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遺品整理で買取に出すと費用は下がる?相殺の実際

遺品整理で買取に出すと費用は下がる?相殺の実際

遺品整理の見積書に買取の欄があると、総額がどこまで下がるのか読めなくなる。

先に結論を置く。相殺できるのは作業費の一部で、値が付くのは中古の相場が公開されている品に偏る。金は店頭買取価格が1グラム23,143円と毎営業日公表されており(田中貴金属工業、2026年7月30日17時公表)、提示額をその場で検算できる唯一の品目になる。

この記事の目次
  1. 買取に期待する額は、見積もりを取る前に決める
  2. 何に値が付くか。お宝は探すより仕分ける
  3. 金とプラチナだけは、その場で検算できる
  4. どこに売るか。3つのルートと、金額を上げる手順
  5. 自宅に呼ぶ買取は、法律上「訪問購入」になる
  6. ただし家具・大型家電・本は対象外。量が出る物ほど守られない
  7. 相手を確かめる3点。古物商の義務と、2025年10月に増えた対象
  8. 「無料で回収します」は買取ではない。許可が別になる
  9. 売る前に確認する相続の順番。処分が選択肢を消すことがある
  10. 売れたお金に税金はかかるか
  11. 細かい疑問への答え

買取に期待する額は、見積もりを取る前に決める

買取の話は、作業費がそのまま消えるように聞こえることがある。実際に動くのは総額の一部で、しかも値が付く品は偏る。見積もりを取る前に期待値を置いておくと、出てきた数字を判断しやすくなる。

置き方は3つでいい。

  • 作業費と買取額を別の勘定として扱う。差し引き後の1つの数字で出てきたら、両方を分けて書いてもらう
  • 値が付くのは、持ち運べて相場が公開されている物に偏る。大型の家具や古い家電は、むしろ処分費の側に働く
  • 買取額がゼロで着地することは普通にある。ゼロでも回る予算を先に組んでおく

差し引きで提示されると、作業費が妥当なのか買取額が妥当なのか、どちらも確かめられなくなる。値引きと買取が同じ数字に溶けるからだ。作業費そのものの水準と内訳は遺品整理の費用相場|間取り別の目安と追加料金の内訳に分けてある。ここからは売る側だけを見ていく。

買取が効きやすい家と、ほとんど効かない家の差もはっきりしている。効きやすいのは、故人に収集の趣味があった、商売や職人仕事の道具が残っている、和装や茶道具が箱に入ったまま保管されている、といった家になる。逆に、生活用品と衣類が中心で、家電が10年以上前の物という家では、買取は総額をほとんど動かさない。

あなたの実家がどちらに近いかは、部屋を一巡すれば見当が付く。効かない側だと分かった時点で、買取に時間を使うより、作業費そのものを複数社で比べる方に手間を寄せた方が、総額は下がる。

相談者相談者
見積もりに買取分が入っているのですが、内訳が書かれていません
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
作業費と買取額を別の行にしてもらうところからです。合算されたままだと、安いのか高いのかを比べる相手がいなくなります

何に値が付くか。お宝は探すより仕分ける

遺品から現金化できるのは、中古の流通市場がある物に限られる。市場があるとは、同じ物が今も売り買いされていて値段の記録が残っているという意味で、目利きの話より手前にある。まず市場の有無で仕分ける。

品目別の目安表を載せた解説は多い。買取比較サイトのおいくらが公開している遺品買取の記事にも、品目ごとの金額が並んでいる(2026年7月31日確認)。読むときは2点を割り引く。

  • 並んでいるのは上限の事例で、平均ではない。同じ品目でも状態と付属品で桁が変わる
  • 掲載時期に置いていかれた数字が混じる。金を1グラム5,000円前後としている目安表があるが、田中貴金属工業が公表した2026年7月30日17時の店頭買取価格は23,143円で、4分の1以下の水準になっている

