解体の補助金を自治体別に探す手順と共通の条件

「解体 補助金」で調べても、自分の市区町村の制度に行き着かないことがあります。制度の名前に解体という語が入っていないためです。
探す語は除却と撤去。補助率は3分の1から5分の4、上限は20万円台から160万円まで開きます。要綱を読み比べて共通していた条件は6つでした(2026年7月31日確認)。
この記事の目次
「解体 補助金」で調べても自分の市の制度が出てこない理由
市区町村が作る要綱では、建物を壊すことを除却と書きます。塀や門柱のような工作物なら撤去です。解体という語は工事の呼び名としては使われますが、制度の名前にはあまり入りません。市のサイトの検索窓に解体と打つと、ごみの出し方や道路占用の案内が先に並びます。
編集部が2026年7月31日時点で公式ページを確認した制度の名前を並べると、語の偏りがはっきり出ます。
| 自治体 | 制度の名前 | 入っている語 |
|---|---|---|
| 千葉市 | 住宅の除却費補助制度 | 除却 |
| 浜松市 | 空家等除却促進事業費補助金 | 除却 |
| 松山市 | 老朽危険空家除却事業 | 除却・老朽・危険 |
| 松本市 | 老朽危険空家等除却費補助 | 除却・老朽・危険 |
| 枚方市 | 住宅の除却(解体)工事補助制度 | 除却・解体 |
| 藤枝市 | 空き家解体・除却事業費補助金 | 解体・除却 |
| 横浜市 | 住宅除却補助制度/建築物不燃化推進事業補助 | 除却・不燃化 |
| 大阪市 | ブロック塀等撤去促進事業 | 撤去 |
| 福岡市 | ブロック塀等除却費補助事業 | 除却 |
| 草加市 | 危険ブロック塀等撤去補助金 | 撤去 |
10件のうち、解体という語が制度名に入っているのは2件です。検索語を除却に変えるだけで当たる確率が変わります。制度が無いという結論は、語を変えてから出すものです。
自分の市区町村の制度を最短で見つける5つの手順
順番を決めておくと迷う時間が減ります。1から順に当てて、見つかった時点で止めます。
- 市区町村の公式サイトの検索窓に「除却」と入れる。検索エンジンではなく、庁内サイトの検索窓を使います。自治体のページは検索結果の上位に出ないことがあり、庁内検索のほうが確実です。出なければ撤去、老朽、空家の順に入れ替えます。
- 住宅金融支援機構の空き家関連情報サイトで横断検索する。空家等対策の推進に関する特別措置法第21条に基づいて機構が運営している情報提供サイトです。都道府県と市区町村を選び、用途で除却を指定すると、その自治体の補助制度の名称、対象者、金額、照会先、制度ページのURLが一覧で出ます。自分の市のサイトで見つけられなかったときの二の矢になります。
- 都道府県のページを見る。県が市町村を助成している事業があります。静岡県はブロック塀等の除却について、避難路沿道等に面する場合は1メートルあたり3,330円を市町に助成すると公表しています。県の一覧に載っている項目は、市町側にも受け皿の制度がある可能性が高い項目です。
- 担当課に電話する。ページを探して30分使うより早いです。聞く項目は次の章に置きました。
- 要綱のPDFを開く。案内ページには締切と枠数が書かれていないことがあります。金額の計算式、対象になる経費、申請の期限は要綱の側に書かれています。
多くの人が飛ばすのは2番です。自分の市のサイトだけを見て、無いという結論を出してしまいます。機構のサイトは自治体が出した情報を集めたものなので、あなたの市のページが検索に出てこないときの抜け道になります。
担当課の名前は自治体でバラバラ。窓口の逆引きと、電話で聞く7項目
解体の補助を扱う課の名前は統一されていません。空き家の担当課にかけたのに、その制度は別の課だと言われて切れることがあります。2026年7月31日時点で確認した窓口を並べます。
| 自治体 | 制度 | 担当課 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 住宅除却補助制度 | 建築局建築防災課 耐震事業担当 |
| 横浜市 | 建築物不燃化推進事業補助 | 都市整備局防災まちづくり推進課 |
| 千葉市 | 住宅の除却費補助制度 | 都市局建築部建築指導課 |
| 松本市 | 老朽危険空家等除却費補助 | 住宅課 |
| 松山市 | 老朽危険空家除却事業 | 住宅課 |
| 浜松市 | 空家等除却促進事業費補助金 | 市民部市民生活課 |
| 藤枝市 | 空き家解体・除却事業費補助金 | 住まい戦略課 |
| 枚方市 | 住宅の除却(解体)工事補助制度 | 都市整備部住宅まちづくり課 |
