空き家管理の代行サービス|月額の相場と作業内容

遠方の実家をどうにか維持したいが、毎月は通えない。その状態で探すのが空き家管理の代行です。
結論から言うと、月1回の巡回で月額5,000〜15,000円が中心です。郵便局の外観確認だけなら月4,280円、通風・通水のオプションを足すと月9,280円になります(2026年7月31日確認)。
この記事の目次
空き家の管理代行が実際にやってくれること
代行と呼ばれていても、中身は「見に行って写真で報告する」ことと「劣化を止める軽い作業」の2つに分かれます。ダスキンの空き家管理の説明(2026年7月31日確認)では、代表的な作業として次の項目が挙げられています。
- 換気(玄関と主要な窓を開けて空気を入れ替える)
- 通水(蛇口とトイレに水を流し、排水トラップの封水切れと錆を防ぐ)
- 屋内の点検と簡易清掃(雨漏り跡、カビ、害虫の痕跡)
- 屋外の巡回と点検(外壁、屋根、塀、越境物)
- 庭木の剪定・除草
- 郵便物とチラシの回収、整理
- 写真付きの報告書の送付
このうち、月額の基本料金に必ず含まれるのは巡回と報告だけ、という業者が珍しくありません。換気と通水は室内に入る作業なので、鍵を預ける契約が別に必要になり、料金も別建てになることがあります。除草や剪定は季節作業なので、ほぼ確実に別料金です。
つまり「代行を頼めば実家が丸ごと維持される」わけではありません。見積もりを読むときは、上の7項目のどれが基本料金の内側にあるかを一つずつ指で追ってください。
月額の相場は5,000〜15,000円。何で決まるか
相場は各社の説明で幅がありますが、月1〜2回の巡回と軽い維持管理で月額5,000〜15,000円というのが共通した書き方です(アキサポ、ダスキン、いずれも2026年7月31日確認)。金額を動かす要素は4つあります。
| 要素 | 料金への効き方 |
|---|---|
| 訪問頻度 | 月1回が基準。月2回でおおむね倍近くになる |
| 室内に入るか | 外観確認だけなら安い。換気・通水が入ると上がる |
| 建物の種類と広さ | 戸建ては敷地・庭・塀まで見るためマンションより高い |
| 庭と季節作業 | 除草・剪定・雪の作業はほぼ別料金 |
ここで注意したいのは、月額の安さだけで並べると比較にならないことです。外観確認だけの月4,000円台と、室内の換気・通水まで含む月1万円台は、そもそも違う商品を見ています。まず自分の実家に必要な作業を決めて、それを満たすプランの金額で比べてください。
相場の幅は地域差も含みます。都市部と過疎地では移動距離が違い、積雪地では冬季だけ料金体系が変わる業者もあります。
主要サービスの料金を並べて見る
全国対応の代表的なサービスを、公開されている料金で並べます。日本郵便のものは公式サイト、それ以外はアキサポの比較記事に掲載された料金です(いずれも2026年7月31日確認)。契約時点で改定されている可能性があるので、必ず各社の最新の案内で確認してください。
| サービス | 公開されている料金 | 基本の中身 |
|---|---|---|
| 郵便局の空き家みまもり(日本郵便) | 月額4,280円(税込) | 月1回訪問、外観など7項目の確認、写真最大5枚の報告メール |
| 東京ガス 実家のお守り | 9,900〜14,300円/回 | 契約前に無料の現地カウンセリング、報告書と写真をマイページで確認 |
| Livness(大和ハウスグループ) | 9,900〜11,000円/月 | ALSOKの機械警備と有人巡回の組み合わせ |
| 日本空き家サポート(株式会社L&F) | 5,500〜14,300円/回 | 自社対応、動画を含む管理レポート |
郵便局の基本サービスで確認されるのは、住宅外観、庭木・雑草、郵便受箱、不法投棄の有無、玄関の施錠、玄関周辺、隣家への越境物の7項目です(日本郵便公式、2026年7月31日確認)。室内には入りません。安さの理由がここにあります。
基本料金に入らない作業で総額が変わる
月額表示に釣られると、年間の実額を読み違えます。日本郵便が公開しているオプション料金を例に取ると、内訳はこうなります(2026年7月31日確認)。
- 通風・通水サービス:月額5,000円(税込)
- 郵便受箱投函物の送付:月額800円(税込)
