伐採した木の処分費用|自治体に出せる大きさ

切った木の山を前にして、処分の値段が見えないまま手が止まっている段階が、いちばん長い。
結論から書く。処分費は木の太さより先に「誰が切ったか」で決まる。自分で切って集積所に出せば指定袋代だけ、処理施設へ運べば10kgあたり約100〜290円。業者が切った枝は事業系ごみになり、あなたが出すことはできない(2026年7月31日確認)。
この記事の目次
処分費は「誰が切ったか」で土俵が変わる
伐採した木の処分費は、木の太さや本数より先に、誰が切ったかで乗るルートが変わる。自分で切った庭木は家庭ごみとして自治体のルートに乗るが、造園業者が切った枝は事業活動に伴うごみになり、あなたが集積所や粗大ごみに出すことはできない(横浜市 粗大ごみFAQ、2026年7月31日確認)。
そのうえで、費用の目安は次の幅に収まる。
| 処分の出口 | 費用の目安 | 成立する条件 |
|---|---|---|
| 自分で切って可燃ごみ・草木類の日に出す | 指定袋代のみ | 長さ・太さ・1回の量の制限内に収める |
| 自分で切って処理施設へ運ぶ | 10kgあたり約100〜290円 | その市で出たごみ/本人確認/予約が要る施設が多い |
| 剪定枝のリサイクル回収に出す | 無料〜低額 | 制度を持つ自治体のみ |
| 不用品回収業者に引き取りだけ頼む | 軽トラック1台分で1万〜2万円台 | 積める量の定義を先に確認する |
| 伐採業者に処分込みで頼む | 伐採費に処分費が加算される | 処分がオプション扱いの業者が多い |
| 建物の解体工事にまとめる | 工事費に内包 | 建物を壊す場合のみ |
金額はいずれも2026年7月31日時点で確認した公開情報にもとづく。自治体の手数料も業者の単価も年度で動くので、一点で覚えず幅のまま持っておくほうが実用になる。
自治体のごみに出せる大きさは、市ごとに三通り
自分で切って集積所に出す場合、詰まるのは値段ではなくサイズだ。しかも長さ・太さ・束ね方の三つが同時にかかり、基準は市ごとに違う。実物を三つ並べる。
| 自治体 | 長さ | 太さ | 出し方 |
|---|---|---|---|
| 北九州市 | 束の長さ1m以内 | 枝の太さ10cm以内 | 重さ10kg以内の束にし、2か所をひもで束ねて指定袋(大)を貼付し、一般ごみの収集日に出す |
| 奈良市 | 30cm以下 | 5cm以下 | ひもで縛る(1束の直径30cm以下)か、45L以下の透明・半透明の袋。落ち葉・雑草と同じ袋に入れない |
| 横浜市 | 50cm未満 | 規定なし(大きいものは粗大ごみ) | 家庭ごみとして。両手で抱えられるくらいの束 |
太さの上限は5cmから10cm、長さは30cmから1mまで開く。奈良市の基準に当たる市なら、直径6cmの枝はもう集積所に出せない。幹はほとんどの市で最初から対象外になると考えたほうが早い。
出典:北九州市「家庭で伐採した木や枝の処分方法について」(2026年1月22日更新)/奈良市「Q8 落ち葉・雑草やせん定枝木の処分はどうしたらいいの?」(2026年6月1日以降の取扱い)/横浜市 粗大ごみFAQ。いずれも2026年7月31日確認。
1回に出せる量の上限が、片づけの日数を決める
見落とされやすいのが量の上限だ。奈良市は落ち葉・雑草・せん定枝木を合わせて1世帯1回3点まで(袋なら1袋1点、束なら1束1点)としている。横浜市は枝50cm未満で、1回の排出の目安を両手で抱えられるくらいの束2〜3束としている。
庭木を1本切ると、枝葉だけで袋がいくつも出る。仮に10袋出て1回3点までの市なら4回に割れる。週1回の収集なら、集積所に出し切るだけで1か月かかる計算になる。
実家の片づけでは、ここが直接効いてくる。通いで作業していて収集日ごとに足を運べないなら、小分けにして集積所へ出す方式そのものが成り立たない。その場合は処理施設への持ち込みか業者への引き取り依頼に切り替えたほうが、交通費まで含めて安く終わることがある。
横浜市は多量の場合、小分けにして該当する収集日に出すよう案内している。裏を返せば、集積所は一度に大量を受ける場所ではない。量が読めた時点で、集積所ではなく自治体の窓口か処理施設に聞くのが早い。
処理施設へ自分で運ぶ:10kgあたり100〜290円
運べる手段があるなら、処理施設への直接搬入がいちばん安い。手数料は重量制の自治体が多い。
- 北九州市:一般ごみに出せない樹木は新門司工場・皇后崎工場へ自己搬入でき、手数料は10kgあたり100円
