ブロック塀の撤去費用の目安|長さと高さで見る

ブロック塀の費用を調べても、1mあたりと1㎡あたりの数字が混ざっていて、自分の塀に当てはめられないまま止まりやすい。
撤去費は「長さ×高さ=面積」に単価を掛けるのが基本で、目安は1㎡あたり5,000〜15,000円。長さ10m・高さ1.2mなら、諸経費込みで15万〜25万円が中心帯になる(2026年7月時点)。
この記事の目次
費用は「長さ」ではなく「長さ×高さ」で決まる
撤去の見積書は、1mあたりで書かれることも1㎡あたりで書かれることもある。単位が揃っていないと相見積もりを比べられないので、最初に自分の塀を面積に直しておく。
一般的なコンクリートブロックは、目地を含めて長さ40cm・高さ20cmが標準寸法とされる。段数に0.2mを掛ければ高さが出る(出典:マイナビ エクステリア「ブロック塀の撤去費用はいくら?」/2026年7月31日確認)。長さ10mで6段積みなら、10×1.2=12㎡が撤去面積になる。
| 段数 | 高さの目安 | 長さ10mあたりの面積 |
|---|---|---|
| 4段 | 0.8m | 8㎡ |
| 5段 | 1.0m | 10㎡ |
| 6段 | 1.2m | 12㎡ |
| 9段 | 1.8m | 18㎡ |
| 11段 | 2.2m | 22㎡ |
実家の敷地は道路と地面に高低差があることが多く、同じ塀でも場所によって段数が変わる。いちばん高いところと低いところの両方を測っておくと、現地調査のときに話が早い。
長さと高さで見る撤去費用の早見表
撤去の作業費そのものは、1㎡あたり5,000〜15,000円が目安(出典:マイナビ エクステリア/2026年7月31日確認)。基礎を残す簡易な工事に限れば1㎡あたり3,000〜7,000円という帯を示す施工業者もあり、集計値では1㎡あたり平均3,368円という数字も公開されている(出典:解体無料見積ガイド「ブロック塀の解体費用」/2026年7月31日確認)。幅が大きいのは、基礎まで壊すかと重機が入るかで手間がまるごと変わるためで、一点で決め打ちできる工事ではない。
| 長さ×高さ | 面積 | 作業費の目安(諸経費別) |
|---|---|---|
| 5m×0.8m | 4㎡ | 2万〜6万円 |
| 10m×0.8m | 8㎡ | 4万〜12万円 |
| 10m×1.2m | 12㎡ | 6万〜18万円 |
| 20m×1.2m | 24㎡ | 12万〜36万円 |
| 20m×1.8m | 36㎡ | 18万〜54万円 |
ここに運搬・処分・諸経費が乗る。10m・高さ1.2mの塀を撤去するケースで総額15万〜25万円、一般的な規模の総額として12万〜35万円が示されている。
面積が小さいほど単価は割高になる。塀だけの工事には3万〜5万円の最低工事料金が設定されることが多く、1m分だけ壊しても半日分の人と車が動くからだ。数メートルの部分撤去なら、面積で割った単価は表の上限を超えると考えておく。
見積書に何が乗っているか(内訳の読み方)
「ブロック塀撤去工事一式」とだけ書かれた見積書は比較できない。項目が分かれていれば、どこが高いのかを指して質問できる。
| 項目 | 目安 | 何の費用か |
|---|---|---|
| 解体作業費 | 5,000〜15,000円/㎡ | 壊す手間そのもの。手壊しになると上振れ |
| 養生費 | 1万〜3万円 | 隣家・車・道路の保護 |
| 重機回送費 | 3万〜5万円 | ミニ重機やダンプの往復 |
| ガラ処分費 | 1万〜5万円 | 産業廃棄物としての処理 |
| 整地・小口補修 | 1万〜3万円 | 壊した断面の仕上げと片付け |
| 諸経費 | 総工事費の10〜15% | 現場管理・書類・保険 |
いずれもマイナビ エクステリアが公開している内訳(2026年7月31日確認)。コンクリートガラは家庭ごみに出せず、産業廃棄物として運搬・処分する必要があるため、処分費が「一式」に埋もれていると後から追加請求の余地が残る。
