布団の打ち直しの費用と、処分との損得比較

押し入れから出てきた布団を、直すか捨てるかで手が止まる。
先に結論を置く。綿の敷布団の打ち直しは1枚あたり約1万2千円から2万5千円、粗大ごみなら1枚数百円の自治体が多い(2026年7月31日確認)。差は十数倍あるので、金額より先に決まるのは、仕上がった布団を使う人がいるかどうかになる。
この記事の目次
直す・買う・捨てるは、3つの関門で切れる
打ち直しは、今ある布団を解体して中のわたを取り出し、機械でほぐしてゴミと湿気を落とし、新しい側生地で仕立て直す作業を指す。側生地は新品になるが、中に入るのは今のわたのままだ。買い替えとの違いはここに尽きる。
価格表を見に行く前に、次の3つで判断が切れる。1つでも落ちるなら、打ち直しは候補から外れる。
| 関門 | 見るところ | 落ちる例 |
|---|---|---|
| 1. 中わたが再生に耐えるか | 品質表示の詰め物欄。木綿わた・綿混わた・羊毛わた・羽毛なら可能性がある | 反毛、固わた、ポリエステル100% |
| 2. 仕上がりを誰が使うか | 使う人と置き場所が今決まっているか | 実家の押し入れに戻すだけ。泊まる人がいない |
| 3. 運ぶ手段があるか | 持ち込みか宅配か。宅配は片道ごとに送料が乗る | 実家が遠く、車も出せない |
抜けやすいのは2番目になる。直した布団も場所は取り続ける。実家に戻すだけなら、費用をかけて同じ問題を先送りしたことになる。家全体を片づける順番は遺品整理とは?時期と費用、業者に頼む前の準備に置いた。
打ち直しで変わるもの、変わらないもの
綿の布団は、解体して中わたを開綿機にかけ、ほぐして異物と湿気を落とし、足しわたで量を戻してから新しい側生地に入れる。羽毛は工程が別で、中の羽毛を取り出して専用の設備で水洗いし、必要なら羽毛を足して新しい生地に詰め直す。羽毛の場合は打ち直しではなくリフォームと呼ばれる。
丸洗いとの違いもここで分かれる。西川ストア公式(2026年7月31日確認)は、リフォームは解体して羽毛を丸洗いする作業、クリーニングは中の羽毛を取り出さずに専用の洗濯機で洗う作業だと区別している。中まで手を入れるかどうかが線になる。綿では、打ち直しに丸洗いを足せる店もある。ふとんのヨネタの完全きれいコースはシングル1枚2,200円、ダブル1枚2,970円の追加になる(税込、2026年7月31日確認)。
変わらないものも先に把握しておく。元の側生地は戻らない。ふとんのつゆきは側生地を返却できないと明記し、必要なら自宅で外して中わただけを持参するよう案内している(2026年7月31日確認)。祖母の柄の生地を残したいなら、申し込む前に伝える話になる。
打ち直せる布団と、出しても損になる布団
素材でほぼ結論が出る。各店が公開している受付条件を並べる。
| 中身 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 木綿わた・綿混わた | 打ち直しの標準的な対象 | ふとんのヨネタ |
| 羊毛わた | 受ける店が限られ、綿より高い | ふとんのヨネタ(羊毛わたコース) |
| 羽毛(ダウン50%以上) | リフォームとして可 | 昭和西川・コメリ |
| 反毛(黒い再生わた)・固わた | できない | 睡眠屋 |
| 毛ぼろわた(黒い、毛糸が混ざる) | 受け付けない | ふとんのヨネタ |
| 絹・樹脂素材の敷き寝具 | できない | 櫻道ふとん店 |
素材が合っていても、わたの寿命で断られることがある。ふとんのヨネタは、黒ずんだわたや繊維が短くなったわたは打ち直しを勧めないとし、理由としてつぶれが早い、固くなりやすい、干しても膨らまずほこりが出る、を挙げている(2026年7月31日確認)。
羽毛の条件はさらに細かい。昭和西川はダウン50%未満、綿やウールやポリエステルとの混用品、アイダーダックダウン使用品、肌掛けふとんを受けられないとしている。同じ工場で加工するコメリの案内では、充填量1.1kg未満、敷布団、ダウンケットも対象外になる(いずれも2026年7月31日確認)。