そのうえで、遺品整理の現場で扱いが分かれる品を市場の側から並べるとこうなる。

市場があり、値が付きうる金額を分ける条件
金・プラチナ・銀の地金と装身具純度の刻印と重さ。公表価格に連動する
ブランドの腕時計、宝飾品、バッグ箱、保証書、動作するか。付属品の有無で幅が出る
カメラとレンズ、楽器、オーディオカビとくもり、通電するか。年式より状態
未開封の酒、勲章、古銭、切手ラベルと液面、附属品がそろっているか
作家物の着物、茶道具、美術品作者、証紙や共箱、寸法とシミ
市場が薄く、処分費の側に回りやすいそうなる理由
量販の家具、食器、寝具運び出す費用が売値を超える
製造から年数の経った家電中古の需要が薄い。家電4品目はリサイクル料金がかかる
大量の書籍、雑誌、CD・DVD1点あたりが低く、量が増えるほど運賃が乗る
仏壇、人形、量産の掛け軸引き取り手が限られ、供養や処分の手配が別に要る

家電4品目とは、環境省の案内が挙げているテレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機を指す(2026年7月31日確認)。家電リサイクル法の対象で、買取どころか料金を払って引き取ってもらう側に回ることが多い。

家じゅうをお宝探しに切り替えると、消える時間に対して結果が合わない。市場のある物だけを抜き出し、残りは処分の側にまとめて渡す。この順番のほうが総額では効く。

刀が出てきたときだけは、値段より先に手続きがある

遺品から刀剣類が出た場合、最初に確認するのは銃砲刀剣類登録証の有無になる。東京都教育委員会の案内は、田舎の家を解体したら屋根裏から刀が出てきた、祖父の遺品から刀が見つかった、というような場合を発見と説明し、見つかった地域を管轄する警察署へ発見の届出を行うと発見届出済証が交付されるとしている。登録は発見した人が住んでいる都道府県の教育委員会で行うのが原則で、登録審査手数料は1振(丁)につき6,300円と案内されている(2026年7月31日確認)。

登録証が付いていない刀は、値段の相談より前にこの手続きが立つ。査定に出すのはその後になる。

金とプラチナだけは、その場で検算できる

買取で唯一、提示額を自分で検算できるのが貴金属になる。地金の価格が毎営業日公表されているからだ。田中貴金属工業が公表した2026年7月30日17時の店頭価格は、金が小売23,692円・買取23,143円、プラチナが小売9,526円・買取8,976円、銀が小売347.60円・買取314.60円だった(いずれも1グラムあたり、税込。2026年7月31日確認)。価格は営業日の9時30分と14時にも公表されるので、査定の当日に見直す。

使い方は2つある。

  1. 上限の見当を付ける。純金なら重さ×公表買取価格が理屈上の上限になる。K18は金の含有率が18/24で75%なので、重さ×0.75×公表買取価格が同じく上限の目安。K14なら14/24でおよそ58%として計算する。実際の提示額は、精錬手数料や査定料の分だけここから下がる
  2. 差の理由を聞く。上限から大きく離れた額が出てきたとき、何がいくら引かれているのかを尋ねる。説明が返ってこない場で、その場で決める理由はない

公表価格そのものにも小売と買取の差がある。同じ日で金が549円、プラチナが550円、銀が33円の開きだった。売る側が受け取るのは買取の側になるので、広告で見た金価格をそのまま当てはめると最初から食い違う。

相談者相談者
実家から出た指輪やネックレスも同じ計算でいいですか
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
刻印でK18やPt900と純度が読めれば、含有率を掛けた額が上限の目安になります。石が留まっている物やブランドの装飾品は地金と別の評価が乗ることがあるので、地金だけで納得しないほうが有利です

相場が公開されていない品目では、この検算ができない。着物と骨とうがまさにそれで、同じ品でも査定する人によって幅が出る。値が付く条件は実家の着物は売れる?買取価格が付く条件と相場骨董品の買取|価値の見分け方と処分する前の確認にそれぞれ分けてある。

どこに売るか。3つのルートと、金額を上げる手順

売り先は大きく3つに分かれる。単価だけを見れば専門店が有利になりやすいが、遺品整理では搬出と期限が絡むので、手間と日数まで含めて選ぶことになる。

遺品整理業者に一括買取専門店に個別フリマ・オークションで自分で売る
単価低くなりやすい。仕分けと運搬の手間が査定に乗る高くなりやすい。品目ごとに専門が分かれるいちばん高くなりうる。手数料と送料は引かれる
手間作業と同時に済む品目ごとに依頼する。持ち込みか出張の調整が要る撮影、出品、梱包、発送、問い合わせ対応まで自分で
現金化まで作業日に確定することが多い数日から数週間売れるまで期限がない
向く場面期限が決まっている。遠方で何度も通えない貴金属、腕時計、作家物など値の張る品がある時間があり、点数が少ない