数量の根拠も見る。撤去の延長(m)、高さ、厚み、控え壁の有無、基礎をどこまで撤去するか。この5つが書かれていない見積書は、工事が始まってから条件が動きやすい。
基礎を壊すかどうかで総額が変わる
ブロック塀の下には、連続した鉄筋コンクリートの基礎(フーチング)が埋まっている。この基礎を撤去するかどうかで、同じ長さ・同じ高さでも総額が1.5〜2.0倍に開く。
基礎は地中にあるため、掘ってみるまで深さと幅が確定しない。高さ1.2mを超える塀では根入れ30cm以上が基準とされており、想定より深いことがある。見積り段階で試掘するか、図面で確認してもらうと、着工後の増額を避けやすい。
基礎を残す判断もある。撤去後にフェンスを立てる予定なら、既存の基礎に支柱用の穴を開けるコア抜き工法で流用できる場合があり、基礎撤去費とガラ処分費の両方を落とせる。ただし基礎の強度が保つかは現地判断になるので、流用の可否は業者に確認する項目として見積り依頼のときに書いておく。
逆に、駐車場にする、庭ごと更地にするなど地面を使い直す予定なら、基礎を残すと後工程でもう一度掘ることになる。撤去後に何をするかを先に決めておくほうが、結果として安い。
自治体の補助要綱の単価を、見積りの物差しに使う
相場サイトの数字は幅が広く、自分の見積りが高いのか安いのか判断しづらい。編集部が使いやすいと考えているのは、自治体が撤去補助を計算するときに使っている単価だ。要綱に金額が書かれている一次情報で、行政が「この単価までは妥当」と置いた線として読める。
| 自治体 | 積算に使う単価 | 補助率・上限 |
|---|---|---|
| 大阪市 | 24,900円/m(基礎共)/12,200円/m(基礎を残す) | 1/2・撤去15万円 |
| 神戸市 | 10,000円/m | 2/3・30万円 |
| 草加市 | 20,300円/㎡(基礎撤去含む)/14,200円/㎡(含まない) | 2/3・40万円 |
| 岡山市 | 9,000円/m | 2/3・15万円 |
| 練馬区 | 8,000円/m(危険性が高い塀は17,000円/m。高さ1m超は10cmごとに加算) | 各自治体の要綱による |
出典は各自治体の公開ページ(大阪市・神戸市は2026年度=令和8年度分、岡山市は令和8年度、草加市・練馬区は2026年7月31日確認)。基礎まで壊すケースで1mあたりおおむね1万〜2.5万円、面積で見て1㎡あたり1.4万〜2万円台という水準が並ぶ。
これは実勢価格そのものではなく、補助の計算に使う上限の単価だ。ただ、手元の見積りがこの線を大きく超えているなら、どの条件で上振れしているのか(手壊し・控え壁・基礎の深さ・搬出距離)を業者に聞く材料になる。逆に極端に安い見積りは、処分費や整地が含まれていない可能性を疑う。
補助が使えるかどうかの条件と申請の順番は、金額の話とは別に整理してある。ブロック塀の解体費用と、自治体の助成金が出る条件で確認できる。共通しているのは、工事契約より前に申請することだ。神戸市は交付決定通知日より前に契約すると補助を受けられないと明記しており、大阪市も契約前の申請を求めている。
高さ・構造で費用が跳ねる条件
費用が上がる塀は、たいてい安全基準から外れている塀でもある。国土交通省が2018年の大阪府北部地震を受けて公開した点検チェックポイント(平成30年6月21日・国住指第1130号 別紙1/2026年7月31日確認)が、外観で確認できる基準になっている。
- 塀の高さは地盤から2.2m以下か
- 塀の厚さは10cm以上か(高さ2m超2.2m以下は15cm以上)
- 高さ1.2m超なら、長さ3.4m以下ごとに高さの1/5以上突出した控え壁があるか
- コンクリートの基礎があるか
- 傾き、ひび割れはないか
- 直径9mm以上の鉄筋が縦横80cm間隔以下で入っているか(専門家に相談する項目)
- 基礎の根入れ深さは30cm以上か(高さ1.2m超の場合)
れんが造・石造・鉄筋のないブロック造など組積造の塀は基準が別で、高さ1.2m以下、長さ4m以下ごとに厚さの1.5倍以上突出した控え壁、根入れ20cm以上とされている。