- 巡回看板の設置:1,680円/個(税込)
- 臨時見回り:3,000円/回(税込)
- 草刈り、不用品整理:都度見積もり
基本の4,280円に通風・通水を足すと月9,280円、郵便物の送付まで付けると月10,080円です。年額にすると約12万円。最初に見た月4,280円とは印象が変わります。
他社でも構造は同じで、庭木の剪定や害虫対応といった特別作業は1回ごとの追加、緊急時の出動も別料金という組み立てが一般的です。見積もりを取るときは「基本料金に含まれる作業」と「1年間に発生しそうなオプション」を分けて書き出し、年額で比べてください。
自分で通う場合の費用と並べて考える
代行を頼むかどうかは、放置と代行の比較ではなく、自分で通う費用との比較で決まります。往復の交通費、宿泊、丸1日の時間、そして年に何回それを続けられるか。実家が新幹線や飛行機の距離にあるなら、月1回の帰省を1年続けた交通費が、管理代行の年額を上回ることは普通に起こります。
逆に、車で1時間の距離で、月に一度なら無理なく行けるという条件なら、代行に払う年6万〜18万円は割高です。その場合は通水と換気だけ自分で回し、伸びた庭木や除草のような重い作業だけを単発で外注するほうが総額は下がります。
維持費は建物がなくても毎年出ていく
編集部の運営者は沖縄の傾斜地を相続し、売却も含めた出口を一通り検証した末に、成立せず保有を続けています。建物のない土地でも固定資産税は年約7万円が毎年出ていきます。空き家の場合はここに管理費が乗る形になるので、月額を年額に直して、税金と並べて眺めることをおすすめします。
除草や庭木だけ、単発で頼みたいとき
くらしのマーケットは、出店者ごとに料金と口コミが1ページにまとまっている比較型のサービスです(累計出店者数10万店以上、公式サイトで2026年7月31日確認)。月額契約を結ぶ前に、重い作業だけを1回いくらで頼んで様子を見る、という使い方ができます。
作業の料金を比べる管理しないまま置いたときに動く制度
代行を検討する動機の一つが税金の話です。ここは年度で変わるため、確認した時点を明記します。以下は2026年7月31日時点の内容です。
空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)が、令和5年12月13日に施行されました(国土交通省)。この改正で「管理不全空家等」という区分が新設され、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれがある状態と認められた空き家に対し、市区町村長が指導と勧告をできるようになっています(越谷市の説明)。
勧告を受けた管理不全空家等の土地は、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が解除されます(地方税法第349条の3の2第1項)。宝塚市は、この場合に土地の固定資産税が約3倍から5倍になる可能性があると案内しています。
もう一つ、建物の劣化で通行人や隣家に損害を与えた場合、所有者は民法717条の工作物責任を問われる可能性があります。遠方に住んでいることは免責の理由になりません。
ただし、勧告に至るかどうかの判断は自治体が行います。個別の物件がどの段階にあるかは、編集部では判断できません。心当たりがあるなら、まず物件のある市区町村の空き家担当課に状況を伝えてください。
どこに頼むか。業者の種類と探し方
空き家管理を引き受ける事業者は一種類ではありません。得意分野が違うので、自分が何を優先するかで選び先が変わります。
- 空き家管理の専門業者:巡回から通水・換気まで一式。報告の様式が整っている
- 不動産会社:管理と並行して、将来の売却や賃貸の相談がしやすい
- 警備会社系:防犯・機械警備に強い。換気や通水は別扱いのことがある
- 便利屋・シルバー人材センター:除草や片付けなど、作業単位で安く頼める
- 地元の工務店・建設会社:建物の傷みの見立てが具体的
探し方で見落とされがちなのが自治体です。横浜市は、空家等の管理代行を行う事業者のリストを公開しています(令和8年7月16日時点、2026年7月31日確認)。ただし同市は、業務の内容や料金は事業者と所有者の合意で決まるもので、市は一切関与しないと明記しています。リストは候補を絞る手がかりであって、品質の保証ではありません。
