ホーム/売却と税金/実家の名義変更の手順と費用|生前と相続後の違い

実家の名義変更の手順と費用|生前と相続後の違い

実家の名義変更の手順と費用|生前と相続後の違い

実家の名義変更を調べると、相続と生前贈与の話が混ざって出てきて手が止まる。

結論は原因で決まる。登記の登録免許税は相続0.4%、贈与2%(国税庁・令和7年4月1日現在法令等)。相続なら不動産取得税もかからない。費用だけなら、待つほうが安い。

この記事の目次
  1. 相続で移すか、生前贈与で移すかで税金は5倍変わる
  2. 名義変更にかかる費用の内訳と総額の目安
  3. 相続で名義を変える手順(相続登記)
  4. 生前贈与で名義を変える手順
  5. かかる税金の違いを制度ごとに整理する
  6. それでも生前に名義を変える判断になる場合
  7. 期限とペナルティ(2026年7月時点)
  8. 自分で申請するか、司法書士に頼むか
  9. 名義を移した後に来るもの
  10. つまずきやすいケース

相続で移すか、生前贈与で移すかで税金は5倍変わる

実家の名義変更には、手続きの名前が2つある。親が亡くなった後に移すなら相続登記、親が元気なうちに移すなら贈与による所有権移転登記。同じ「名義を変える」でも、乗ってくる税金が別物になる。

登記そのものにかかる登録免許税は、固定資産税評価額に対して相続なら0.4%、贈与なら2%(国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」令和7年4月1日現在法令等・2026年7月31日確認)。評価額1,500万円の実家なら6万円と30万円で、差は24万円になる。

名義変更の原因登録免許税不動産取得税本体の税
相続(相続登記)評価額の0.4%かからない相続税(基礎控除内なら0円)
生前贈与評価額の2%かかる贈与税

不動産取得税は、相続による取得には課されず、贈与による取得には課される(東京都主税局「不動産取得税」2026年7月31日確認)。税率は本則4%だが、住宅と土地は3%に軽減されており、適用期限は令和9年3月31日(国土交通省「住宅:不動産取得税に係る特例措置」2026年7月31日確認)。

相談者相談者
親が元気なうちに変えたほうが得だと聞いたのですが。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
得になるのは、相続税がかかる規模か、判断能力が落ちて凍結するのを避けたい場合。費用だけを見ると逆になります。

名義変更にかかる費用の内訳と総額の目安

費用は3つに分かれる。登録免許税、書類を取り寄せる実費、司法書士に頼む場合の報酬。

1. 登録免許税

固定資産税評価額に税率をかけて計算する。評価額は毎年春に届く固定資産税の納税通知書に同封された課税明細で確認できる。売買価格でも査定額でもない点を先に押さえる。

相続登記には免税措置がある。令和9年3月31日までに土地について相続による所有権移転登記を受ける場合で、課税標準となる不動産の価額が100万円以下のときは課税されない(国税庁 No.7191、2026年7月31日確認)。地方の実家に付いてくる山林や畑など、評価額の低い土地が複数あるときは筆ごとに効いてくる。

2. 書類の実費

戸籍謄本、除籍謄本、住民票の除票、固定資産評価証明書、登記事項証明書。相続人の人数と、親の本籍が動いた回数で枚数が変わる。数千円から1万円台に収まることが多いが、本籍が何度も移っていると取り寄せ先が増えて、金額より日数がかかる。

3. 司法書士報酬

依頼する場合の報酬は事務所ごとの設定で、公開されている目安では5万〜15万円程度の幅がある(2026年7月31日に確認した各社の公開情報)。相続人の人数、不動産の筆数、遺産分割協議書の作成を含むかで変わるため、金額は必ず見積りで確認する。

評価額1,500万円の実家を相続で移すなら、登録免許税6万円に実費と報酬が乗る形になり、依頼した場合の総額は十数万円から20万円台の幅で見ておくと外れにくい。

相続で名義を変える手順(相続登記)

  1. 遺言書の有無を確認する。あるかないかで、この後の工程が丸ごと変わる
  2. 相続人を確定する。親の出生から死亡までの戸籍を切れ目なくそろえる。ここが一番日数を食う
  3. 相続財産を調べる。私道の持分、農地、隣の畑など、実家の敷地以外が漏れやすい。市区町村で名寄帳を取ると、その市区町村内で親名義になっている不動産が一覧で出る
  4. 遺産分割協議で、誰の名義にするかを決める。協議書に相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添える
  5. 不動産の所在地を管轄する法務局へ登記を申請する。窓口、郵送、オンラインのいずれかで申請できる(法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」2026年4月10日更新・2026年7月31日確認)
  6. 登記完了証と登記識別情報通知を受け取る

