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農地転用の必要書類一覧|揃えにくい図面と同意書

農地転用の必要書類一覧|揃えにくい図面と同意書

農地転用の必要書類は、一覧を見ても自分のケースで何が要るのかが決まらない。

共通で要る基本書類は6点前後で、実際に止まるのは図面5種と同意書。福岡県の一覧は26項目あり、うち6項目は原則として原本を求められる。登記事項証明書は書面請求で1通600円。2026年7月31日時点の一次情報で整理する。

この記事の目次
  1. 必要書類は3つの層が重なって決まる
  2. どの申請にも要る基本書類と、その手数料
  3. 最初に止まるのは図面5種(縮尺が決まっている)
  4. 同意書と意見書は、相手の都合で日程が決まる
  5. 資金計画書と資力を証する書面
  6. 相続がからむと書類が一段増える
  7. 市街化区域なら届出。書類は一気に減る
  8. 転用の目的で追加される書類
  9. 2025年4月以降に増えた確認事項
  10. 期限切れを起こさない取得の順番
  11. 自分で揃えるか、依頼するかの分かれ目

必要書類は3つの層が重なって決まる

農地転用の添付書類は、ひとつの表で決まらない。次の3層が重なる。

  1. 法令の層:農地法第4条第2項・第5条第3項に基づき、農地法施行規則第30条と第57条の4が申請書に添付する書類を定めている(福岡県水田農業振興課・2026年4月14日更新)
  2. 都道府県の層:県が様式例と一覧表を出す。福岡県の一覧は26項目で、各項目に「全ての申請に原則添付(◎)」「申請目的等によっては原則添付(○)」の区分が付く
  3. 市町村農業委員会の層:地元農業委員の確認書、隣接耕作者の同意書など、町単位でしか出てこない様式がある(山梨県富士川町の様式一覧)

①だけ調べても足りず、③まで当たらないと窓口で戻される。福岡県の一覧表にも「必要に応じて表に記載している書類以外の書類の提出をお願いすることがあります」「事前に管轄の市町村農業委員会に御相談ください」と書かれている。

そのうえで、申請の種類で必要量が大きく変わる。市街化区域内の農地は農業委員会への届出で許可が不要になり(東京都産業労働局)、それ以外は許可申請になる。手続きの全体像は農地転用の手続きの流れ|必要書類と申請先の一覧で整理している。

相談者相談者
ネットの一覧をそのまま揃えれば足りると思っていました。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
一覧は出発点で、確定版は農業委員会が持っています。先に窓口で自分の農地の一覧をもらうと、二度手間が減ります。

どの申請にも要る基本書類と、その手数料

福岡県の一覧で「◎(全ての申請に原則として添付)」が付く共通書類と、その入手先・費用をまとめる。手数料は法務省の登記手数料(令和7年4月1日改定・2026年7月31日確認)による。

書類入手先手数料条件
農地法第4条または第5条の許可申請書農業委員会・県の様式無料4条は所有者本人が転用、5条は売買や貸借を伴う転用で譲渡人と譲受人が連署(東京都)
土地の登記事項証明書(全部事項証明書に限る)法務局書面600円/オンライン請求・送付520円/オンライン請求・窓口交付490円原則として原本。3か月以内の発行を求める自治体が多い
地番を表示する図面(法務局備付の地図・公図等)法務局地図等証明書 書面500円/送付470円/窓口交付440円地番・地目・地積・所有者・事業範囲が分かるよう整理する
戸籍の附票または住民票の写し市区町村自治体により異なる申請書の住所と登記事項証明書の住所が違う場合
法人の登記事項証明書、または定款・寄附行為の写し法務局・自社登記事項証明書は上記と同額法人が申請する場合。定款の写しは原本証明が必要
委任状県の様式例または任意様式無料代理人が申請する場合。原則として原本

金額の一点だけを見て予算を組まないほうがいい。証明書は筆ごと・通ごとに積み上がり、対象が数筆に分かれていれば同じだけ枚数が要る。

なお福岡県は委任状の案内に、行政書士でない人が報酬を得て官公署に提出する書類を作成することを業とするのは行政書士法違反にあたる、と明記している。家族や知人に無償で手伝ってもらうのと、報酬を払って作ってもらうのは別の話になる。

最初に止まるのは図面5種(縮尺が決まっている)