費用の面では、厚さ15cmのブロック、控え壁が何か所も付いた塀、中がモルタルで詰まった塀は、壊す手間と処分重量の両方が増える。塀そのものが古いコンクリート塀(万年塀など)の場合は、撤去・処分の範囲が大きくなり、30万円を超えることもある。
なお、傾きやひび割れが出ている塀を放置して倒れ、人にけがをさせた場合は所有者の責任が問われる。撤去の優先順位を決めるときは、金額より先にこのチェックポイントに当てはめるほうが判断しやすい。
隣との境界にある塀は、自分だけで壊せない
実家の塀でつまずきやすいのが、隣地との境界にある塀だ。民法229条は、境界線上に設けた境界標・囲障・障壁などは相隣者の共有に属するものと推定する、と定めている(出典:e-Gov法令検索「民法」/2026年7月31日確認)。
共有と推定される塀を一方だけの判断で壊すと、費用の問題ではなく所有権の問題になる。民法226条は囲障の設置と保存の費用を相隣者が等しい割合で負担するとしており、費用の分担も本来は折半が出発点になる。
実務としては、まず塀がどちら側の敷地に建っているかを確認する。境界標や測量図で自分の敷地内に収まっていれば単独で判断できるが、境界線をまたいでいる、あるいは位置が不明なら、撤去前に隣家の同意を取り、書面に残しておく。口頭の了解だけで壊すと、後から復旧や損害の話になりやすい。
自治体の補助も、隣地との境界にある塀は対象外としている例がある。大阪市の制度は道路等に面した塀が対象で、敷地間の境界塀は除かれている。どこが道路に面した部分で、どこが隣地側かを図に落としてから見積りを取る。
境界そのものが争いになっている場合は、費用の話に入る前に土地家屋調査士や弁護士に確認する範囲になる。編集部は士業ではないため、境界の確定や権利関係の判断には踏み込まない。
撤去したあとをどうするかで、総額は前後する
撤去だけで終わる敷地は少ない。撤去後をどうするかを同時に決めると、工事を分けずに済んで諸経費が一回で収まる。
- 全部なくして更地にする:撤去費に整地費が乗る。売却や駐車場化を考えているならこの形
- 低いブロックを残してフェンスを載せる:撤去と新設で10mあたり40万〜80万円が目安。境界を残しつつ倒壊リスクを下げる形
- 撤去して新しいブロック塀に積み直す:10mあたり35万〜60万円が目安(マイナビ エクステリア/2026年7月31日確認)
練馬区のように、助成を受けた場合は道路に面する部分を高さ60cm以下に撤去し、その後も超える高さで作り直さないことを条件にしている自治体もある。補助を使うなら、撤去後の高さまで含めて条件を読む。
庭木や物置、飛び石なども一緒に片付けるつもりなら、塀だけを単独で発注するより、まとめて見積りを取ったほうが重機回送費が一回で済む。庭全体の順番と費用は庭じまいの費用と手順|庭をまるごと片付けるにまとめてある。
家屋そのものを解体する予定があるなら、塀は建物解体と同時発注が基本になる。建物側で使える補助と条件は空き家の解体補助金はいくら出る?条件と申請の順番で扱っている。
見積りを取るときに、先に決めておくこと
現地調査に来てもらう前に、次の5つを紙に書き出しておくと、見積りの精度が上がり、比較もしやすくなる。
- 撤去する範囲:全部か、道路に面した部分だけか、高さを下げるだけか
- 長さと段数:メジャーで測った実寸。傾斜地は最大と最小の両方
- 基礎の扱い:撤去するか、残してフェンスに流用するか
- 搬入条件:前面道路の幅、重機を停められるか、隣家との隙間
- 撤去後の予定:更地・フェンス・積み直しのどれか
そのうえで、同じ条件を書いた紙を複数社に渡す。条件が揃っていない見積書は、安く見える側が何かを含めていないだけ、ということが起きる。数量と単価が読み取れる内訳明細で出してもらい、「一式」でまとまっている項目があれば内訳を聞く。
補助を使う予定があるなら、順番を間違えない。契約を先に結ぶと対象外になる自治体があるため、見積りを取る→自治体に事前相談・申請する→交付決定を受ける→契約する、の順で動く。岡山市のように受付期間が決まっていて先着で締め切る制度もあり、年度によって単価も期間も変わる。