賃貸の明け渡し日が決まっている場合は、専門店に出す品だけ先に抜き、残りを作業日に回す形が現実的になる。抜く判断の材料が、前の章の市場の有無と純度の刻印になる。

同じ品でも金額が動く、手順の側の話

  1. 付属品を先に探す。箱、保証書、証紙、共箱、鑑定書、取扱説明書。査定の根拠が増えるほど、下げる理由が減る
  2. まとめて出す。出張査定は1回の移動で成立するので、点数がある方が相手の採算に合う。1点だけの出張は断られることもある
  3. 掃除はほどほどにする。ほこりを払う程度は問題ないが、金属を磨いたり古い道具を洗ったりすると価値を落とすことがある
  4. 2社以上に見せる。相場が公開されていない品目ほど、査定者による幅が出る。1社の提示額は幅の中の1点でしかない
  5. 期限から逆算する。明け渡しや解体の日が決まっているなら、査定に使える日数を先に確定させてから依頼先を選ぶ

宅配買取と出張買取で、確認する場所が違う

宅配で送る形は、遠方の実家を片付けるときに使いやすい。ただし金額の提示が届いた後に断る場面が出るので、返送料をどちらが持つか、返送までの日数、査定額に納得しなかった場合の連絡方法を、送る前に確認しておく。送ってしまうと、品物は相手の手元にある状態で交渉することになる。

出張で来てもらう形は、次の章の訪問購入の規定が働く。書面が出るか、8日のあいだ引渡しを断れるか、という守りが使える代わりに、家に上がられるので断りにくい場面が生まれる。1人で立ち会わない、玄関先で済ませる、といった置き方をしておくと、その場の圧力が減る。

フリマやオークションは単価では有利だが、遺品整理と相性が悪い場面がある。大型の品は送料が売値を削り、発送のために梱包資材と車を用意することになる。出品してから売れるまでの期間、家に品物を置いておける状況かどうかで向き不向きが分かれる。

遺品整理業者を買取の有無だけで比べると足元をすくわれる。買取に強いという表示は、作業費の水準が低いことを意味しない。作業費を先に押さえたうえで、買取は上乗せの条件として見る。

買取と作業費を分けて比べる

料金とサービスを事業者ごとに並べて確認できます。買取に対応しているか、作業費と別に提示されるかを依頼の前に見比べておくと、当日の話が早く済みます。

遺品整理の料金を比べる

自宅に呼ぶ買取は、法律上「訪問購入」になる

実家に査定へ来てもらう形は、特定商取引法の訪問購入に当たる。消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問購入を購入業者が店舗等以外の場所で契約を締結等して行う物品の購入と説明している(2026年7月31日確認)。売る側が消費者、買う側が事業者という向きなので、訪問販売とは別の条文が並ぶ。

同ガイドが挙げている主な決まりは次のとおり。

  • 不招請勧誘の禁止(法第58条の6第1項)。勧誘の要請をしていない相手の自宅等で、売買契約の締結について勧誘したり、勧誘を受ける意思の有無を確認したりすることはできない
  • 氏名等の明示(法第58条の5)。勧誘に先立って、事業者の氏名または名称、勧誘をする目的であること、購入しようとする物品の種類を告げる義務がある
  • 書面の交付(法第58条の7、第58条の8)。物品の種類、購入価格、支払時期と方法、引渡時期と方法などを記載した書面の交付が必須になる
  • クーリング・オフ(法第58条の14)。法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば解除できる
  • 物品の引渡しの拒絶(法第58条の15)。クーリング・オフができる期間内は、債務不履行に陥ることなく物品の引渡しを拒める
  • 第三者に引き渡したときの通知(法第58条の11)。事業者が第三者へ引き渡したときは、遅滞なく相手方に通知しなければならない
  • 禁止行為(法第58条の10)。事実と違うことを告げる、故意に事実を告げない、威迫して困惑させることは禁じられている

実務でいちばん効くのは引渡しの拒絶になる。契約書に署名した後でも、8日のあいだは品物を手元に置いたままにできる。持ち出されてから取り戻すのと、渡さずに考えるのとでは、後の手間がまるで違う。