自分で断定する必要はない。多くの店が相談窓口を用意しているので、品質表示の写真と、綴じ目を少し解いて出した中わたの写真を送れば判断が返ってくる。押し入れで写真を撮る段階で半分は答えが出る。
綿と羊毛の費用。公開されている価格表で見る
相場を1つの数字で書く解説が多いが、実際は側生地のグレードとサイズで動く。金額を公開している2店をそのまま並べる。
札幌のふとんのヨネタはコース別に出している(税込、2026年7月31日確認)。
| 仕立て | おすすめコース | 満足コース | 羊毛わたコース |
|---|---|---|---|
| シングル敷布団 100×200cm | 12,650円 | 14,850円 | 15,950円 |
| シングル掛布団 150×200cm | 13,750円 | 15,950円 | 17,050円 |
| ダブル敷布団 140×200cm | 18,150円 | 21,450円 | 22,550円 |
| ダブル掛布団 190×200cm | 19,250円 | 22,550円 | 23,650円 |
わたが減っていれば足しわたが乗る。同店の追加わたは1kgあたり、綿80%とポリエステル20%の混合で1,870円、標準クラスの綿100%で3,080円、上ランクの木綿わた100%で3,520円、羊毛で4,950円(税込)。ロングサイズは1枚あたり1,100円の加算になる。
宅配専門の布団打ち直し工房(SUGIYA)は、綿100%サテン生地でシングル敷布団18,200円から19,800円、シングル掛布団18,700円から20,900円。平織生地だとシングル敷布団20,400円から22,600円、シングル掛布団21,300円から24,000円になる(税込・送料別、2026年7月31日確認)。同店は生地代と打ち直し代と仕立て代をすべて含んだ出来上がり価格だと明記している。
店の立地と生地で1万円台前半から2万円台前半まで開く。綿のシングルなら約1万2千円から2万5千円を仮置きし、実際の見積もりで詰めることになる。
羽毛はリフォーム。桁も納期も別になる
羽毛は業界団体が目安を公開している。日本羽毛製品協同組合は、羽毛の特性を維持するため5年から6年を目安にリフォームすることを勧め、期間は10日から20日、費用は仕上げ方法により2万円から6万円程度としている(2026年7月31日確認)。同組合は設備と方法を立ち入り調査した工場だけにリフォームラベルの使用を許可しており、仕上げはプレミアムダウンウォッシュとダウンウォッシュに分かれる。
メーカー系の実額も見ておく。昭和西川の羽毛ふとんリフォームは、エントリープランのホワイトダックがシングル28,900円、バリュープランのホワイトダックが31,900円から、同じくホワイトグースが48,900円から、プレミアムプランのホワイトグースが66,000円から、マザーグースが113,000円からと段階が分かれる(税込、2026年7月31日確認)。同ページには、工場で預かってから届くまで2か月半ほどかかること、サイズ変更は縮小のみで電話注文限定であることが書かれている。
ホームセンター経由だと価格帯が変わる。コメリは昭和西川の工場で加工するリフォームをシングル19,800円、ダブル29,800円(税込)で店頭受付しており、引き渡しまで約70日、繁忙期はさらに延びるとしている(2026年7月31日確認)。窓口によって同じ工場でも金額と納期が違うので、1社の見積もりで決めない。
買い替えと並べて、初めて損得が出る
打ち直し代の安さだけでは判断できない。同じ店で新品も扱っている場合、価格帯を突き合わせると差が見える。櫻道ふとん店のコラム(2026年7月31日確認)は木綿布団の打ち直しをシングル12,800円から、羽毛の打ち直しをシングル19,800円から、最高級の仕様で69,800円と公開している。羽毛の場合、この帯は新品の中級品と重なる領域に入る。
| 選ぶ道 | 1枚あたりの費用 | 手元に残るもの |
|---|---|---|
| 綿を打ち直す(持ち込み) | 約1万2千円〜2万5千円 | 中身は今のわた、生地は新品 |
| 綿を打ち直す(宅配) | 上記に送料が加算 | 同上 |