- 千葉市:清掃工場等への自己搬入は10kgで290円(10kgに満たない場合も10kgとみなす、支払いは現金のみ)
- 富士市:新環境クリーンセンターで、リサイクルできる剪定枝は10kgあたり102円(消費税込み)
10kgあたり100〜290円なら、軽トラックに200kg積んでも2,000〜5,800円の幅に収まる。引き取りだけを業者に頼むと軽トラック1台で1万円台になることを考えると、運べる人がいるかどうかで数万円が動く。
ただし条件が付く。さいたま市は持ち込み完全予約制、箕面市は事前予約と本人確認書類の原本、松戸市は本人に限り1施設1日1回。門真市は剪定ごみの場合、荷下ろしのため2人以上で来場するよう求めている。行けば受け付けてもらえる施設ではない(各市公式ページ、2026年7月31日確認)。
実家が別の市にあるときに詰まるところ
ここが実家じまい特有の壁になる。処理施設に持ち込めるのは、原則としてその市で出た家庭ごみを、その市の住民が運ぶ場合に限られる。
- 所沢市:市外からのごみは受け付けない。住所確認のため運転免許証等を提示
- 箕面市:市内で発生した家庭ごみに限る。市の許可を受けずに他人の一般廃棄物を収集・運搬することは違法と明記
- 高崎市:ごみの発生した住所と提示された書類の住所が異なる場合は受付できない。異なるときは氏名と住所の両方が記載されたものを併せて提示
- 千葉市:排出者本人が同行できない場合、運ぶ人の身分証に加え、排出者本人の身分が分かるもの(身分証の写しや公共料金の領収書等)の提示で持ち込める
整理すると、二つのことが同時に言える。実家の庭木を自分の住む市へ持ち帰って出すことはできない(ごみが発生した場所が違う)。逆に、実家のある市の施設へ持ち込むなら、そのごみが実家で出たと示す書類が要る。
通りやすくするために用意しておくのは、実家の住所が印字された固定資産税の納税通知書や公共料金の領収書、自分の本人確認書類、相続で名義が変わっているならその経緯を説明できるもの。運用は市ごとに違うので、荷を積む前に施設へ電話で一度確認する。往復してから断られると、その日の作業がまるごと消える。
業者に切ってもらった枝は、あなたのごみとして出せない
費用を下げる相談でよく出るのが、切るのだけ頼んで枝は自分でごみに出す、という分け方だ。これは自分で切った場合にしか成立しない。
横浜市は、造園業者に委託して剪定した場合について、事業活動に伴うごみとなるため粗大ごみとして出すことはできず、事業系ごみとして出すよう案内している(2026年7月31日確認)。業者の刃が入った時点で、その枝は家庭ごみのルートから外れる。
富士市が事業系一般廃棄物の搬入手数料を10kgあたり150円と家庭系と別建てにしているように、事業系は料金も窓口も分かれている。つまり、業者に切ってもらった枝を安くする道は業者側にしかなく、交渉の対象は処分の可否ではなく、処分費の内訳と量の数え方になる。
見積書で処分費を分けさせる
業者に処分まで任せる場合、見積書の書き方で後の追加請求の余地が決まる。
相場の目安として、くらしのマーケットは伐採費用を高さ3m未満で3,000〜9,000円、3〜5m程度で8,000〜2万円、5m以上で1.5〜3万円としており、伐採と処分をまとめた総額は6,000円〜11万円、抜根まで含めると1.9万〜17万円という幅を示している(2026年7月31日確認)。幅がこれだけ開くのは、処分費が量と運搬距離で動くからだ。
見積で分けさせる項目は四つある。
- 処分費が伐採費に含まれるのか、オプションなのか
- 処分の数え方(トラック何台分か、本数か、重量か)
- 抜根した根と土の処分が別建てになっていないか
- 追加費用が発生する条件(重機、搬出距離、駐車、隣家の養生)
一式いくらの一行見積は、後から量が増えたときに検証できない。大阪・京都の植木屋松正も、一式表記より4tトラック何台分といった単位で書かれた見積のほうが後から追加が出にくいと指摘している(2026年7月31日確認)。高さと本数で総額がどう動くかは庭木の伐採費用の相場|高さと本数、抜根の有無で変わるで整理している。
建物を解体するなら、庭木は工事側に寄せられる
実家の建物を壊すことが決まっているなら、庭木の処分は解体工事側に寄せられる。搬出が1回で済むぶん、庭木だけ別に頼むより総額が下がることがある。
逆に、細い枝葉だけ先に自分で処理して量を減らしておくと、解体側の処分量が減って見積が下がる場合もある。どちらが得かは現場の量と搬出のしやすさで変わるので、庭木込みの見積と庭木を外した見積の両方を出してもらって比べる。