証明書は窓口に行けば出る。時間を食うのは自作の図面で、しかも縮尺が指定されている。福岡県の一覧では次の縮尺が示されている(2026年7月31日確認)。

図面縮尺役割
位置図1/10,000〜1/50,000程度申請地が市町村内のどこにあるか特定できるもの
付近見取図1/10,000〜1/50,000程度付近の状況が分かるもの
現況図1/500〜1/2,000程度申請地を含む周辺の現況
土地利用計画図1/500〜1/2,000程度転用後にどう使うかの配置
建物配置図1/500〜1/2,000程度建物を建てる場合

これに、一筆の一部だけを転用するなら実測図が加わる。分筆前の農地で「畑の一部に家を建てる」ケースはここで測量が必要になり、費用も期間も別立てになる。

周辺農地への被害防除の観点から求められる図面もある。福岡県の一覧では造成計画縦横断面図、土留構造図、建物平面図・立面図・日影図が「申請目的等によっては原則添付」の区分に入る。行政書士事務所が公開している実務メモでは、排水計画図には放流先を記載する、現況写真は申請地の範囲を赤線で示し撮影日を入れる、といった運用も紹介されている(染谷綜合法務事務所)。

市街化区域の届出は図面の要求が軽い。川崎市は「転用する農地付近の明細図(1,500分の1〜2,500分の1)の写し、届出地を赤枠で表示」とだけ指定している。

相談者相談者
図面は自分で描いてもいいのですか。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
位置図や現況図は市販地図や航空写真の写しに書き込む形で受け付ける自治体が多いです。測量が要るのは実測図と造成関係で、そこだけ外注する組み方もできます。

同意書と意見書は、相手の都合で日程が決まる

自分の手で完結しない書類が、申請全体のスケジュールを決める。福岡県の一覧では「転用する行為の妨げとなる権利を有する者の同意書」として次の3種が並ぶ。

  • 所有者の同意書(所有権以外の権原に基づいて申請する場合)
  • 耕作者の同意書(所有権以外の使用収益権に基づく耕作者がいる場合)
  • 権利者の同意書(耕作以外の利用を目的とした権利を有する者がいる場合)

東京都も一般基準の説明で「農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には同意書」を挙げている。長年ただで作ってもらっていた、口約束で貸していた、といった状態がここで表に出る。

水回りはさらに相手が増える。申請農地が土地改良区の地区内にあれば土地改良区の意見書(福岡県の一覧では原則として原本)、取水や排水に関係すれば水利権者・漁業権者の同意書が要る。決裁の頻度が月1回という組織もあり、判断は先方の会合日程に乗る。取り方と費用は農地転用の水利組合の同意書|費用と取り方で扱っている。

市町村独自の様式もある。山梨県富士川町は3条・4条・5条共通の「農業委員確認書」で地元農業委員の署名と捺印を、4条・5条関係の同意書で隣接農地の耕作者から自筆署名と捺印を受けるよう案内している。押印を集める書類は、郵送だけでは終わらないことが多い。

あわせて、第1種農地などで求められる代替地検討表も相手のある書類に近い。なぜ他の土地ではなくこの農地なのかを説明する資料で、後から書くと辻褄合わせになる。

資金計画書と資力を証する書面

一般基準には転用事業の確実性が含まれる。つまり「本当にその工事ができるのか」を金で示す書類が要る。福岡県の一覧では資金計画書・資金証明書等と見積書がいずれも「全ての申請に原則として添付」で、資金計画書等は原則として原本の区分になっている。

  • 資金計画書:総事業費と調達方法の内訳
  • 資力を証する書面:預貯金残高証明書、融資証明書など
  • 見積書:整地・建設等の工事見積。原本提出を求める運用がある
  • 売買契約書の写し等:5条申請で予定金額が分かるもの

この扱いは県ごとに歴史がある。愛知県は「平成29年4月1日から、農地法第4条及び第5条許可申請にあたり資力があることを証する書面の添付を必要としています(すでに申請に係る転用が完了しているものを除く。)」と明示している。通帳の写しで代える場合に、原本に相違ない旨の奥書証明を求める運用もある。