| 大阪市 | ブロック塀等撤去促進事業 | 都市整備局市街地整備部住環境整備課 |
| 福岡市 | ブロック塀等除却費補助事業 | 住宅都市みどり局建築指導部建築物安全推進課 |
| 草加市 | 危険ブロック塀等撤去補助金 | 危機管理課 |
住宅課、建築指導課、建築防災課、住まい戦略課、市民生活課、危機管理課。同じ解体の補助でも、原資が違えば所管が違います。課の名前を当てにいくより、代表番号にかけて、空き家の解体費用の補助を扱う課につないでほしいと伝えるほうが早く着きます。
つながったら、次の7項目を1回で聞き切ります。
- 解体(除却)の補助制度があるか。名前は何か
- 今年度の受付は開いているか。締切はいつか。枠は何件か
- 建物の条件(築年、使われていない期間、老朽度の判定の有無)
- 申請できる人の条件(相続人でも可か、共有者の同意、市税の滞納)
- 施工する業者に市内在住などの指定があるか
- 申請から交付決定まで何日かかるか
- 今からの相談で、今年度中に工事と実績報告まで終わるか
解体の補助は1系統ではない。原資が違えば条件も窓口も変わる
補助が出る理由は、放置された建物や塀が周りに及ぼす危険を減らすことにあります。だから条件は危険の度合いで書かれ、まだ普通に使える家は落ちます。そして市区町村が独自の財源だけで出しているとは限りません。国の事業を受け皿にしているものが多く、どの事業を原資にしているかで条件と窓口が決まります。ここを知っていると、片方で落ちてももう片方に当て直せます。
| 系統 | 国の事業 | 条件に現れる特徴 | 確認した例 |
|---|---|---|---|
| 空き家 | 空き家対策総合支援事業 | 空家等対策計画に基づくこと。使われていない期間、老朽度の判定 | 松本市・浜松市・松山市 |
| 耐震・防災 | 住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物耐震改修事業) | 昭和56年5月31日以前の建築、耐震診断の結果 | 千葉市・枚方市・藤枝市・横浜市 |
| 塀・外構 | 同(ブロック塀等の安全確保) | 道路に面していること、高さ、傾きやひび割れ | 大阪市・福岡市・草加市 |
| がけ地・移転 | 同(がけ地近接等危険住宅移転事業) | 危険住宅の除却と、移転先の建設や購入 | 制度を置いている自治体で要確認 |
空き家対策総合支援事業の補助率は、空き家の所有者等が実施する場合が国3分の1と市区町村3分の1、市区町村自身が実施する場合が国2分の1と公表されています。国の予算を受け取るのは市区町村で、所有者の相手は市役所です。
実務で効くのは耐震系の存在です。千葉市の住宅の除却費補助制度は、昭和56年5月31日以前の耐震基準で設計・建設され、耐震診断で倒壊の危険性が高いと判定された住宅を対象にしています。空き家であることは条件に入っていません。空き家になって1年経っていないという理由で空き家系の制度から外れた家でも、耐震系なら残る可能性があります。
枚方市も同じ設計で、昭和56年5月31日以前の耐震基準で建てられた個人所有の住宅を対象にしつつ、世帯全員の年間所得の合計が256万8千円以下という所得要件を置いています。横浜市の住宅除却補助制度も、耐震診断で低い判定が出た建築物か、特定空家の認定を受けた建築物という二段構えです。
要綱を読み比べて残った、どこでも共通する6つの条件
自治体ごとに違うのは金額と築年の線引きで、手続きの骨格はよく似ています。確認した制度に共通していたのは次の6つです。
- 交付決定または申請の前に契約すると対象外。福岡市は、すでに工事契約をした場合や工事を開始・完了した場合は対象とならないと明記しています。大阪市も交付申請前に工事契約をした場合は原則として申請できないとしています。藤枝市は契約や着手の前に申請が必要、松本市は交付決定前の工事着手は補助対象外です。1円でも受け取りたければ、判を押す前に窓口へ行く順番になります。
- 市税の滞納がないこと。千葉市と松本市はどちらも要件に置いています。浜松市は市税完納が条件です。
- 個人が所有し、他人の権利が付いていないこと。松本市は個人所有で権利の設定がないこと、浜松市は担保権や用益権がないこと、所有者が自然人であること(法人は不可)を条件にしています。抵当権が残ったままの家は、先に外す作業が要ります。
- 年度の予算枠がある。松本市は令和8年度の申請受付を、申請額が予算額に達したという理由で終了しています。藤枝市も予算の上限に達し次第受付を終了すると告知しています。制度があることと、今使えることは別です。