| 羽毛をリフォームする | 約2万円〜11万円 | 洗った今の羽毛、生地は新品 |
| 粗大ごみに出す | 数百円程度の自治体が多い | 押し入れの空き |
線を1本引くなら、打ち直し代と送料の合計が、同等品を新品で買う金額の6割を超えたら並べ直す。綿はこの線を割ることが多く、羽毛は最初から帯が重なるため、両方の見積もりを取ってから決めることになる。
もう1つ。新品はわたも生地も新品だが、打ち直しは中身が使い古しのままになる。同じ差額でも、わたの劣化が進んでいるほど割高な買い物になる。
処分の実費。自治体の金額と、決まり方の違い
比較の反対側にあるのが処分費になる。想像より安い。金額も区分も年度で動くため、確認した時点を添える。
| 自治体 | 品目 | 手数料 |
|---|---|---|
| 大阪市 | 布団・毛布(4枚まで) | 200円 |
| 大阪市 | スプリングマットレス(シングル) | 700円 |
| 名古屋市 | 布団 | 250円 |
| 名古屋市 | マットレス(ベビー用を除く) | 1,000円 |
大阪市の一覧は布団と毛布を4枚まで200円としており(ページ更新2025年8月6日)、枚数が出る家では効き方が大きい。名古屋市は布団も毛布も250円だが、同じページで収集日が2026年10月1日以降となる粗大ごみの手数料を改定すると告知している(ページ更新2026年6月19日)。今の金額が来年も同じとは限らない。
決まり方も自治体で違う。世田谷区は手数料が原則として解体前の大きさで決まるとし、自分で持ち込む場合は収集より半額程度になると説明している(ページ更新2025年2月19日)。横浜市は、折りたたんだ状態で一番長い辺が50cm未満か以上かで扱いが分かれる。切って小さくすれば区分が変わる自治体がある一方、解体しても金額が変わらない自治体もある。先に自分の実家の品目一覧を引く。
枚数が多くて運べないなら回収を頼む道もある。くらしのマーケットが公表する不用品回収の目安は軽トラックで8,000円から15,000円、2トントラックで25,000円から39,000円(2026年7月31日確認)。布団だけなら粗大ごみのほうが安く、家財ごと出すならトラック単位が早い。
羽毛だけは、捨てる以外の出口が用意されている
打ち直しにも買い替えにも進まない羽毛布団には、回収してリサイクルする仕組みがある。Green Down Project(グリーンダウンプロジェクト)は、使わなくなった羽毛製品を回収し、洗浄と精製をして再生羽毛にする取り組みで、賛同する企業や店舗が協力会員として回収を受けている(2026年7月31日確認)。
- 対象はダウン率50%以上の羽毛製品。羽毛布団のほか、ダウンジャケットや寝袋も含まれる
- 生地が破れていても変色していても問題ないとされている
- 運送で周りの製品に支障が出るほど汚れがひどいものは対象外
- 品質表示が消えている場合、店舗で確認できないため回収を断る店がある。触ってふわふわなら可能性があり、ごわつくならダウン率が低いと案内されている
- 受け付け方は店舗ごとに違う。持ち込める場所は問い合わせで確認する形になる
注意すべき境目がある。リフォームの受付も回収の対象も、どちらもダウン50%が基準になっている。ダウン率が低い羽根布団は、直す道も回収の道も閉じていて、自治体のごみに出すことになる。綿の布団にはこの回収の仕組み自体がない。
枚数で答えが変わる。客用一式と座布団
実家で数が出るのは、日常の寝具より客用の一式や座布団になる。綿わたなら、これらも作り替えの対象になる。櫻道ふとん店は座布団の打ち直しを1枚2,980円からとし、掛布団1枚から座布団2枚から3枚、敷布団1枚から座布団5枚程度が作れると公開している(2026年7月31日確認)。睡眠屋は敷布団から掛布団への仕立て替え、その逆も受けている。
ただし、全部を直す判断はほぼ通らない。使う場面が年に何回あるかで決まる。ここで2つの道は逆向きに動く。打ち直しは1枚あたりの単価がほとんど下がらないのに対し、処分側は大阪市のように布団と毛布を4枚まで200円とまとめて数える自治体があり、枚数が増えるほど1枚あたりが下がる。