資金計画書は、転用後に何をするかが固まっていないと1行も書けない。用途が決まらないまま書類集めから始めると、ここで止まる。

相続がからむと書類が一段増える

実家じまいの流れで農地転用にたどり着く場合、登記名義が亡くなった親のままというケースが多い。ここが書類量を左右する。

福岡県の一覧では、申請に係る土地が相続登記前で所有関係が確認できない場合に、戸籍謄本、法定相続情報一覧図・相続関係説明図が求められる。川崎市の届出でも、登記簿上の所有者が死亡している場合として「被相続人の出生から死亡までが確認できる戸籍〔除籍〕謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書、相続人関係図等」が案内され、遺産分割協議書と印鑑証明書以外は法定相続情報一覧図の写しで代えられるとしている。

その一覧図を作る制度が法定相続情報証明制度で、戸除籍謄本の束とともに登記所へ提出すると、認証文を付した写しが無料で交付される(法務局・平成29年5月創設)。同じ束を何度も出し直さずに済むので、農地転用と並行して金融機関の手続きがあるほど効く。

前提として、相続登記そのものが令和6年4月1日から義務化され、所有権の取得を知った日から3年以内に申請することとされている(法務局)。転用の前に登記を直す順番になることが多い。

実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

名義の確認で止まる、という体感

編集部は沖縄の傾斜地を相続し、売却・寄付・国庫帰属と出口を順に検証して、どれも成立しないまま保有を続けている。固定資産税は年約7万円で、毎年出ていく。

その検証の過程で法務局に通って登記事項証明書と公図を取ったが、時間を食ったのは書類の取得そのものではなく、名義まわりの確認だった。役所も相手方も、所有者が誰かを確定させないと次の話に進まない。農地転用の添付書類に戸籍や法定相続情報一覧図が並ぶのも、同じ理由による。

なお、遺産分割の内容をどう決めるか、相続税がどうなるかは編集部の守備範囲ではない。分割協議や税額の判断は司法書士・税理士に確認する部分として切り分けたほうが早い。

市街化区域なら届出。書類は一気に減る

農地が市街化区域内にあれば、あらかじめ農業委員会に届け出ることで許可が不要になる(東京都産業労働局)。必要書類も大幅に軽い。川崎市の案内では、届出書のほかに登記事項証明書(届出前3か月以内の原本)、明細図、賃貸借の解約許可を証する書面などが並び、提出は正本と副本(添付書類は正本にのみ添付)とされている。

この層は制度変更が細かい。同じ川崎市のページには次の2点が載っている(2026年7月31日確認)。

  • 令和8年3月2日から、農地転用届出時の土地の全部事項証明書と公図の添付を省略できる
  • 500平方メートル以上の第5条の転用で開発許可が必要な場合の許可証の写しの添付等は、農地法の改正に伴い令和4年4月1日以降は不要

期間も許可とは別物で、川崎市は受理通知書の交付をおおむね1週間程度、西宮市は届出を随時受付で原則として正式な受理日より2週間としている。

ただし市街化区域でも生産緑地の指定を受けている農地は別扱いで、川崎市は行為制限の解除日以降に届出をするよう案内している。解除日より前に転用行為の着手や所有権の移転はできない。

届出でも許可でも、交付された受理通知書や許可指令書は地目変更登記の添付書類になる。千葉市は大切に保管するよう案内している。工事が終わってから探す書類ではない。

転用の目的で追加される書類

基本セットに、用途ごとの説明資料が乗る。福岡県は事業計画書と被害防除計画書を、建売住宅・共同住宅・工場・倉庫・駐車場・店舗・社会福祉施設・農業用施設・植林・太陽光発電設備といった用途別の様式例で用意している。主なものを整理する。

  • 資材置場・駐車場:既存施設の利用状況説明書、既存施設との位置関係図、事業経歴書、数量(品目・台数)の算定根拠資料、転用目的以外に使用しない旨の確約書
  • 駐車スペースを伴う事業:20台分以上を設ける場合の台数算定根拠説明書
  • 建売分譲住宅:事業経歴書、建物等の配置図。福岡県は建売住宅の進捗状況一覧表も様式化している
  • 営農型太陽光発電:営農計画書、周辺農地への影響見込み、意見書、栽培理由書、撤去費用に関する誓約書
  • 他法令が関わる場合:他法令の許認可申請書や手続の進捗状況を説明した書面、宅地建物取引業免許など資格を示す書類の写し