- 後払い。浜松市の流れは、事前相談、審査と交付決定、本申請、工事、実績報告と補助金の請求の順です。工事費は一度全額を自分で払います。
- 同じ補助を過去に受けていないこと。千葉市と松本市がこの条項を置いています。1つの敷地で2回使う設計にはなっていません。
共通ではないものの、頻出する条件が3つあります。
- 市内の業者が施工すること。草加市は市内事業者が撤去する工事に限っています
- 老朽度の判定で一定の点数を超えること。松山市は不良度判定の合計が100点以上を対象としています
- 所得の制限。枚方市は世帯全員の年間所得の合計が256万8千円以下です
要件に当たるかどうかの最終判断は担当課がします。相続や共有名義の整理が必要になる部分は司法書士や弁護士の領域で、編集部は登記や遺産分割の判断はしません。
金額の決まり方は3通り。補助率だけ見ても実額は出ない
公表されている計算の形は3つに分かれます。
率で決める
浜松市が3分の1、松本市と大阪市が2分の1、草加市が3分の2、松山市が5分の4、千葉市と藤枝市が23パーセントです。同じ解体でも率の幅は2倍以上あります。
単価で決める
枚方市は床面積1平方メートルあたり1万円を掛けた額と除却工事費のうち小さいほう。福岡市は塀の長さ1メートルあたり15,000円を掛けた額と見積の3分の2のうち低いほう。草加市は塀の面積に1平方メートルあたり20,300円(基礎の撤去を含まない場合は14,200円)を掛けた額と実際にかかった額のうち少ないほうの3分の2です。
複数の計算を並べて最小値を取る
率、単価、上限額の3つを計算し、いちばん低い額を交付する形です。単価が示されている自治体では、見積が高くても単価の側で頭を打ちます。
そして最後に上限が効きます。
| 自治体 | 上限額(2026年7月31日確認) |
|---|---|
| 千葉市 | 20万円(密集住宅市街地は30万円) |
| 枚方市 | 20万円 |
| 藤枝市 | 原則30万円(条件により加算) |
| 松本市 | 50万円 |
| 浜松市 | 50万円 |
| 横浜市(住宅除却) | 50万円。昭和56年6月から平成12年5月末の建築は課税世帯20万円・非課税世帯40万円 |
| 松山市 | 100万円(島しょ部は160万円) |
| 横浜市(不燃化推進) | 150万円(重点対策地域が対象) |
| 大阪市(ブロック塀) | 撤去15万円・新設25万円 |
| 草加市(ブロック塀) | 40万円 |
| 福岡市(ブロック塀) | 30万円 |
上限は20万円台から160万円まで開きます。補助率が5分の4でも、対象経費が上限額の1.25倍を超えたところから先は戻りません。率の大きさより上限額のほうが実額を決めます。消費税と地方消費税を対象経費から外す自治体があること(千葉市)も、実額を下げる方向に効きます。
解体費そのものの相場と内訳は空き家の解体費用の相場に分けて書いています。補助の上限より、見積の幅のほうが大きく動くことがあるためです。
年度のカレンダー。7月に思い立ったとき何が残っているか
制度は年度で動きます。受付の形も先着順と危険度順に分かれていて、同じ月でも住んでいる市によって残っている手が違います。
| 自治体 | 受付の期間(2026年7月31日確認) |
|---|---|
| 千葉市 | 令和8年5月1日から8月31日まで。先着順 |
| 松山市 | 第1期は令和8年6月1日から6月30日(危険度の高い順)、第2期は8月3日から募集枠まで(先着順)、第3期は未定 |
| 枚方市 | 事前相談は令和8年4月7日から12月14日、申込書の提出期限は12月28日、完了報告は令和9年2月26日 |
| 大阪市 | 補助申請書は令和8年12月28日必着、完了報告書は令和9年2月26日必着 |
| 松本市 | 令和8年度の申請受付は終了(申請額が予算額に達したため)。事前調査の申込は随時 |
| 藤枝市 | 予算の上限に達し次第、受付終了 |
| 浜松市 | 事前相談は令和8年4月20日から12月25日。先着順 |
受付終了と書かれていても、そこで完全に閉じたとは限りません。松本市は申請の受付を閉じたあとも事前調査の申込を受け付けています。老朽度の判定には時間がかかるので、翌年度の受付開始に間に合わせるための先回りとして機能します。閉じているページを見つけたら、翌年度の受付開始時期と、今からできる準備を電話で確認する価値があります。
補助金とは別に、解体そのものに付いてくる届出がある
補助の有無に関係なく、解体工事には法律上の手続きが付きます。見積の金額と日程に響くので、業者に声をかける前に押さえておく部分です。
