手順は実家を売る手順と相場の調べ方|更地と現状の比較にまとめた。

建物付きの評価を先に確かめる

解体費を出す前に、今の状態でいくらと見られるかを複数社の査定で比べる。更地にする損得はこの数字が出てから決まる。

無料で査定額を調べる

解体費と税金で戻ってくる部分

解体費は出ていくだけの支出とは限らない。売却とセットにすると、税の計算で拾える部分がある。

取壊し費用は譲渡費用になる

土地を売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額は、譲渡費用として認められている(国税庁タックスアンサーNo.3255「譲渡費用となるもの」/2026年7月31日確認)。譲渡所得が出るケースでは、解体費が課税対象を減らす方向に効く。なお、維持管理のための修繕費や固定資産税は譲渡費用にはならない。

空き家の3,000万円特別控除

相続した被相続人の居住用家屋とその敷地を売った場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる(国税庁タックスアンサーNo.3306/2026年7月31日確認)。確認しておく点は次のとおり。

  • 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡であること
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 相続時から譲渡時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていないこと
  • 家屋を取り壊して敷地を売る場合、取壊し後から譲渡まで建物や構築物の敷地に使っていないこと
  • 令和6年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上のとき控除額は2,000万円
  • 令和6年1月1日以後の譲渡では、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに取壊しや耐震基準を満たす工事を行った場合も対象になりうる

期限が「相続から3年」で切られている点が実務上いちばん効く。解体の見積り取得から工事完了まで数か月かかるため、逆算しないと間に合わない。適用できるかどうかの判定と税額の計算は税理士に確認する範囲で、編集部は士業ではないため個別の可否は示さない。

自治体の解体補助金は先に確認する

老朽化した空き家の除却に補助を出す自治体は多い。ただし金額も要件も自治体ごとに違い、年度で変わる。実例を挙げる(いずれも2026年7月31日確認)。

  • 松山市:老朽危険空家除却事業。令和8年度から補助上限を100万円に引き上げ、島しょ部は160万円
  • 名古屋市:老朽危険空家等除却費補助金。市の評価が75点以上で工事費の3分の1(最大40万円)、125点以上で3分の2(最大80万円)
  • 神戸市:老朽空家等解体補助制度。1986年12月31日以前に建てられ、腐朽・破損のある空き家が対象

制度の使い方は共通している

  1. 事前調査を申請し、市が現地を見て老朽度を判定する
  2. 判定を受けてから交付申請を出す
  3. 交付決定の通知が届いてから着工する
  4. 年度内に工事完了と支払いまで終える

ここで落ちる典型が3番で、交付決定前に着手した工事は対象外と明記している自治体がある(名古屋市)。業者に急かされて先に契約すると使えなくなる。

予算枠にも注意がいる。長野市は令和8年度分について予算上限に達し、申請手続きを終了している。年度の早い時期に窓口へ当たるほうが確実だ。

また宇都宮市は、補助の同意を取る際の注意として、更地にすると住宅用地特例が適用されなくなることを権利者に説明するよう案内している。補助で解体費の一部が戻っても、翌年からの税負担は別に残るという整理は自治体側も前提にしている。

更地にしても売れなかったときに残るもの

更地にすれば売れる、とは限らない。編集部が保有しているのは相続した沖縄の傾斜地で、建物がないまま固定資産税だけが毎年出ていく状態が続いている。売却、寄付、国庫帰属と出口を当たったが成立せず、いまも保有したままだ。更地は「片づいた状態」であって「終わった状態」ではない。

更地のまま持ち続けるとかかるもの

  • 草刈りや不法投棄の対応といった管理の手間
  • 住宅用地特例が外れたあとの固定資産税・都市計画税
  • 境界標が工事でずれた場合の測量費

相続土地国庫帰属制度は更地が前提

相続した土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度は令和5年4月27日に始まっている(法務省/2026年7月31日確認)。ここで押さえておくのは、建物がある土地は申請できないという点だ。つまり建物付きのまま国庫帰属を検討することはできず、この出口を残すなら解体が入口条件になる。

ただし通る土地は限られる。担保権や使用収益権が設定された土地、境界が明らかでない土地、土壌汚染のある土地は却下事由にあたり、過度な勾配の崖、管理を阻害する有体物、隣接地との争訟なども不承認事由とされている。審査手数料は土地1筆あたり14,000円で、承認された場合は国有地の種目ごとに管理10年分の標準的な費用を考慮した負担金を納める。

売却が難しい立地なら、駐車場や資材置き場として貸すなど、保有したまま維持費を相殺する方向も選択肢に入る。

更地の使い道を先に当たっておく

売れない前提でも、貸す・置く・活用するという出口があるかは立地で決まる。壊す前にプランを取り寄せて比べておく。

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壊す前に決めておく順番

解体は取り消せない。着工前に確認しておく項目を順番で並べる。

  1. 名義を確認する。相続登記が済んでいないと、更地にしても売る段階で止まる
  2. 建物付きでの評価を取る。更地との比較は、この数字がないと成り立たない
  3. 解体見積りを複数社で取る。付帯工事の見積り方が業者で違うため、幅で把握する
  4. 自治体の補助金を窓口で確認する。交付決定前の着工は対象外になりうる。予算枠にも期限がある
  5. 1月1日をまたぐかを決める。売り先が決まっていないなら、年内の完了を急がない
  6. 3,000万円特別控除の期限を逆算する。相続から3年を経過する日の属する年の12月31日が上限
  7. 売れなかった場合の出口を先に考える。更地のまま持ち続ける費用は毎年発生する

この記事の制度・税率・補助金の内容は2026年7月31日時点で各一次ソースを確認したもので、年度によって変わる。個別の税額計算や遺産分割の判断は税理士・司法書士の領域にあたるため、金額が大きく動く局面では専門家に当たったほうが早い。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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