ホーム/実家じまいの進め方/実家を処分する4つの出口|売る・貸す・解体・手放す

実家を処分する4つの出口|売る・貸す・解体・手放す

実家の処分は売るか壊すかの二択で語られますが、実際の出口は四つあります。

売る、貸す、解体する、国に引き取ってもらう。判定に効くのは、建物があるかと、その手が戻せるかです。国に引き取ってもらう制度は申請5,698件に対して帰属2,885件(令和8年6月30日時点)で、負担金は原則20万円です。

この記事の目次
  1. 実家の処分は四つの出口しかない。建物があるかで選べる数が変わる
  2. 出口を選ぶ前に固定する三つ。名義、共有者、境界
  3. 出口①売る。価格を取るか、時期を取るか
  4. 出口②貸す。家賃が入る条件と、そこで消える控除
  5. 出口③解体して更地にする。戻せない代わりに買い手の幅が広がる
  6. 出口④国に引き取ってもらう。相続土地国庫帰属制度の実際の通り方
  7. 手放したつもりで残るもの。相続放棄と無償譲渡
  8. 決めないまま置くと、税と行政の側から動き始める
  9. 税の要件は、出口の選び方で消える
  10. やってはいけない五つ。順番の間違いが費用に変わる
  11. 実家の処分でよく聞かれること
  12. 期限のあるものだけ先に並べる。誰に何を聞くか

実家の処分は四つの出口しかない。建物があるかで選べる数が変わる

処分という言葉は建物と土地をまとめて指します。ところが出口ごとに、建物があるほうが有利なものと、建物があると入口で止まるものに分かれます。四つを条件で並べます。

出口成立する条件出ていくお金戻せるか時間の目安
売る(仲介・買取)名義が済んでいる。境界と建物の書類がそろう仲介手数料、印紙税、登記費用。必要なら測量と片づけ契約までは戻せる数か月から1年
貸す(賃貸・空き家バンク)人が住める状態にできる。管理を続けられる初期の修繕費と、毎月の管理費。原状回復の備え入居後は戻しにくい準備に数か月
解体して更地にする解体費を出せる。重機の搬入路と隣地との距離がある本体工事に付帯工事が乗る。構造と敷地条件で幅が大きい戻せない届出から工事完了まで数週間
国に引き取ってもらう建物がない。境界が明らか。担保も利用者もいない審査手数料は一筆14,000円。負担金は原則20万円負担金の納付で確定する審査に8か月程度

費用の欄に額を一つで書けないのは、同じ出口でも建物の構造と敷地の条件で金額が動くからです。四つ目だけ額が決まっているのは、制度として政令で定められているためです。

四つ目の相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請できません(出典:法務省 相続土地国庫帰属制度の承認申請・2026年7月30日確認)。手放す出口を選ぶなら、その前に解体という戻せない手を打つ順番になります。逆に売却は建物付きのまま買われることがあり、貸すには建物が要ります。建物を壊すかどうかの一手が、あとに残る選択肢の数を決めます。

相談者相談者
親の家がまだ建っています。国が引き取ってくれる制度があると聞いたので、そこに出すつもりでした。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
建物が建っている土地は、その制度の対象になりません。解体してから申請する順番です。解体費を出したあとで審査に通らないこともあるため、四つを同時に並べて比べてください。

片づけから墓や仏壇までの全体の流れは別記事にあります(実家じまいとは?進め方と費用の全体像を7ステップで解説)。ここでは出口の判定だけを扱います。

出口を選ぶ前に固定する三つ。名義、共有者、境界

どの出口も、名義と共有者と境界が決まっていないと途中で止まります。売却なら買い手が付いたあとに止まり、国庫帰属なら申請そのものが却下されます。

その手前で見るものが一つあります。遺言書の有無です。公正証書による遺言と、法務局において保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は検認が必要ありませんが、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いの上で開封しなければなりません。申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です(出典:裁判所 遺言書の検認・2026年7月30日確認)。見つけた封筒をその場で開けると、手続きが増えます。登記事項証明書で抵当権が残っていないかも同時に見ておきます。担保権が設定されている土地は、国庫帰属の申請ができません。

名義には期限が付きました。相続で不動産を取得した相続人は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。施行は令和6年4月1日で、施行日より前に相続を知っていた不動産は令和9年3月31日までが期限です(出典:法務省 相続登記の申請義務化・2026年7月30日確認)。遺産分割が長引く場合は、申出をした相続人について義務を履行したものとみなされる相続人申告登記も用意されています。

