実家の固定資産税はいくら?評価額から自分で計算

実家の固定資産税がいくらになるのか、納税通知書を見ても額の根拠までは分からないままの人は多い。
答えは手元の課税明細書で出せる。土地は評価額の6分の1に、家屋は評価額そのものに1.4%を掛ける。この式で試算すると木造の一戸建てはおおむね年5万〜15万円の幅に収まり、額が跳ね上がるのは自治体から勧告を受けたときだけ。2026年7月31日時点の制度で整理する。
この記事の目次
実家の固定資産税は3つの数字で決まる
固定資産税の額は、次の一本の式で決まる。
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%
市街化区域にある実家なら、これに都市計画税(東京23区は0.3%)が上乗せされる。1.4%は地方税法上の標準税率で、自治体の判断で変えることもできるため、実家のある市町村の税率は現地の資料で確認する(東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」2026年7月31日確認)。
額を左右するのは税率ではなく、課税標準額のほうだ。ここに入る数字は、土地と家屋でまったく作られ方が違う。
- 土地の課税標準額:評価額に住宅用地の特例(6分の1または3分の1)と負担調整措置がかかった後の数字。評価額より小さくなる
- 家屋の課税標準額:原則として評価額と同じ。新築時の減額が終わっていれば、評価額がそのまま乗る
つまり「実家の固定資産税はいくらか」は、①土地の評価額、②家屋の評価額、③土地に住宅用地の特例が効いているかどうか、の3つで決まる。①と②は課税明細書に印字されている。③は今の使われ方と自治体の判断で変わる。
課税明細書のどこを見れば額が出るか
毎年4月ごろ、納税通知書と一緒に課税明細書が届く。23区の場合、納期は6月(第1期)・9月・12月・翌年2月の年4回(東京都主税局、2026年7月31日確認)。時期と回数は自治体で異なる。この明細書に、税額を出すための数字がすべて入っている。
| 欄の名前 | 何の数字か | 使い方 |
|---|---|---|
| 価格(評価額) | 市町村が決めた税務上の価格。原則3年に1度見直す | 家屋はこれに1.4%を掛ける |
| 課税標準額 | 特例と負担調整のあとの数字 | 税額の直接の元。土地はここが価格より小さい |
| 相当税額(固定資産税相当額) | その資産1件ぶんの税額 | 合計が請求額になる |
| 地積・現況床面積 | 土地の面積、家屋の延床面積 | 200㎡の線を超えるかの判定に使う |
| 登記地目・現況地目 | 宅地・田・畑・山林・雑種地など | 宅地以外が混ざっていないかの確認 |
混同しやすいのが価格と課税標準額。土地は住宅用地の特例と負担調整措置で調整されるため、課税標準額は価格より小さくなる。家屋は両者が一致するのが通常なので、明細書の数字を見比べれば、その土地に特例が効いているかどうかが一目で分かる(横浜市「固定資産税・都市計画税の課税明細書をご覧下さい!」2026年7月31日確認)。
登記地目と現況地目が並んでいる様式も多い。静岡県森町の課税明細書の見方には、登記地目に宅地・田・畑・山林・雑種地、現況地目に宅地・宅地介在田などが記載されると案内がある(2026年7月31日確認)。実家に農地や山林がぶら下がっている場合は宅地と扱いが別になるので、農地の固定資産税はいくら?宅地に変えると何倍になるかで分けて確認する。
納税通知書が手元にないときの調べ方
実家が遠方だったり、親が管理していた書類が見つからなかったりして、通知書そのものが手元にないことがある。納税通知書は再発行されないが、中身を確かめる手段は残っている。
- 課税明細書の写しを頼む:不動産の所在地の市町村の資産税担当へ。郵送に応じる自治体もある
- 固定資産評価証明書を取る:窓口または郵送で請求する。手数料は1件数百円程度が一般的だが、金額と必要書類は自治体で異なる。相続人が請求する場合は、戸籍などで相続人であることを示す書類が要る
- 固定資産課税台帳を閲覧する:納税義務者は自己の資産について年間を通じて閲覧できる。対価が支払われている借地人・借家人も、賃貸借契約書などを示せば閲覧できる(東京都主税局、2026年7月31日確認)
加えて、納税者は縦覧期間中(23区は毎年4月1日から第1期の納期限まで、土日祝を除く)に縦覧帳簿を見ることができる。近隣の土地・家屋の価格と自分の評価額を見比べるための制度で、期間を過ぎると使えない。
親名義の不動産がどこに何件あるか分からない場合は、その市町村内の資産を所有者ごとにまとめた名寄帳を請求する方法がある。名称や請求できる範囲は自治体によって違うため、電話で確認してから動くほうが早い。
手数料の額、郵送可否、本人確認書類の指定は市町村ごとに違う。ここを一律の数字で断定しない。
実家の年額を自分で試算する
3つの数字が揃えば、あとは掛け算だけになる。編集部の試算例として、土地の評価額1,000万円・地積180㎡、木造家屋の評価額300万円という実家を置く。
土地:地積が200㎡以下なので小規模住宅用地の特例が効く。1,000万円 × 1/6 = 約166万円が課税標準額。これに1.4%を掛けて約23,000円。
