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庭木の伐採を自分でやる場合の道具と限界

庭木の伐採を自分でやる場合の道具と限界

庭木くらいなら自分で切れるはずだと考えるのは自然で、実際に切れる木もある。ただし線は思ったより低い位置にある。

業者が公表する目安は高さ3m・幹の直径20cm以下が多い一方、高さ2m・太さ10cmまでとする造園業者もある。低いほうの線を採用し、超えたら道具を買う前に見積もりを取るほうが結局は安く済む。

この記事の目次
  1. 自分で切れる木の線は、業者ごとにそろっていない
  2. 住んでいない実家の庭木は、判断の基準がもう一段変わる
  3. 必要な道具と、実際にかかる金額
  4. 倒す手順は、切る前の段取りで決まる
  5. つまずくのは切る場面ではなく、切った後の処分
  6. 根っこは伐採とは別の作業になる
  7. 隣家と道路にかかる枝は、法律の話になる
  8. 切る時期をずらせるなら冬側に寄せる
  9. 業者に出したときの金額と、どこで線を引くか
  10. 遠方から実家の庭木を片づけるときの順番

自分で切れる木の線は、業者ごとにそろっていない

最初に決めるのは切り方ではなく、その木に手を出していいかどうか。伐採を請け負う側が公表している目安を並べると、数字がそろっていないことがわかる。いずれも2026年7月31日に確認した各社の記載である。

出所自分でやれる目安
くらしのマーケット マガジン高さ3m以下・幹の直径20cm以下
お庭の大将高さ3m以下・幹の直径20cm以下
シダエコ高さ3〜5m程度まで
小澤木材店高さ2m程度・太さ10cm程度
伐採110番自分の身長程度・片手でつかめる太さ(直径10cm程度)

2mから5mまで開いているのは、どこかが間違っているからではない。安全な線が木の状態と周囲の条件で動くため、一点で決められないという意味になる。判断に迷うなら低いほうの線、つまり自分の身長程度・片手でつかめる太さに合わせるのが安全側に倒れる。

高さと太さより先に見る4つ

  • 傾き:すでにどちらかへ傾いている木は、倒したい方向に倒せない
  • 周囲:木の高さ分の空きがあるか。家屋、ブロック塀、カーポート、電線、道路、隣家の窓のどれかが射程に入るなら対象外
  • 腐朽と空洞:枯れかけの木、幹に空洞がある木は、切っている途中で予測と違う裂け方をする
  • 足場:脚立に乗らないと届かない時点で、伐採ではなく高所作業になる

枝が電線に触れている木は、自分でも一般の伐採業者でもなく、まず電力会社の窓口に連絡する案件になる。

住んでいない実家の庭木は、判断の基準がもう一段変わる

ここが、庭の手入れとして庭木を切る場合と実家じまいの一部として切る場合の分かれ目になる。空き家の庭木は、放置そのものが行政の判断材料に入る。

国土交通省の「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」は、2023年12月13日に最終改正された。そこでは管理不全空家等かどうかを総合的に判断する状態の例として、立木について次のような記載がある(2026年7月31日確認)。

  • 立木の伐採、補強等がなされておらず、腐朽が認められる状態
  • 立木の大枝の剪定、補強がなされておらず、折れ又は腐朽が認められる状態
  • 立木の枝の剪定等がなされておらず、立木の枝等のはみ出しが認められる状態

そして同省の資料では、市区町村長から勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、固定資産税等の住宅用地特例の適用対象から除外される。手入れされていない庭木は、その勧告に至る判断材料のひとつとして名指しされている。

相談者相談者
庭木を放置しただけで、いきなり税金が上がるということですか
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
いきなりではない。指導があり、それでも改善されない場合に勧告という順番になる。ただ、遠方に住んでいて年に一度しか実家に行かないと、指導の通知が届く頃には枝がどうなっているか自分では見ていない、という状態になりやすい

編集部が相続した土地は建物のない傾斜地で、固定資産税は年約7万円のまま持ち続けている。建物と庭がある実家の場合、放置のコストは税額だけでなく、この特例の扱いにも及びうる点が違う。