資材置場や駐車場は「本当に必要な広さか」を数量で問われる区分で、根拠資料が薄いと差し戻しになりやすい。太田市のように誓約書や農地復元計画書(一時転用の場合)を個別様式で置いている自治体もある。

2025年4月以降に増えた確認事項

書類一覧の前段で、そもそも申請できる状態かを確かめる工程が増えている。2026年7月31日時点で押さえたい点を挙げる。

  • 地域計画区域内かどうか:宇都宮市は、令和7年4月1日以降に申請地が地域計画区域内の場合、農地転用許可申請の前に地域計画の変更手続き(対象農地を地域計画から除外)が必要と案内している(2026年4月17日更新)
  • 農用地区域内かどうか:農用地区域内農地は原則不許可で、先に農振除外の手続きが要る。ここに数か月かかると、先に取った証明書の期限が切れる
  • そもそも許可が要らない場合:耕作者が自ら耕作する2アール未満の農地に農業用施設を設置する場合、転用許可は不要だが願出が必要(宇都宮市)
  • 特例の追加:埼玉県は、令和7年4月1日の農地法改正により農地法施行規則第29条第4号・第53条第4号で、地域計画に認定農業者が設置しようとする農業用施設を記載する場合に許可を不要とする特例が設けられたとして、様式を追加している

制度は年度で動く。ここに挙げた内容も、申請前に農業委員会の最新ページで確認してほしい。

期限切れを起こさない取得の順番

証明書類の多くには3か月以内という期限がある。最初に法務局へ行って一式を揃えると、同意書を待っている間に切れる。相手のある書類から先に動かすほうが崩れにくい。

  1. 農業委員会に事前相談し、その農地に必要な書類一覧を確定させる
  2. 同意書・意見書の依頼(所有者、耕作者、土地改良区、水利権者)
  3. 図面と事業計画書の作成、測量が必要かの判断
  4. 資金計画書、資力を証する書面、見積書
  5. 最後に登記事項証明書、公図、住民票、戸籍などの証明書類

締切は月1回で、そこを外すと丸ごと翌月に送られる。自治体の公表例を並べる(2026年7月31日確認)。

自治体受付締切期間の目安
一宮市毎月8日締切締切日が土日祝なら前日が締切
さいたま市毎月20日締切3,000平方メートル超は締切から許可日まで6週間程度
西宮市毎月20日締切翌月の農業委員会総会(原則20日開催)で審議
宇都宮市毎月月末締切受付締切日から許可書交付までの標準処理期間を42日と設定

期限を待てずに着工するのが最悪の手になる。無断転用や許可に係る事業計画どおりでない転用は農地法違反で、工事の中止や原状回復等の命令があり得るほか、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下)が科されることがあると一宮市は案内している。

自分で揃えるか、依頼するかの分かれ目

ここまでの整理でいうと、判断は書類の総数ではなく次の3点で分かれる。

  • 相手のある書類が多いか:土地改良区、水利権者、隣接耕作者が絡むほど、窓口通いの回数が増える
  • 測量が要るか:一筆の一部を転用する、造成計画がある場合は、どのみち外注が発生する
  • 相続登記が済んでいるか:未了なら、転用の前に登記の工程が挟まる

市街化区域の届出で、名義が自分で、図面も明細図だけ、という組み合わせなら自力で通せる範囲に収まりやすい。逆に許可申請で同意書が3種類必要な状態なら、報酬を払う判断のほうが早いことが多い。報酬の幅と依頼の線引きは農地転用は行政書士に頼むべき?報酬相場と依頼の判断にまとめている。

依頼するにしても、事業計画書と資金計画書だけは中身を自分で決める必要がある。転用後に何を建てるのか、誰が使うのか、費用をどう賄うのかが空白のままでは、代理人も書けない。

転用後の使い道が決まっていないなら、先に手を付ける

農地転用の書類は、用途が決まって初めて埋まる。駐車場・資材置場・住宅・売却用地のどれが成り立つ土地なのかは、条件を入れて複数社のプランを取り寄せると輪郭が出る。無料で比較できるので、申請の前段に置いておくと事業計画書と資金計画書の材料になる。

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この記事の内容は2026年7月31日時点で各自治体・官公庁の公開情報を確認したもので、様式・添付書類・締切は農地の所在地と年度で変わる。最終的な確定版は、必ず管轄の市町村農業委員会で受け取ってほしい。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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