家屋:300万円 × 1.4% = 42,000円。
固定資産税の合計は年約65,000円。市街化区域にあれば都市計画税が加わる。土地は都市計画税の住宅用地特例が3分の1なので1,000万円 × 1/3 × 0.3% = 約10,000円、家屋は300万円 × 0.3% = 9,000円で、合計は年約84,000円になる。
住宅用地の特例は、1戸あたり200㎡までが小規模住宅用地で固定資産税は価格の6分の1、都市計画税は3分の1。200㎡を超える部分は一般住宅用地で固定資産税が3分の1、都市計画税が3分の2(東京都主税局、2026年7月31日確認)。実家の敷地が広いと、超えた部分だけ軽減が浅くなる。
評価額の桁が変われば結果も動く。土地の評価額が3,000万円なら、同じ条件でも固定資産税だけで年17万円台に届く。逆に、同じ市町村内の課税標準額の合計が土地30万円未満・家屋20万円未満なら免税点を下回り、その資産には課税されない。地方の実家で通知書が届かないという話は、これに当たっていることがある。
幅で言えば、家屋が建ったままの木造一戸建ての実家は、年5万〜15万円あたりに収まる例が多い。都市部で土地の評価額が高いとこの上に出る。
試算するときの注意が2つある。1つは負担調整措置で、課税標準額が評価額 × 1/6 とぴったり一致しないことがある。もう1つは、明細書の課税標準額を使えば特例も調整も済んだ後の数字なので、掛けるのは1.4%だけで足りるという点。自力で組み立てる前に、まず明細書の課税標準額を探すほうが正確になる。
古い家ほど安いが、途中で下げ止まる
古い家だから税金は安いはず、という感覚は半分だけ正しい。家屋の評価額は次の式で決まる。
評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率(東京都小平市「古い家屋の評価額が下がらないのはなぜですか」2026年7月31日確認)
再建築価格は、同じ家をいま新たに建てるとしたらいくらかという額。経年減点補正率は建築後の年数に応じた減価率で、古くなるほど下がる。ここまでは直感どおりに動く。
問題は下限のほうだ。経年減点補正率は、20%に対応する年数を過ぎるとすべて20%に止められる。築50年でも築80年でも、家屋の評価額は再建築価格の2割を下回らない。建っている限り、家屋分の税額がゼロになることはない。
もう1つ、評価替えは3年に1度で、建築資材の価格が上がると再建築価格のほうが押し上がる。新しい評価額が前年度を上回る場合は前年度の額に据え置かれる決まりだが、下がらない年が出るのはこの仕組みによる。
空き家になると額が変わる条件
実家が空き家になっても、住宅として使える家屋が建っている限り、住宅用地の特例はそのまま続く。誰も住まなくなった翌年に自動で6倍になる制度はない。
額が変わるのは、自治体から勧告を受けたときだけ。2023年(令和5年)12月13日に施行された改正空家法で、対象が2段階になった(国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」2026年7月31日確認)。
- 特定空家等:そのまま放置すれば倒壊等のおそれがある、衛生上有害となるおそれがある、著しく景観を損なっているなどの状態にあると認められるもの
- 管理不全空家等:適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態のもの(空家法13条1項)
どちらも、指導しても改善されない場合に勧告へ進む。勧告を受けた敷地は、賦課期日である1月1日までに必要な措置が講じられていなければ、住宅用地の特例の適用対象から除外される(東京都主税局、2026年7月31日確認。埼玉県越谷市も地方税法第349条の3の2第1項を根拠に同旨を案内)。
特例が外れた土地の税額は、単純計算では6分の1が1に戻るので6倍になる。ただし負担調整措置があるため実際の上がり方はこれより緩く、相模原市は勧告を受けた場合に当該土地の固定資産税等が約4倍になると案内している(2026年7月31日確認)。増え幅は土地の評価額と現在の課税標準額次第で、一律の倍率にはならない。
どういう状態で指定に近づくのか、勧告に至るまでの順番はどうなっているのかは空き家の固定資産税が6倍になる条件|管理不全空家とはで分解している。手を打つ順番だけ知りたい場合は空き家の固定資産税が6倍になる条件と回避の順番のほうが早い。
解体して更地にすると土地の税額は上がる
草刈りや修繕が続かないので取り壊す、と考えたときに効いてくるのが同じ特例になる。
住宅用地の特例は、住宅が建っている土地に対する軽減措置だ。家屋を取り壊して更地にすると、その土地は住宅用地ではなくなり、翌年度から特例のない課税標準に戻る。家屋分の税額は消えるが、土地分が上がるため、合計では増えることが多い。
S4の試算例で言えば、家屋の42,000円が消える一方、土地は約23,000円から特例のない計算に移る。土地の評価額が大きいほど、この入れ替えは不利に働く。