必要な道具と、実際にかかる金額

道具は切るものと守るものに分かれる。守るほうを削ると、節約した金額の意味がなくなる。

切る道具

  • 剪定バサミ:細い枝を落とす
  • 剪定ノコギリ:直径10cm程度までなら人力で切れる。ただし相応の労力がかかる
  • チェーンソー:ホームセンターで1万円前後から。切断できる幹の直径に上限があるので、ガイドバーの長さを先に確認する

倒す方向を作る道具

  • ロープ:直径10mm以上。倒したい方向に張って引く
  • くさび:追い口が閉じてノコギリが挟まるのを防ぐ
  • 脚立:使わずに済む高さの木を選ぶのが本筋

守る道具

  • 作業用手袋、保護メガネ、ヘルメット、安全靴、長袖長ズボン
  • チェーンソーを使うなら下肢の切創防止用保護衣

ミツモアの記事(2026年7月31日確認)では、チェーンソーを除く道具一式で8,000〜10,000円、チェーンソーを加えると10,000〜30,000円という試算が示されている。低木1本を業者に頼む金額と、道具をそろえる金額が近い水準になる。

つまり1本だけなら、自分でやっても金額はほとんど下がらないことがある。自分でやる意味が出るのは、本数が多い場合か、道具をすでに持っている場合に限られる。

倒す手順は、切る前の段取りで決まる

手順そのものは各社ほぼ共通している。以下は2026年7月31日に確認したくらしのマーケット マガジンとお庭の大将の記載を整理したもの。

  1. 倒す方向と退避路を決める。木の高さ分の空間が取れる方向を選び、倒れる方向に対して斜め後方へ逃げる道を先に空けておく
  2. ロープを張る。幹の高い位置に掛け、倒したい方向へ引いて固定する
  3. 枝を払う。上から順に、左右のバランスを見ながら落とす。重心が偏ったまま幹を切ると方向が制御できない
  4. 受け口を作る。倒したい方向側に、幹の直径の3分の1程度まで、30〜45度の角度で切り込む
  5. 追い口を入れる。受け口の反対側から水平に切る。高さは受け口の3分の2程度の位置
  6. 切り残しを残す。受け口と追い口の間を切り抜かず、蝶番の役目をする部分を残して倒す方向を保つ
  7. 分割する。直径5〜10cm程度の木は、まず肩の高さで一度切ってから根元を切ると運びやすい。根元は土から10cmほど残しておくと、あとで根を抜くときのてこになる

作業は2人以上で行う。倒れる範囲に人が入らないよう見張る役が要るという理由が大きい。

参考として、厚生労働省の資料では林業の労働災害による死亡者数は年間40人前後で推移し、その死亡災害の約6割がチェーンソーによる伐木作業時に発生しているとされる。これは業務としての林業の統計であり、家庭の庭木と同じ数字ではない。ただ、事業者が労働者にチェーンソーで伐木をさせる場合には労働安全衛生規則第36条第8号に基づく特別教育が義務づけられ、2020年8月1日から科目が統合・拡充された。法定の教育を要する種類の作業だという事実は、判断材料として持っておいてよい。

つまずくのは切る場面ではなく、切った後の処分

倒すところまでは半日で終わることがある。残るのは、幹と枝と葉の山をどうするか。ここは自治体ごとにルールが違い、実家の所在地の規則で決まる。2026年7月31日時点で各市が公表している内容を並べる。

自治体木の枝の出し方
横浜市燃やすごみ。枝の長さは50cm未満、1回の目安は両手で抱えられる束が2〜3束程度
町田市剪定枝は資源物として資源集積所へ。1束は直径30cm・長さ60cm以内、1本の太さは直径10cmまで
藤沢市枝は1.5m未満に切り、直径35cm未満に束ねる。木の根は太さ20cm未満に割る
市川市太さ10cm以下の枝を長さ50cm以下・直径30cm以下の束にして、1世帯3束まで