物件のある市区町村のサイトで「空き家 管理 事業者」と探すと、同種のリストや相談窓口が見つかることがあります。
契約前に、文書で確認しておく項目
空き家管理は、実際の作業を自分の目で見られないサービスです。口頭の説明ではなく、契約書と料金表の文面で押さえてください。
- 基本料金に含まれる作業の一覧。室内に入るか、通水はどこまでか
- オプションの単価。除草・剪定・臨時訪問・緊急出動
- 報告の形式と頻度。写真の枚数、動画の有無、届くまでの日数
- 鍵の預かり方法と責任範囲。紛失時の扱い
- 契約期間と解約条件。最低契約期間や違約金の有無
- 作業を外注するかどうか。自社対応か下請けか
- 修繕が必要になったときの扱い。発見の報告までか、手配までか
特に多いのが、基本料金に含まれると思っていた草刈りが別請求だった、後から最低1年契約と言われた、という食い違いです。どちらも契約書の文面で先に潰せます。
火災保険についても、空き家は住居として使われている家と扱いが変わることがあります。加入中の保険会社に、空き家になった旨を伝えて条件を確認してください。
頻度は月1回でいいのか
各社が標準に置いているのは月1回です。1回の訪問で1か月の維持を持たせる設計と考えると分かりやすくなります。
月2回以上に上げる価値があるのは、条件が重なったときです。
- 庭が広く、春から秋にかけて草木の伸びが速い
- 近隣と距離が近く、越境や落ち葉の苦情が出やすい
- 不法投棄やいたずらが起きたことがある
- 売却や賃貸の内見が入る可能性がある
逆に、庭がほとんどない、近隣から離れている、数年内に解体を決めているという条件なら、月1回の外観確認で十分なことが多く、そこに費用を積む意味は薄くなります。
季節で変えるのも手です。草の伸びる時期だけ回数を増やし、冬は基本に戻す。年間で見たときの支出を抑えつつ、伸びる時期の苦情リスクだけ潰せます。
管理の必要な作業と頻度そのものは、空き家の管理はどこまで必要?頻度と代行の相場で整理しています。
代行を続けるか、出口に進むか
管理代行は、判断を先送りするための費用でもあります。年6万〜18万円に固定資産税が乗る形が何年続くのか、そこを一度だけ数えてみてください。5年で30万〜90万円、10年なら倍です。
使う予定がはっきりしているなら、その期間だけ代行で持たせるのは合理的です。使う予定がないまま年数が伸びているなら、管理費は結論を出さないことのコストになります。
判断を分ける材料として、次の3つは早めに数字にしておくと動きやすくなります。
- いま売った場合のおおよその金額
- 解体した場合の費用と、更地にした後の固定資産税
- 水道・電気を止めるか残すかで変わる維持費
水道と電気の扱いは、通水を頼むかどうかにも直結します。空き家の水道と電気は止める?残す場合の費用に整理しました。庭木が近隣にかかっている場合の対処と費用は空き家の庭木が伸びて困るときの対処と費用にあります。
よくある質問
マンションの一室でも頼めますか
頼めます。日本空き家サポートのように、一戸建てと区分所有マンションの両方を対象にしているサービスがあります。戸建てより敷地や庭の作業がない分、料金は低めに設定されることが一般的です。
鍵を預けるのが不安です
外観確認だけのプランを選べば、鍵を預けずに始められます。郵便局の空き家みまもりの基本サービスがこの型です。通風・通水を頼む段階で鍵の預かりが必要になるので、そこで預かり方法と紛失時の扱いを契約書で確認してください。
自治体の補助金は使えますか
管理費用への補助を設けている自治体がありますが、制度の有無、金額、条件は市区町村ごとに違い、年度で変わります。物件のある市区町村の空き家担当課か公式サイトで、その年度の要綱を直接確認してください。他サイトに載っている金額をそのまま当てにしないほうが安全です。
放置している空き家は全国でどれくらいありますか
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)によると、空き家は900万2千戸。このうち賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家は385万6千戸で、2018年から増えています。実家を抱えたまま決めきれていない状態は、珍しくありません。