見積を取るときは、庭木の本数と最大の高さ、抜根が要るかどうかを先に伝える。伝えていないと現地で追加になる。庭に物置が残っているなら、こちらも同じ工事に含められる(物置の解体処分費用と、中身を先に片付ける理由)。
切り株と根、土が付いたものの扱い
幹と枝を片づけても、切り株と根が残る。
抜根は伐採とは別料金で、幹周りが太いほど上がる。各社の解説では、幹周り30cm未満で5,000〜1万円程度、80cmを超えると3〜5万円程度という幅が示されている(TRUSTCORP、2026年7月31日確認)。植木屋松正は、抜根をあきらめて切り株のまま残すだけで費用は大きく下がると案内している。
売却も解体も当面予定がなく、庭として使い続けるだけなら、切り株を残す判断は現実的だ。ただし、更地にして売る、建物を解体して整地する、駐車場にするなど地面を使う予定があるなら、結局は抜くことになる。出口が決まっていない段階で抜根まで払うと、二重の出費になりやすい。
抜いた根の処分にも条件が付く。持ち込みの前提として土や石の除去を挙げる解説があり、土が付いたままの根はそのまま受け入れられないことがある(リペマガ、2026年7月31日確認)。根を含む処分が見積に入っているかは、伐採の見積とは別に確認しておく。
庭で燃やして処分する、は選択肢に入らない
費用がかからない方法として頭に浮かびやすいが、これは避ける。
廃棄物の野外焼却は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条の2で原則として禁止されている。違反すると同法第25条により5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される(千葉市「野焼きの禁止」、2026年7月31日確認)。庭や空き地に置いたドラム缶やブロック囲いでの焼却も、構造基準を満たさない家庭用焼却炉の使用も、これに含まれる。
例外は施行令第14条に限定列挙されており、農業・林業・漁業を営むためにやむを得ない焼却(林業者が行う伐採した枝条の焼却など)や、たき火その他日常生活を営むうえで通常行われる軽微な焼却などが挙がる。実家の庭木をまとめて燃やす行為は、この例外に当てはまらないと考えるのが安全だ。地域によっては条例でさらに制限が重ねられている。
費用を下げるなら、この順番で決める
やることの順番を変えるだけで、同じ量でも総額が変わる。
- 実家のある自治体のごみページで、長さ・太さ・1回に出せる量の三つを確認する。切る長さがここで決まる
- その自治体の処理施設が、住民以外の持ち込みや代理搬入をどう扱うかを電話で確認する
- 自分で切る範囲と業者に任せる範囲を先に分ける。細い枝葉を自分で処理してから呼ぶと、業者側の処分量が減る(庭木の伐採を自分でやる場合の道具と限界)
- 業者見積は、伐採費と処分費を分けた形で2社以上取る
- 建物を解体する予定があるなら、庭木込みの解体見積と比べてから発注する
補助金は期待しすぎないほうがいい。くらしのマーケットは、自宅に植えてある木を伐採したときの補助金制度は用意されていないと明記している(2026年7月31日確認)。一方で、空き家の解体には補助金を設けている自治体がある。庭木単体ではなく建物ごと片づける話なら、実家のある自治体の担当窓口で制度の有無と年度の受付状況を確認する価値がある。
なお、ここで扱ったのは自治体の運用と業者の見積で決まる範囲であり、相続した不動産の名義や税金の扱いに関わる判断は、税理士や司法書士に確認する。
よくある質問
切った木をしばらく置いておいてもいい?
置くほど処理しにくくなる。木は湿気を吸うと重くなり、重量制の施設では手数料がそのまま上がる。腐朽やシロアリ、カビの発生源になるという注意も、業者側の解説で共通して出ている。重量課金の施設に運ぶ予定なら、雨の当たらない場所で乾かしてから運ぶほうが安い。
細かく切る手間をかけてでも、自治体に出す価値はある?
量による。45L袋で数袋なら指定袋代だけで終わる。軽トラック1台分を超える量になると、切る作業と収集日ごとに出す回数のほうが重くなり、持ち込みか業者引き取りに切り替えたほうが早い。
庭木を引き取ってくれる先はほかにある?
薪やチップとして使う人に譲る方法が紹介されている。ただし引き取り手が付くのは樹種・乾き具合・量の条件が合ったときに限られ、期日が決まっている片づけの主軸には据えにくい。
伐採業者と不用品回収業者、どちらに頼む?
まだ立っている木なら伐採業者。すでに自分で切って山になっているなら、引き取りだけを扱う不用品回収業者のほうが話が早いことがある。いずれの場合も、量の数え方と追加費用の条件を先に文字で出してもらう。