石綿(アスベスト)の事前調査結果の報告は、令和4年4月1日から義務になりました。環境省の説明では、建築物を解体する作業を伴う建設工事で、その作業の対象となる床面積の合計が80平方メートル以上のものが報告の対象です。報告するのは元請業者または自主施工者で、大気汚染防止法に基づく都道府県等への報告と、石綿障害予防規則に基づく労働基準監督署への報告を、電子システムから1回の操作で行えます。
調査をする人にも要件が付きました。令和5年10月1日以降に着手する建築物の解体等工事の事前調査は、一般建築物石綿含有建材調査者などの有資格者に行わせる必要があります。令和8年1月1日からは、工作物についても有資格者による調査が必要になりました。塀や擁壁だけを壊す工事も範囲に入ります。
- 見積書に石綿の事前調査費が含まれているかを確認する
- 含有が確認された場合の除去費が別枠になるか、どのくらいの想定かを聞いておく
- 調査や除去の費用に補助を置いている自治体がある(国の住宅・建築物安全ストック形成事業に、アスベストの有無の調査と除去等の改修が入っている)
補助金の担当課と、石綿の届出を受ける課は別です。解体の補助を聞くときに、石綿の届出はどこかを合わせて聞いておくと往復が減ります。
制度が無い、枠が埋まったときに残る手
税務課の側に減免制度が置かれていることがある
補助金の窓口には無くても、税のほうに制度があります。村上市は、住宅である空き家を解体した土地について、住宅用地特例が適用されていたときと同じ税額になるように固定資産税を減免します。令和6年10月1日から令和11年3月31日までに解体した場合、翌年1月1日を賦課期日とする年度から3年度間が対象で、空家法に基づく特定空家等として勧告を受けていないことが条件です。申請の期限は解体した日から翌年1月31日までです。
解体すると住宅用地の軽減が外れて土地の税額が上がる、という話の裏側にこの種の減免があります。補助金の担当課で無いと言われても、税務課の資産税担当に減免制度があるかを別に聞く価値があります。課が違うので、片方が他方の制度を案内しないことがあります。
村上市の減免は、特定空家等として勧告を受けていないことを条件にしています。放置したまま勧告の段階まで進むと、使えるはずだった制度の側から外れることがあります。指導や助言の段階で相談に行くほうが、手は多く残ります。
系統を変えて聞き直す
空き家系で落ちたら耐震系、建物で落ちたら塀の制度。原資の系統が違えば要件も違うので、1つの課で無理だと言われた時点では終わりません。横浜市のように、住宅の除却、不燃化、ブロック塀の3つを別々の課が持っている自治体もあります。
見積の幅で取り返す
上限20万円の制度を1年待つより、相見積りで動く金額のほうが大きくなることがあります。構造、残置物の量、重機が入るかどうか、廃材の処分先で総額が変わるためです。市内業者に限るという要件がある自治体でも、市内で複数社から取ることは制限されていません。
空き家に絞った補助の上限額の考え方と、申請から入金までの順番は空き家の解体補助金はいくら出るかに分けて書いています。
よくある質問
国の解体補助金に個人で申請できますか
個人が国に申請する窓口はありません。空き家対策総合支援事業の補助率は、空き家の所有者等が実施する場合で国3分の1と市区町村3分の1です。市区町村が制度を作っていなければ、国の枠は所有者まで届きません。
隣の市には制度があるのに自分の市には見当たりません
制度を持たない市区町村があります。ただし語を変えると出てくることもあるので、除却、撤去、老朽、空家の4語と、住宅金融支援機構の空き家関連情報サイトの両方を当ててから結論を出してください。
見積を取ってから申請しても大丈夫ですか
見積は問題ありません。止められているのは契約と着工です。福岡市は工事契約をした場合や工事を開始した場合は対象とならないとしており、大阪市も交付申請前の工事契約は原則として申請できないとしています。
空き家ではない自宅の解体にも補助は出ますか
耐震系の制度なら対象になることがあります。千葉市の住宅の除却費補助制度は、昭和56年5月31日以前の耐震基準で設計・建設され、耐震診断で倒壊の危険性が高いと判定された住宅が対象で、空き家であることを要件にしていません。自治体差があるので担当課で確認する項目です。
業者は市外でも構いませんか
市内業者に限る自治体があります。草加市は市内事業者が撤去する工事を対象としています。要件が無い自治体でも、相見積りを取ること自体は制限されていません。
補助金は工事の前にもらえますか
後払いです。工事を終えて実績報告を出し、額が確定してから入金されます。工事費の全額を一度立て替える前提で資金を用意しておく必要があります。