誰の名義にするかで、その後の選択肢が変わる。同居していた子が取得すれば小規模宅地等の特例の対象になり得る一方、兄弟の共有にすると、売るときも貸すときも解体するときも全員の同意が要る状態が続く。共有は決着ではなく、決めなかったという記録に近い。

手続きの期限や自分で申請する場合の流れは 相続登記の義務化はいつまで?過料と自分でやる手順 に分けて整理している。

生前贈与で名義を変える手順

  1. 実家の評価額を確認する。固定資産評価証明書か課税明細で固定資産税評価額を押さえる。贈与税を計算するときの土地の価額は別の基準になるため、税額の見積りは税理士に確認する
  2. 親子で合意し、贈与契約書を作る。日付、対象不動産の表示、無償で贈与する旨を残す
  3. 登記に必要な書類をそろえる。登記識別情報通知または権利証、親の印鑑証明書、子の住民票、固定資産評価証明書など
  4. 法務局に所有権移転登記を申請し、登録免許税(評価額の2%)を納める
  5. 翌年に贈与税の申告をする。相続時精算課税を選ぶ場合は、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を税務署へ出す(国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」2026年7月31日確認)
  6. 数か月後、都道府県から不動産取得税の納税通知書が届く

登記だけ先に済ませて申告を忘れる、という順番の事故が起きやすい。生前贈与での名義変更は、登記で終わりではなく、翌年の申告と、後から届く不動産取得税までがワンセットになる。

実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
登記の窓口は法務局、税の窓口は税務署と都道府県。3か所に分かれることを先に知っておくと、届く通知に驚かずに済みます。

かかる税金の違いを制度ごとに整理する

贈与税(暦年課税)

年110万円の基礎控除を超えた部分に課税される。親から18歳以上の子への贈与は特例税率で、課税価格1,000万円以下は30%(控除額90万円)、3,000万円以下は45%(控除額265万円)(国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」2026年7月31日確認)。実家を1年でまるごと贈与すると、この税率がそのまま乗る。

相続時精算課税

贈与をした年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母から、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の子・孫への贈与で選べる。特別控除は限度額2,500万円、令和6年1月1日以後の贈与からは年110万円の基礎控除があり、超えた分は一律20%。一度選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せない。相続のときは贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する(国税庁 No.4103、2026年7月31日確認)。税が消える制度ではなく、払うタイミングを相続時にずらす制度になる。

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年を過ぎた後に居住用不動産を夫婦間で贈与した場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる。同じ配偶者からは一生に一度だけで、申告をしないと適用されない(国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」2026年7月31日確認)。

相続税

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数(国税庁「No.4152 相続税の計算」2026年7月31日確認)。相続人が3人なら4,800万円。実家と預貯金の合計がこの枠に収まるなら相続税は出ないため、相続税を減らす目的で生前贈与を急ぐ理由もなくなる。

小規模宅地等の特例

被相続人が居住していた宅地は330平方メートルまで評価額を80%減額できるが、対象は相続または遺贈により取得した宅地等に限られ、生前贈与で取得した宅地には適用されない(国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」2026年7月31日確認)。節税のつもりで生前に移した結果、この特例を自分で閉じてしまう形になり得る。どちらが有利かは評価額と家族構成で反転するため、税額の試算は税理士の領域になる。

それでも生前に名義を変える判断になる場合

費用で不利でも、生前贈与を選ぶ理由になり得るのは次のような状況になる。

  • 親の判断能力が落ちる前に、売却や解体の決定権を移しておきたい。認知症と診断された後は、本人が売買契約も贈与もできず、成年後見人を立てないと動かせなくなる
  • 実家と他の財産の合計が相続税の基礎控除を明らかに超えていて、評価額の上昇も見込まれる
  • 誰が実家を取るかで揉める見込みが高く、親が元気なうちに確定させておきたい
  • 実家を継ぐ子がすでに住んでいて、建て替えや大規模リフォームの資金を出す前提がある。他人名義の家に投資する形を避ける

逆に、実家に住む予定がなく、いずれ売るつもりなら、生前贈与を急ぐ理由は薄い。贈与で先に受け取ると、登録免許税2%と不動産取得税を払ったうえで、相続の側に用意されている枠(小規模宅地等の特例や、次の章で触れる空き家の特別控除)を自分で閉じることになる。

生前贈与と相続、どちらが安いかは家ごとに反転する

評価額、相続人の数、同居の有無で結論が入れ替わる。税額の試算と特例の可否は税理士の領域で、編集部は判断しない。

無料で相続税の相談をする

期限とペナルティ(2026年7月時点)

相続登記は知った日から3年以内

相続登記の申請は令和6年4月1日から義務になった。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」2026年7月31日確認)。

施行日より前に相続していた分も対象で、その期限は令和9年3月31日。2026年7月時点で残りは8か月ほどになる。名義が祖父のまま何十年も動いていない実家が、ここに当たる。