それでも解体が選ばれるのは、税額以外の事情があるとき。買い手が更地を求めている、倒壊のリスクが現実に見えている、勧告が出て特例がどのみち外れる、といった場合は、解体費と税額の増分を並べて比べることになる。解体費は構造・延床面積・重機が入るかどうか・搬出距離で動くため、同じ木造でも幅が大きい。実額は現地を見た見積りでしか出ない。
タイミングにも注意が要る。賦課期日は1月1日なので、その時点で家屋が建っていなければ、その年度から特例の対象外になる。年末に壊すか年明けに壊すかで1年ずれる。
名義が親のままのときは誰に届くか
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に課される。年の途中で親が亡くなっても、その年度の納税義務は動かない。
名義が親のままだと、納税通知書は亡くなった人の宛名で届き続ける。相続人が誰も受け取らないまま放置すると滞納として扱われるため、どこに届くかを早めに整理しておく。自治体によっては、相続人の中から代表者を届け出る手続きが用意されている。
相続登記の申請は、2024年(令和6年)4月1日から義務化されている(法務省、2026年7月31日確認)。期限の数え方や過料の扱い、施行前に発生した相続がどう扱われるかは登記制度側の話になるため、法務局か司法書士に確認する範囲になる。編集部は士業ではないので、個別の期限判断はしない。
相続人の間で誰がいくら負担するかという話も、税額の計算とは別の問題になる。まず年額という共通の数字を出してから持ち込むほうが、話が短く済む。
年額が分かったあとに並べる3つの選択肢
年7万円が、10年で70万円になったとき
編集部の運営者は、沖縄の傾斜地を相続して、今も保有している。固定資産税は年約7万円。1年ぶんなら払える額で、実際に払い続けてきた。
効いてくるのは掛け算のほうだった。売却、寄付、国庫帰属と出口を順に検証しているあいだにも、毎年同じ額が出ていく。どれも成立せず、保有が続いている。
査定を取る前に知りたかったのは、その土地が売れるかどうかより先に、売れなかった場合に年いくら出ていくのかという数字だった。年額が分かってはじめて、待つコストと動くコストを同じ土俵に乗せられる。
年額が出たら、次の3つを同じ単位で並べる。
- 持ち続ける:年額 × 想定年数 + 管理費(草刈り・見回り・火災保険・水道光熱の基本料)
- 売る:手取りの見込み額と、売れるまでにかかる期間ぶんの年額
- 貸す・活用する:初期費用と、埋まらなかった期間の年額
売る場合、相続した実家には被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除がある。昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物でないこと、相続開始の直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどの要件があり、適用されるのは令和9年12月31日までの譲渡。令和6年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合の控除額は2,000万円になる(国税庁タックスアンサーNo.3306、2026年7月31日確認)。
要件は細かく、家屋をそのまま売るなら耐震基準を満たす必要があるなど条件も分かれる。当てはまるかどうかは税理士か税務署に確認する。
年額と釣り合うかは、査定額を並べて初めて分かる
売れる見込み額が分からないままだと、持ち続ける判断も売る判断も置きようがない。複数社の査定額を並べれば、毎年出ていく額に対して待つ価値があるかを数字で比べられる。
無料で査定額を調べる実家の固定資産税でよくある疑問
納税通知書はいつ届いて、いつ払うのか
23区では毎年4月ごろに納税通知書と課税明細書が送られ、納期は6月・9月・12月・翌年2月の年4回(東京都主税局、2026年7月31日確認)。時期も回数も自治体によって違うため、実家のある市町村の案内で確認する。遠方の実家だと納期限を過ぎて延滞金が付くことがある。
固定資産税がかからない実家もあるのか
ある。同じ市町村内にある資産の課税標準額の合計が、土地30万円未満・家屋20万円未満なら免税点を下回り、その資産には課税されない(東京都主税局)。この場合は納税通知書自体が届かない。
誰も住まなくなったら翌年から高くなるのか
ならない。上がるのは、管理不全空家等または特定空家等として勧告を受け、1月1日までに必要な措置が講じられていない場合。空き家であること自体が課税の引き金になるわけではない。
築年数が経てば、いつかゼロになるのか
ならない。経年減点補正率は20%で止まるため、家屋が建っている限り評価額は再建築価格の2割を下回らない。
評価額が高すぎる気がするとき
縦覧期間中(23区は4月1日から第1期の納期限まで)に縦覧帳簿で近隣の土地・家屋の価格と見比べられる。疑問が残る場合は、実家のある市町村の資産税担当に問い合わせる。評価が妥当かどうかの判断は編集部の範囲を超えるため、行政の窓口か専門家に当てる。
売る前に更地にしたほうが有利か
一概には言えない。土地の税額が上がる一方で、買い手が更地を求めていれば売れる速さが変わる。解体費と、増えるぶんの年額と、売れるまでの期間を並べて比べる話になる。