束の直径まで指定されている自治体があるので、切ってから調べると寸法が合わずに切り直しになる。順番としては、ごみのルールを見てから切る長さを決める。

見落としやすい2点

ひとつは委託した場合の扱い。横浜市の粗大ごみFAQでは、造園業者に委託して剪定した場合は事業活動に伴うごみとなるため粗大ごみとして出すことはできず、事業系ごみとして処理するとされている。自分で切ったか業者が切ったかで出し先が変わる。

もうひとつは燃やす選択肢がないこと。廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条の2により、野外焼却は一部の例外を除き禁止されている。千葉市の案内によれば、違反した場合は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されることがある。庭で燃やして片づけるという発想は、はじめから外しておく。

空き家の場合、収集日に集積所へ出す作業そのものが遠方からだと成立しにくい。切る日と出す日をどう合わせるかまで含めて、自分でやるかどうかを判断することになる。

根っこは伐採とは別の作業になる

幹を切り倒しても、切り株と根は地中に残る。切り株のままで支障がないなら伐採だけで足りるが、更地にする、駐車スペースにする、外構をやり直すといった目的があるなら抜根が要る。

切り株を残した場合に起きることとして、業者各社が挙げているのは次の点。

  • 樹種によっては切り株から芽が出て伸び直す
  • 朽ちた木は湿気を含み、シロアリなどの害虫が集まる下地になる
  • 解体工事や外構工事の際に、結局その段階で撤去費が乗る

費用の目安として、くらしのマーケット マガジンが示す抜根費用は幹周30cm以下で1〜1.8万円、31〜50cmで2〜3.3万円、51〜80cmで3〜6万円、81cm以上で4〜9.5万円(2026年7月31日確認)。幹が太く、植わっている年数が長いほど根が深く広がるため、人力での対応は現実的でなくなる。

自分で伐採する段階で決められるのは、切り株を土から10cmほど残しておくこと。地際で切ってしまうと、あとで掘り起こすときにつかむ部分がなくなる。

切り株の扱いと費用は、抜根の費用と、切り株を残すと起きることで個別に整理している。

隣家と道路にかかる枝は、法律の話になる

実家の庭木でよくあるのは、隣家側に枝が出ている、または隣家の木が実家側に出ているという状態。この扱いは2023年4月1日施行の民法改正で変わった。

横浜市および福生市が公表している説明(2026年7月31日確認)によれば、原則は民法第233条第1項のとおり、越境された土地の所有者が竹木の所有者にその枝を切除させることになる。そのうえで、次のいずれかに当たるときは自ら切り取れる(同条第3項)。

  1. 竹木の所有者に切除するよう催告したが、相当の期間内に切除しないとき
  2. 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
  3. 急迫の事情があるとき

1の相当の期間について、福生市は枝が数本越境している程度であれば基本的に2週間程度と説明している。また根については、同条第4項により催告なしに切り取れる。枝を切り取るのに必要な範囲であれば、あらかじめ目的・日時・場所・方法を通知したうえで隣地を使用できる(改正後の民法第209条)。

相談者相談者
実家の木が隣の家に伸びている側の場合は
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
切除する義務は木の所有者、つまり実家の側にある。相続して名義が自分になっているなら、その義務も引き継いでいることになる

越境の程度、費用を誰が負担するか、共有名義の木をどう扱うかといった個別の判断は、編集部が答えられる範囲を超える。横浜市も、必要以上に枝を切りすぎると思わぬトラブルになる可能性があるとして、弁護士や司法書士など専門家への相談を勧めている。境界そのものに争いがある場合は、切る前に相談先を決めるほうが順番として早い。

切る時期をずらせるなら冬側に寄せる

急ぎでないなら、時期の選択で作業の重さが変わる。各社が伐採に向くとしているのは、気温が低く乾燥している冬から早春にかけて。理由は次のとおり。

  • 樹木に含まれる水分が少なく、切った幹や枝が軽い。運搬と処分の負担が下がる
  • 落葉樹は葉が落ちているため、枝ぶりと重心が目で見て取れる
  • 蜂やムカデなど、作業中に出会うと厄介な生き物が少ない
  • 切った枝を数週間乾かしてから出せば、さらに軽くなる