まとまらないときは相続人申告登記

3年以内に遺産分割がまとまらない場合は、自らが登記簿上の所有者の相続人であること等を期限内に登記官へ申し出ることで、義務を履行できる。特定の相続人が単独で申し出られる(同Q&A)。ただし名義が移るわけではないため、協議がまとまった後に改めて相続登記をする。

住所や氏名が変わったときの変更登記も義務

令和8年4月1日から、所有権の登記名義人の住所・氏名の変更登記も義務化された。変更日から2年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になる。施行日より前の変更で登記がされていないものは令和10年3月31日まで(法務省「住所等変更登記の義務化について」2026年7月31日確認)。実家を自分名義にした後で引っ越したら、その2年以内にもう一度登記が要る、という順番になる。

自分で申請するか、司法書士に頼むか

相続登記は本人申請ができる。法務局は申請書の様式と記載例に加え、遺産分割協議編と法定相続編の手続ハンドブックを公開している(法務局「登記手続ハンドブック」2026年4月10日更新・2026年7月31日確認)。

自分でやりやすいのは、次の条件がそろう場合になる。

  • 相続人が少なく、全員が協力的で連絡が取れる
  • 不動産が実家の土地と建物だけで、私道の持分や他市町村の土地がない
  • 親の本籍の移動が少なく、戸籍の取り寄せ先が限られる
  • 平日に法務局へ行ける、またはオンライン申請ができる

逆に、連絡が取れない相続人がいる、数次相続で相続人が十数人になっている、不動産が複数の市区町村にまたがる、未登記の建物がある、といった場合は、時間を買う意味で依頼したほうが早い。

贈与による名義変更は、登記だけなら本人申請もできるが、どの制度を選ぶかの判断が先に来る。登記は司法書士、税は税理士と窓口が2つに分かれる点を、費用の見込みに入れておく。

名義を移した後に来るもの

実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

名義を移した日から、固定資産税は自分に来る

編集部は沖縄の傾斜地を相続し、名義を自分に移した。その後で売却、寄付、国庫帰属と出口を順に検証したが、どれも成立せず、いまも保有したままでいる。固定資産税は年約7万円。売れない土地でも、名義がある限り毎年出ていく。

名義変更は手続きの終わりではなく、維持費を引き受ける起点になる。先に計算しておけばよかったのは登記の費用ではなく、その不動産を持ち続けたときの年間の支出のほうだった。

名義が変わると、翌年度から固定資産税と都市計画税の納税通知書が自分宛に届く。実家が空き家になっているなら、火災保険の契約者、水道と電気の名義、町内会費、庭木の手入れも同時に付いてくる。

売る場合は、名義が自分になっていないと媒介契約も売買契約も結べないため、相続登記は売却の前提工程になる。

売却では、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円の特別控除がある。昭和56年5月31日以前に建築された家屋で区分所有建物でないこと、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、譲渡対価が1億円以下であることなどが要件で、適用期限は令和9年12月31日。令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上いる場合、控除額は2,000万円になる(国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」2026年7月31日確認)。

この控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日で切れる。名義変更を後回しにしている間に、使えたはずの控除が消えることがある。売るまでの工程は 相続した土地を売る流れ|名義変更から引き渡しまで にまとめている。

売る前提なら、名義変更と同じ時期に相場を掴んでおく

3,000万円の特別控除には期限がある。売るか持つかを決めるには、今いくらで売れる物件なのかを先に知るところから。

無料で査定額を調べる

つまずきやすいケース

兄弟の共有名義にしてもいいか

登記自体はできるが、売却も賃貸も解体も全員の同意が要る状態が続く。共有者の1人が亡くなればその持分が次の相続人に分かれ、人数が増えていく。売って現金で分ける換価分割か、1人が取得して他の相続人に代償金を払う代償分割で、共有を残さない形のほうが後が軽い。

親が認知症になってしまった

本人に判断能力がない状態では、贈与も売買もできない。成年後見人を選任し、家庭裁判所の関与のもとで進めることになり、時間も費用もかかる。生前贈与を検討する意味があるとすれば、この線を越える前に限られる。

住宅ローンが残っている

抵当権が付いたままの名義変更には、金融機関の承諾が要る。無断で移すと契約違反になり得るため、登記より先に借入先へ確認する。

建物が未登記になっている

古い実家では、増築部分や離れが登記されていないことがある。この場合は表題登記から必要で、土地家屋調査士の領域になる。市区町村の課税台帳には家屋として載っているのに、登記簿には存在しない、というずれが起きる。

名義人が祖父のままだった

親を飛ばして祖父名義になっている場合は、祖父の相続から順に整理する数次相続になる。相続人が枝分かれして十数人になることがあり、ここまで来ると本人申請は現実的でなくなる。それでも令和9年3月31日の期限は同じように来る。

ABOUT US

実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

実家の土地、まず相場だけ知る

無料で取り寄せる →