共有は人数ではなく同意の問題です。自分の持分だけなら単独で動かせますが、共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が必要です(民法第251条。出典:e-Gov法令検索 民法・2026年7月30日確認)。実家は土地と建物をまとめて買われるため、全員が同じ出口を選べるかが先に来ます。国庫帰属も、共有地は共有者全員での共同申請になります。決め方の順番は別記事にあります(実家の相続で兄弟ともめない進め方と決める順番)。

境界は四つの出口の全部に効きます。境界が明らかでない土地や、所有権の存否や範囲に争いがある土地は、国庫帰属の申請ができません。売却でも、確定測量図がないと会社が扱いを渋ります。測量費は数万円から数十万円の幅があり、筆の数と隣地の立会いの取りやすさで動きます。金額を一つに置ける段階ではないので、見積もりを取るところから始めます。

出口①売る。価格を取るか、時期を取るか

売る出口は二つに割れます。仲介は買い手を探す時間と引き換えに市場の価格を狙う形で、買取は不動産会社が直接買う代わりに時期を確定させる形です。どちらが向くかは、価格と時期のどちらに困っているかで決まります。管理のために通う距離が遠いほど、時期の確実さの価値が上がります。

建物に値段が付かない場合でも、現況のまま売れることがあります。買い手が自分で解体して建て替える前提で、土地として買う形です。この場合、解体費はその前提で価格から引かれます。あなたが先に壊すのと、買い手に壊させるのとで、手元に残る額はさほど変わらないこともあります。違うのは、先に解体すると固定資産税の住宅用地特例と、家屋の状態を条件にする控除の枠を同時に失う点です。

売主が出す費用は、仲介手数料と印紙税と登記費用で、必要なら測量と片づけが乗ります。総額の組み立ては全体像の記事に置いています(実家じまいとは?進め方と費用の全体像を7ステップで解説)。

出口を決める前に、土地と建物にいくら付くのかを見る

四つのうちどれを選ぶかは、売れる金額が分からないと比べられません。相場を知るだけの利用で構いません。建物に値段が付くのか、更地にしたほうが上がるのかを複数社に聞くと、解体という戻せない一手を打つ前に判断できます。

無料で査定額を調べる

出口②貸す。家賃が入る条件と、そこで消える控除

貸す出口は、手放さずに維持費を賄う形です。成立の条件は二つあります。人が住める状態まで直せること、そして誰かが管理を続けられることです。給湯器と水回りと屋根の状態で、初期の修繕額が大きく動きます。遠方に住んでいる場合は、管理を委託する費用も毎月の側に乗ります。

自治体の空き家バンクという入口もあります。国土交通省は自治体を横断して検索できる全国版空き家・空き地バンクを構築しており、地方公共団体の空き家情報サイトのリンク集も公開しています。ただし利用条件は自治体ごとに違い、移住促進を目的として県外や市町村外からの利用希望者に限っている場合もあります(出典:国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ・2026年7月30日確認)。登録の前に、実家がある自治体の要件を見ておきます。

貸す判断で見落とされやすいのが税です。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、相続の時から取壊し等の時まで、事業の用、貸付けの用、居住の用に供されていたことがないことを要件にしています(出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例・2026年7月30日確認)。一度貸すと、あとで売るときにこの控除の道が閉じます。数年貸して家賃を受け取るのと、控除の枠を残して早めに売るのとで、どちらが手元に残るかは金額次第です。

相談者相談者
数年だけ貸して、様子を見てから売ろうと思っていました。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
その順番だと、空き家の特別控除は使えなくなります。売る可能性を残すなら、控除の要件と期限を確かめてから貸すかどうかを決めてください。

出口③解体して更地にする。戻せない代わりに買い手の幅が広がる

解体は、買い手の幅を広げ、国庫帰属の入口を開き、倒壊と近隣への責任を消します。同時に、戻せないことが三つ起きます。

  1. 固定資産税の住宅用地特例が外れる。特例は住宅の敷地について課税標準を、小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)で6分の1、一般住宅用地(200平方メートルを超える部分)で3分の1に減額するもので、更地には適用されません(地方税法第349条の3の2。出典:e-Gov法令検索 地方税法出典:国土交通省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置・2026年7月30日確認)
  2. 時期が翌年度の税に直結する。固定資産税の賦課期日は当該年度の初日の属する年の1月1日です(地方税法第359条)。年内に壊すか年明けに壊すかで、翌年度の扱いが変わります
  3. 家屋の状態を条件にする控除に届かなくなる場合がある。取壊し後の敷地の譲渡でも使える枠はありますが、期限と要件が付きます