訪問購入をめぐる相談は減っていない。国民生活センターが公開している相談件数は、2022年度7,733件、2023年度8,622件、2024年度7,889件(2025年8月1日更新のデータ、2026年7月31日確認)。集計の時点で数字は動くので、傾向として読む。実家が空き家になった後、片付けのために家族が通う時期は、この種の訪問と重なりやすい。

同センターが2023年9月27日に公表した資料では、契約当事者の年代のうち60歳以上の割合が当時の8年間で最も多くなっていると示されている。挙げられている相談の型も、遺品整理の場面と重なる。価格に納得しないまま買い取られた、後から返品や返金に応じてもらえない、クーリング・オフの扱いが適切でない、といった並びになる(2026年7月31日確認)。

断り方は単純でよい。頼んでいない訪問には応じない。電話で承諾した品目と違う物を出すよう言われたら、そこで止める。その場で決めない。判断に迷ったら消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながる。

ただし家具・大型家電・本は対象外。量が出る物ほど守られない

訪問購入の規定には適用除外の物品がある。国民生活センターの消費者トラブルFAQは、二輪以外の自動車、家具、大型家電、本・CD・DVD・ゲームソフト類、有価証券は訪問購入の規定の適用外のためクーリング・オフできないと明記している。期間は特定商取引法の定める書面の受領日を1日目として8日以内で、この書面は消費者の承諾があれば電子メールなどの電磁的方法で提供される場合があるとされている(2026年7月31日確認)。

遺品整理の現場で量が出るのは、まさにこの群になる。たんす、食器棚、冷蔵庫、洗濯機、蔵書、集めていたCDやDVD。まとめて引き取られた後で金額に納得がいかなくなっても、8日以内なら戻せるという道は使えない。

クーリング・オフができる(訪問購入の対象)できない(適用除外)
貴金属、宝石、腕時計、着物、骨とう品、美術品、カメラ、切手、古銭、持ち運べる小型の品など二輪以外の自動車、家具、大型家電、本・CD・DVD・ゲームソフト類、有価証券
相談者相談者
量が多い物ほど守られないのは逆に思えます
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
規制をかけると中古の流通そのものが止まる物が外されている、という整理です。守られない側だからこそ、家具や家電は品目と金額を書面にしてから引き渡す順番にしておくと安全です

現実的な順番は、値が付く小物と、量で出る家具・家電を最初から分けて扱うことになる。前者は8日の猶予が使えるので持ち帰り前に考える余地があり、後者は引き渡した時点で終わると考えて、金額と品目を書面で確定させてから渡す。

相手を確かめる3点。古物商の義務と、2025年10月に増えた対象

中古品を買い取る事業には公安委員会の許可が要る。佐賀県警察が公開している古物商の義務の案内は、取引相手の真偽確認、取引記録の保存、不正品の通報を3大義務として挙げている(2026年7月31日確認)。玄関先で確かめられるのは次の3点になる。

  1. 許可証か行商従業者証。同案内では、古物商は行商をし、または競り売りをするときは許可証を携帯しなければならず、従業員は行商従業者証を携帯するとされている。自宅に来る買取はこの行商に当たるので、提示を求めてよい
  2. 本人確認をするか。古物商には取引の相手方の真偽を確認する義務がある。身分証の提示を求められないまま進む買取は、手順を省いていることになる
  3. 控えが残るか。売買を行った場合は取引の都度、帳簿または電磁的方法により記録し、3年間保存する義務がある。品目と金額を書いた控えをこちらにも渡してもらう

同案内には、古物の受取りは営業所または相手方の住居で行わなければならないという決まりも載っている(仮設店舗営業の届出をした者を除く)。家の前に停めた車の中で話が進む形は、この決まりから外れる。

確認と記録の義務には、対価の総額が1万円未満の取引という例外がある。ただし例外品として自動二輪車、原動機付自転車、家庭用テレビゲームソフト、CD・DVD等、書籍等が挙げられており、これらは1万円未満でも対象になる。