ただし常緑樹は落葉しないので、この利点のうち2つ目は効かない。また、台風前に折れそうな大枝が見つかった場合など、時期を待てない状況もある。折れかけた枝を年単位で放置するほうがリスクが高い。

実家が遠方で、帰省の回数が限られているなら、時期の最適化より「行ける日に見て、状態を記録して帰る」ほうが優先度は高い。写真を撮り、高さの見当をつけておけば、次に行くまでの間に見積もりを取ることができる。

業者に出したときの金額と、どこで線を引くか

自分でやるかどうかを金額で比べるには、頼んだ場合の水準を先に知っておく必要がある。以下は2026年7月31日に確認した2社の公表値で、幅があるのは地域・作業条件・処分の有無で動くため。

木の高さくらしのマーケット マガジンお庭の大将
3m未満3,000〜9,000円5,000〜20,000円
3〜5m8,000〜20,000円15,000〜40,000円
5m以上15,000〜30,000円5〜7mで30,000〜80,000円

この金額は1本あたりの伐採であり、切った木の処分費、抜根、整地は別建てになることが多い。見積書で確認する項目は次の4つ。

  • 伐採・処分・抜根・整地が分けて書かれているか
  • 追加料金が発生する条件(重機が入れない、搬出距離が長い、など)が明記されているか
  • 近隣の養生と、作業日の近隣挨拶を誰がやるか
  • 複数本ある場合、1本ごとの単価か一式か

費用を下げる現実的なやり方は、全部やめるか全部任せるかの二択にしないこと。倒す作業だけ業者に任せ、枝の片づけと処分は自分で引き受けると総額が下がる場合がある。逆に、遠方から通う交通費と滞在日数を足すと、処分まで任せたほうが安いこともある。

高さ別の相場と、本数や抜根の有無で金額がどう動くかは庭木の伐採費用の相場|高さと本数、抜根の有無で変わるにまとめている。

庭木が複数本あり、更地に近い状態まで戻したいなら

庭木の伐採に加えて、物置やブロック塀、庭石の撤去まで含むなら、庭木単体ではなく解体・撤去の一式として見積もりを取ったほうが総額が読める。複数社の金額を並べてから、自分でやる範囲を決める。

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遠方から実家の庭木を片づけるときの順番

実家じまいの一部として庭木に手を付ける場合、判断の順番を固定しておくと迷いが減る。編集部が調べた範囲で、無駄が出にくいのは次の並びになる。

  1. 写真と実測を先に取る。高さは自分の身長、1階の窓、屋根の軒先を基準にすると目測でも精度が出る。幹の太さは手で握れるかどうかで記録する
  2. 目的を決める。売却前に見栄えを整えたいのか、更地にするのか、越境の苦情を止めたいのかで、必要な作業が伐採だけか抜根まで含むかが変わる
  3. 実家の自治体のごみルールを調べる。枝の長さ、束の直径、1回に出せる量、クリーンセンターへの持ち込みの可否。ここで自分で処分できる量の上限が決まる
  4. 2〜3社の見積もりを取る。写真があれば現地に行かなくても概算が出る場合がある
  5. 自分でやる範囲を切り分ける。低い木と細い枝だけ自分、幹と高い枝は業者、という分け方が現実的

1本だけの低い木なら、道具をそろえる金額と頼む金額が近いので、どちらを選んでも結果は大きく変わらない。差が出るのは本数が多い場合と、高さが線を超えている場合。後者は金額の問題ではなく、やる・やらないの問題になる。

1本だけ、あるいは作業ごとに頼みたいとき

庭木1本の伐採や、切った枝の運び出しだけを頼みたい場合は、作業単位で料金が出ている事業者を比べると金額が読みやすい。作業内容と地域を指定して、料金と口コミを並べて確認する。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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