手続きの側にも決まりがあります。建設リサイクル法では、建築物の解体工事は床面積80平方メートル以上が分別解体等および再資源化等の義務の対象で、工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事へ届け出ることになっています(出典:環境省 建設リサイクル法の概要・2026年7月30日確認)。届け出るのは工事会社ではなく発注者、つまりあなたの側です。実務では会社が代理しますが、義務が付いている先は変わりません。

費用は幅で見ます。木造と鉄骨と鉄筋コンクリートで単価が変わり、重機が入らない敷地の手壊し、ブロック塀や庭石や樹木の撤去、アスベストの調査と除去が乗ります。見積書を並べるときは、本体工事の坪単価ではなく付帯工事の行数を見てください。同じ家でも金額が開くのはそこです。

出口④国に引き取ってもらう。相続土地国庫帰属制度の実際の通り方

令和5年4月27日に始まった制度です。相続または相続人に対する遺贈で土地を取得した人が、法務大臣の承認を受けて土地の所有権を国庫に帰属させられます(出典:法務省 相続土地国庫帰属制度について・2026年7月30日確認)。通るかどうかは、気持ちではなく土地の状態で決まります。

区分内容
申請できない土地建物がある土地/担保権や使用収益権が設定されている土地/通路など他人の利用が予定されている土地/土壌汚染されている土地/境界が明らかでない土地、所有権の存否や範囲に争いがある土地
承認されない土地一定の勾配と高さの崖がある土地/管理を阻害する工作物などが地上にある土地/除去が必要な有体物が地下にある土地/隣接地の所有者などとの争訟が必要な土地/その他通常の管理または処分に過分の費用や労力を要する土地
審査手数料土地一筆当たり14,000円。申請時に収入印紙で納付し、返還されない
負担金10年分の標準的な管理費用相当額。面積にかかわらず20万円が基準。市街化区域または用途地域が指定された地域の宅地、農用地区域等の田畑、森林は面積に応じて算定(宅地の例で100平方メートル約55万円、200平方メートル約80万円)
審査期間8か月程度が想定されている
納付期限負担金の通知が到達した日の翌日から30日以内。納付されないと承認が失効し、申請をやり直す

数値は法務省の資料と手引きによります(出典:法務省 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の概要出典:法務省 相続土地国庫帰属制度の申請の手引き出典:法務省 相続土地国庫帰属制度の負担金・2026年7月30日確認)。

どれだけ通っているかも公表されています。令和8年6月30日時点で申請は5,698件(田と畑2,226件、宅地1,973件、山林868件、その他631件)、帰属は2,885件、却下83件、不承認93件、取下げ1,063件です。取下げの内訳は、有効活用の見込みが生じたもの562件、却下または不承認に当たると判明したもの375件です(出典:法務省 相続土地国庫帰属制度の統計・2026年7月30日確認)。却下と不承認の合計より、取下げのほうがはるかに多い制度です。条件を確かめないまま出して、審査の途中で引っ込めた件数が数字に出ています。

実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

四つの出口を順に当たって、どれも成立しなかった土地

編集部は沖縄の傾斜地を相続し、出口が見つからないまま保有しています。固定資産税は年約7万円で、決まらない間も毎年出ていきます。売却、寄付、国庫帰属と順に当たり、傾斜と接道と造成費という同じ理由で全部が止まりました。国庫帰属の要件を読んで分かったのは、不承認の事由に並ぶ崖や過分の費用という言葉が、市場で売れない理由とほぼ同じものを指しているということです。売り物にならない土地は、国の側から見ても管理に費用がかかる土地です。制度があるから出せるはずだという見立ては、ここで崩れました。

手放したつもりで残るもの。相続放棄と無償譲渡

相続放棄は、不動産だけを選んで捨てる制度ではありません。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認か限定承認か放棄を選びます(民法第915条)。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で、費用は申述人1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手です(出典:裁判所 相続の放棄の申述・2026年7月30日確認)。預金も他の財産も一緒に手放すことになるため、実家の始末だけを目的に選ぶ手ではありません。

放棄したあとも切れない線があります。相続の放棄をした者は、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないと定められています(民法第940条。出典:e-Gov法令検索 民法・2026年7月30日確認)。鍵を持って出入りしていた家は、放棄しても手が離れないことがあります。

相続人全員が放棄すると、その空き家は相続人のあることが明らかでない場合として扱われます。国の指針は、この場合に略式代執行や、相続財産清算人などの財産管理人の選任を家庭裁判所に請求する道を挙げています(出典:国土交通省・総務省 管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針・2026年7月30日確認)。誰も引き継がない家は、放棄で消えるのではなく、行政と裁判所の手続きに移ります。