2025年10月から、室外機と電線が対象に加わった

この例外品は最近増えている。愛知県警察の案内によれば、金属類の盗難被害が急増し被害品が1万円未満で取引されている実態を受けて、古物営業法施行規則の一部を改正する規則が令和7年8月20日に公布され、同年10月1日から施行された。追加されたのは、エアコンディショナーの室外ユニット、電気温水機器のヒートポンプ、電線、グレーチング(金属製のものに限る)になる(2026年7月31日確認)。

実家の片付けや解体で外したエアコンの室外機や給湯設備の一部を買い取ってもらう場面は、この改正の範囲に入る。金額が小さくても本人確認と記録が要る取引になったということで、裏を返せば、何も確認せず現金だけ置いていく相手はその時点でおかしい。

もうひとつ、訪問を頼む前に確かめられるものがある。警視庁の案内では、古物商はホームページ上で許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称を表示しなければならないとされている(2026年7月31日確認)。相手のサイトでこの3点が出ているかを先に見ておく。

「無料で回収します」は買取ではない。許可が別になる

買取と処分は、同じ人が同じ日に運び出しても、根拠になる許可が違う。ここを混ぜたまま任せると、家財が誰の責任でどこへ行ったのか分からなくなる。

環境省の案内は、家庭の廃棄物を回収するには市区町村の一般廃棄物処理業許可か市区町村の委託が必要であり、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できないと明記している。理由も併記されていて、産業廃棄物処理業許可は工場や企業の廃棄物を処理するための許可、古物商の許可は中古品等の売買を行うための許可だからとされている(2026年7月31日確認)。

買取の許可しか持たない相手が、値の付かない家財まで引き取って処分するのは筋が違うことになる。遺品整理の現場では、この2つが1枚の見積書に同居する。確認するのは次の2点でいい。

  • 値が付かなかった物を運び出すのは、どの許可に基づくのか。自社の許可か、委託先の許可か
  • 委託先があるなら、その会社名と許可の種類を書面で出せるか

無料回収をうたう形にも同じ線が引ける。買い取れる物を無料で引き取ると言われたら、なぜ無料なのかを聞く。値が付くなら買取額が出るはずで、値が付かないなら処分の許可が要る。どちらでもない説明が出てきたときは、その場で止めておく。

自治体の側も同じ注意を出している。豊田市の案内は、軽トラック等でアナウンスをしながら回収したり、チラシやインターネットなどで宣伝したりして違法に廃棄物を回収している業者があるとし、遺品整理などを騙った無許可業者にも注意してくださいと書いている。古物商の許可では家庭や事業所の廃棄物を回収できないことも明記されている(2026年7月31日確認)。

重いのは、この先の一文になる。同じ案内は、不適正事案が発生した場合、排出者が罪に問われたり廃棄物撤去費用を請求される場合があると示している。頼んだ側にも跳ね返るという意味で、安く済んだつもりの選択が後から高く付く経路がここにある。

この線引きと、事業者に頼むときの許可の見分け方は遺品整理の費用相場|間取り別の目安と追加料金の内訳の見積もりの章にも沿えてある。

売る前に確認する相続の順番。処分が選択肢を消すことがある

買取は換金であると同時に、相続財産の処分でもある。民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めている。単純承認とみなされると、負債を含めて引き継ぐ立場が確定し、相続放棄を選ぶ道が閉じる。

裁判所の案内では、相続の放棄の申述は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないとされ、申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手と案内されている(2026年7月31日確認)。

次の状況では、売る前に立ち止まる。

  • 借金や連帯保証の有無がまだ分かっていない
  • 相続放棄や限定承認を検討している、または他の相続人が検討している
  • 相続人が複数いて、誰が何を受け取るかの話し合いが済んでいない

どの行為が処分に当たるかは、品物の価値や状況によって判断が分かれる領域になる。編集部は士業ではないので、線引きそのものをここでは決めない。3か月の期限が絡む話なので、迷ったら売却より先に弁護士か司法書士に相談する順番にしておく。

話し合いが済む前に売らざるを得ない事情もある。賃貸の明け渡し日が迫っている、遠方から何度も通えない、といった場合になる。そのときに残しておくものは3つある。売る前の写真、品目と金額が入った買取の控え、そして代金をどの口座で預かっているかの記録。この3つがあると、後から金額を疑われても説明が立つ。逆に、現金で受け取って誰かの財布に入った状態が続くと、金額の話が人の話に変わる。