無償で譲る形も出口になります。ただし受け取る側に税が動きます。個人から財産をもらった人には贈与税がかかり、暦年課税では基礎控除110万円を超える部分が課税対象で、申告と納税は翌年2月1日から3月15日までです(出典:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合・2026年7月30日確認)。隣家や親族に引き取ってもらう相談をするときは、相手に税と登記費用が出ることを先に伝えてください。放棄の可否や譲渡の組み方は個別の事情で変わるため、弁護士か司法書士に確かめる範囲です。

決めないまま置くと、税と行政の側から動き始める

四つのどれも選ばない状態にも、動きがあります。空き家は令和5年10月1日現在で900万2千戸、空き家率は13.8%で過去最高です。うち賃貸用と売却用と二次的住宅を除く空き家は385万6千戸で、前回調査から36万9千戸増えています(出典:総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果・2026年7月30日確認)。判断を保留している家が、この385万戸の中身です。

保留の側にも制度が用意されました。令和5年12月13日に施行された改正空家法で、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある空家等が、管理不全空家等として指導と勧告の対象になりました(出典:国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報・2026年7月30日確認)。市区町村長から勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地は、住宅用地特例の適用対象から除かれます。

倍率は6倍と書かれることが多い一方で、自治体の説明は幅を持たせています。宝塚市は、勧告を受けた管理不全空家等は特例が解除され、土地の固定資産税が約3倍から5倍になる可能性があるとし、増額の割合は敷地の面積等で変動すると注記しています(出典:宝塚市 空家等対策の推進に関する特別措置法が改正されました・2026年7月30日確認)。課税標準が6分の1から戻る一方で、負担調整の仕組みが働くためです。

勧告の前でも特例が外れる場合があります。国土交通省の資料は、総務省の通知により、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合、居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合は、特例の対象となる住宅に該当しないとされていることを示しています。措置の実績は、特定空家等について平成27年5月から令和5年3月までの累計で勧告3,078件(417市区町村)、命令382件(180市区町村)、行政代執行180件(129市区町村)です。代執行は少ない一方で、勧告は3,000件を超えています。税の扱いが変わる入口は勧告なので、代執行の件数の少なさは安心の根拠になりません。

行政が動く端緒は、たいてい近隣からの連絡です。雑草と樹木の越境、瓦や外壁の落下、不法投棄、動物のすみつき、放火や侵入への不安が、指導と勧告の入口になります。遠方に住んでいると、この段階の情報が届かないまま話が進みます。年に何度か見に行けない場合は、誰かに見てもらう形を作るか、四つの出口のどれかに寄せる判断が早くなります。

保留を続けるかどうかは、売れる値段が分かってから決める

保留にも税と管理費が毎年かかります。四つのうち手数が少ないのは売却なので、いくらで売れるのかを先に押さえると、保留を続ける費用と比べられます。査定は相場を知るだけの利用で構いません。

無料で査定額を調べる

税の要件は、出口の選び方で消える

相続した家を売るときの控除には、家屋の状態と時期の条件が付いています。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除できる枠で、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円に下がります。主な条件は次のとおりです(出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例・2026年7月30日確認)。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却代金が1億円以下であること。複数の相続人が分けて売った場合も合算で判定する
  • 相続の時から取壊し等の時まで、事業の用、貸付けの用、居住の用に供されていたことがないこと
  • 耐震基準に適合させるか家屋を取り壊すこと。令和6年1月1日以後の譲渡では、譲渡の時からその翌年2月15日までに行われた場合も対象になる

枠そのものにも期限があり、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡が対象です。届くかどうかで手元に残る額が大きく動きます。空き家のまま置いた年数が、この期限を削ります。

控除は自動では付きません。適用を受けるには一定の書類を添えて確定申告をする必要があり、譲渡所得の内訳書、相続による取得と建築年月日が分かる登記事項証明書、市区町村長から交付を受ける被相続人居住用家屋等確認書、売却代金が1億円以下であることを示す売買契約書の写しなどが求められます。確認書は市区町村の窓口で出してもらう書類なので、売る前に何が必要かを聞いておくほうが早い。

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です(出典:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税・2026年7月30日確認)。税額の計算と要件の当てはめは編集部の範囲ではありません。当たるかどうかは、売る前に税務署か税理士に確かめてください。