相続人が1人で、負債の心配もなく、単純承認をすでに前提にしている場合は、この論点は消える。状況によって重さが変わる章なので、当てはまらないなら飛ばしてよい。

売れたお金に税金はかかるか

遺品を売った代金に所得税がかかるかどうかは、品物の種類と金額で分かれる。国税庁のタックスアンサーNo.3105は、家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得は課税されないとしたうえで、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除くと示している(令和7年4月1日現在法令等、2026年7月31日確認)。

課税の対象になる場合の計算は、同No.3152の総合課税の譲渡所得による。譲渡所得の金額は譲渡価額から取得費と譲渡費用を引き、さらに50万円を引いた額とされ、特別控除の額はその年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円と説明されている。所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、その2分の1が総合課税の対象になる(同基準日、2026年7月31日確認)。

売った物扱い
家具、衣服、食器などの生活に通常必要な動産課税されない
貴金属、宝石、書画、骨とうなどで1個または1組が30万円以下生活用動産として課税されない範囲
同じく1個または1組が30万円を超えるもの譲渡所得として課税の対象。50万円の特別控除がある

買取の解説記事には、年間50万円を超えたら申告が要るという書き方が見られる。50万円が引かれるのは譲渡益であって売却代金そのものではないので、入金額だけで判断すると読み違える。先に効くのは1個または1組が30万円を超えたかどうかで、その次に取得費と譲渡費用を引いた後の額を見る。

相続した物の取得費をどう置くか、相続税の申告が別にある場合にどう扱うかは、個別の事情で変わる。金額の計算そのものは税理士か税務署の管轄になるので、30万円を超える品が出た時点で相談先を確保しておくのが順番として早い。

細かい疑問への答え

形見分けの品も売っていいか

法律上の可否より先に、相続人のあいだで話が付いているかを確認する。誰のものになったかが決まる前に現金化すると、金額の妥当性まで含めて後から争点になる。放棄や限定承認を検討している人がいる場合は、とくに順番が効く。

値段が付かなかった物はどうなるか

買取の対象外になった物は処分の側に回る。遺品整理業者に一括で頼んでいる場合は作業費に含まれ、買取専門店に個別で依頼した場合は自分で処分先を決めることになる。売れる物だけ抜けた後の残りをどうするかまで決めてから、抜き出しに入る。

立ち会えないときに売ってもらえるか

写真での査定に対応する事業者はある。ただし訪問購入の書面交付やクーリング・オフは、書面を受け取った日が起点になる。誰が現地で書面を受け取り、いつこちらに届くのかを先に決めておく。

査定は無料と言われたが、何も売らなくてよいか

売らずに帰ってもらってよい。特定商取引法の訪問購入では、勧誘の要請をしていない相手への勧誘そのものが禁じられており、威迫して困惑させる行為も禁止行為に挙がっている。

買取代金は誰が受け取るか

相続人が複数いる場合、代金は遺産分割の話に含まれる。作業の場で1人が受け取って終わりにすると、後で説明が難しくなる。金額と品目の控えを全員が見られる形で残しておく。

売れなかった家具や家電の運び出しだけ頼めるか

単発の作業として依頼する方法がある。買取の依頼先とは別に、運び出しと処分だけを比べて頼む形になる。家電4品目が含まれるなら、リサイクル料金の扱いを先に確認しておく。

貴金属を売るときに身分証を求められるのはなぜか

古物営業法で、古物商には取引の相手方の真偽を確認する義務があるからになる。求められる側からすると煩わしいが、確認も控えもないまま現金だけ置いていく相手の方が、後で困る確率は高い。

値段を付けずに「まとめて引き取る」と言われた

買取なのか処分なのかを分けて聞く。買取なら品目と金額の控えが出るはずで、処分なら家庭の廃棄物を扱える許可が要る。どちらとも答えない場合、その場では渡さない。

査定額に納得できないまま契約してしまった

訪問購入に当たる取引で、対象になる品目であれば、書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができ、その期間は引渡しを拒める。家具や大型家電など適用除外の品目は対象外になる。判断が付かないときは消費者ホットライン188に相談する。

運び出しや片付けだけを比べて頼む

単発の作業を、料金と口コミを並べて依頼できます。買取に出す品を抜いた後の残りをどうするかが決まっていないときの選択肢になります。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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