やってはいけない五つ。順番の間違いが費用に変わる

失敗の多くは判断の中身ではなく、順番の入れ替えで起きます。

1. 片づけの前に建物を壊す

権利証、境界の書類、建築確認済証、通帳、保険の証券は家の中にあります。壊してからでは探せません。捨てる基準を決めてから手を付ける方法は別記事にあります(遺品が捨てられないときに決めておく3つのルール)。

2. 出口を決める前に更地にする

更地は戻せません。住宅用地特例が外れ、家屋の状態を条件にする控除の枠も動きます。国庫帰属を狙って壊しても、崖や地下の有体物で不承認になる可能性は残ります。壊す前に要件を読む順番にします。

3. 相続登記を後回しにする

3年の期限と10万円以下の過料が付いています。名義が済んでいないと、売却も国庫帰属も進みません。時間が経つほど相続人が増え、必要な同意も増えます。

4. 名義をとりあえず共有のままにする

共有者の一人に相続が起きると、次は配偶者や子まで同意の対象が広がります。決められない状態を先に延ばすと、決めるための人数が増えるだけです。

5. 国が引き取ってくれる前提で予定を組む

建物があれば申請できず、審査は8か月程度、手数料は一筆14,000円で返ってきません。取下げ1,063件のうち375件は、却下または不承認に当たると判明したものです。制度は最後の受け皿ではなく、条件を満たした土地のための出口です。

実家の処分でよく聞かれること

親が生きているうちに処分できますか

所有者が親であれば、売主になるのは親本人です。相続後に動かす場合は、名義を移してからが出発点になります。どちらの入口かで使える控除も変わるため、誰が売主になるのかを先に決めます。

買い手が付かない土地は、結局どうなりますか

市場で売れない理由と、国庫帰属で承認されない理由は重なります。崖、過分の費用、境界の不明といった言葉が両方に出てきます。値段を下げる、空き家バンクに載せる、隣地の所有者に相談する、無償譲渡を打診する、と手を変えながら並行して当たる形になります。四つの出口のどれも成立しない土地は現実にあり、その場合は保有しながら管理費を払う判断が残ります。

相続放棄すれば固定資産税は止まりますか

放棄が受理されれば所有者ではなくなります。ただし放棄の時にその家を現に占有していた場合は、相続人か相続財産の清算人に引き渡すまで保存する義務が残ります(民法第940条)。相続人全員が放棄すると、相続人のあることが明らかでない場合として、清算人の選任や略式代執行の対象になります。預金など他の財産も一緒に手放す点も含めて、弁護士か司法書士に確かめてください。

解体費が用意できないときは

現況のまま土地として売り、買い手に解体させる道があります。売却代金の中から精算する形なので、手元から先に出す必要がありません。自治体の解体補助金は、制度の有無も要件も自治体ごとに違います。着工の時期に条件が付く場合があるため、業者に発注する前に市区町村の窓口で要件と受付期間を確かめてください。

何年も放置してしまいました。今からでも間に合いますか

期限のあるものだけを先に見ます。施行日前に相続を知っていた不動産の相続登記は令和9年3月31日まで、空き家の特別控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、制度自体の期限も令和9年12月31日です。過ぎたものは戻せませんが、残っている期限から逆算はできます。

期限のあるものだけ先に並べる。誰に何を聞くか

四つを比べる前に、日付が決まっているものだけを並べます。ここに載っている日付は、こちらの都合では動きません。

期限内容
3か月相続の承認または放棄の選択(自己のために相続の開始があったことを知った時から)
10か月相続税の申告と納税(死亡したことを知った日の翌日から)
3年相続登記の申請。施行日前に相続を知っていた不動産は令和9年3月31日まで
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日空き家の3,000万円特別控除で売る期限
令和9年12月31日空き家の特別控除そのものの適用期限
毎年1月1日固定資産税の賦課期日。更地になっているかどうかがこの日で決まる
工事着手の7日前床面積80平方メートル以上の解体工事の届出
30日国庫帰属の負担金の納付。過ぎると承認が失効する

制度と料金は年度で変わります。上の日付は2026年7月30日に一次ソースで確認したものです。動かす前に、同じページで最新を見てください。

編集部が判断しない範囲

編集部は士業ではありません。法令の解釈、個別の税額計算、遺産分割の判断はしません。相続放棄と遺産分割の可否は弁護士か司法書士、控除の要件の当てはめと税額は税務署か税理士、相続登記は司法書士、境界と測量は土地家屋調査士、住宅用地特例と課税の実額は市区町村の資産税課が窓口です。国庫帰属については、申請予定の土地を管轄する法務局か地方法務局の本局が申請前の相談を受け付けています。

ABOUT US

実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

実家の土地、まず相場だけ知る

無料で取り寄せる →