直す枚数を先に決めて、残りは処分に回す。この切り分けをせずに一式まるごと見積もりを取ると、金額に驚いて全部が止まる。業者に頼むときの見積もりの読み方は遺品整理の費用相場|間取り別の目安と追加料金の内訳の内訳の分解がそのまま使える。
宅配で頼む流れと、申し込む前に文字で残すこと
店に持ち込めない場合は宅配になる。流れは各社おおむね共通している。
- 申し込む。サイズ、枚数、中わたの素材を伝える
- 集荷キットや梱包用の袋が届く。布団を詰めて集荷を待つ
- 店で中わたを診断する。足しわたの要否と最終金額が決まる
- 金額に納得してから着手。解体、打ち直し、仕立て
- 仕上がりが届く
金額が動くのは3番目になる。申し込み時の表示価格は標準的な状態を前提にしている。送料も無視できない。布団打ち直し工房の送料は1枚1パックの片道で2,500円、2,900円、3,200円、3,800円と地域で分かれ、沖縄と離島は見積もりとされている(2026年7月31日確認)。実家から出して自宅に届けてもらうなら往復で数千円が乗る。
申し込む前に、次の項目をメールなど文字の残る形で確認しておく。
- 表示価格に生地代と仕立て代が含まれるか
- 送料は往復のどちらが自己負担か。地域別にいくらか
- ロングサイズやセミダブル以上の加算はいくらか
- 足しわたの単価と、加算の上限を決められるか
- 診断で不可となった場合の扱いと、返送の費用
- 元の側生地を返してもらえるか
- 仕上がりまでの日数。打ち直しの間に使う寝具をどうするか
実家で起きやすい事故。処分を口実にした訪問販売
布団の処分を調べていると必ず当たるのが、押しかけ型の勧誘になる。国民生活センターの見守り新鮮情報第446号(2023年3月7日)は、次の相談を紹介している。処分してもよい布団はないかと男性が訪問してきたので、2階の押し入れにある座布団を引き取ってもらうことにした。すると業者が勝手に上がり込んで押し入れを開け、座布団ではなく羽毛布団などを勝手に出し、このままではダメになってしまうのでリフォームしたほうがよいと熱心に勧めてきた。根負けして約13万円の契約をしてしまった、という80歳代の事例だ。
同じ見守り新鮮情報の第267号(2016年11月29日)にも、布団を見せてほしいと訪問され、ひと月1万円の支払いだからと勧誘されて総額約40万円の契約に至った70歳代男性の相談が載っている。
助言も同じ資料に出ている。処分してもよい布団はないかと訪問されても、安易に家の中に入れない。布団の処分は事業者ではなく自治体のルールに従う。一人で対応せず、家族に同席してもらう。実家に親が一人でいるなら、この3つをそのまま伝えておく話になる。
契約した後にも手はある。訪問販売にはクーリング・オフや契約の取り消しができる場合があると同資料は案内している。個別の契約に適用されるかどうかを編集部が判断することはできない。消費者ホットライン188と、警察相談専用電話#9110が窓口になる。
出す時期と、細かい疑問への答え
年数の目安は出典で割れている。櫻道ふとん店は木綿の「敷いて3年、掛けて5年」という言い伝えを紹介しつつ、天然繊維の掛布団は7年から8年、羽毛は10年を打ち直しの目安として挙げている。日本羽毛製品協同組合は羽毛を5年から6年としている(いずれも2026年7月31日確認)。数字が割れるということは、年数だけでは決められないということになる。膨らみが目に見えて減った、側生地から中身が出てくる、という状態が先に立つ。
季節も効く。ふとんのつゆきは、布団が要らない夏のうちに打ち直しておけば、朝晩が冷え始める秋口に慌てずに済むと案内している。実家の片づけと重なる時期でもある。
打ち直しは何回までできるか
綿はわたの状態次第で複数回できる。ただし黒ずみや繊維の短さが出た段階で店から勧められなくなる。回数より、直した後に何年使うかで考える。
丸洗いと打ち直しはどちらを選ぶか
汚れだけが問題なら丸洗い、ぺしゃんこになっているなら打ち直しになる。両方必要なら、打ち直しに丸洗いを足せるコースがある店を選ぶと1回で済む。
カビや臭いのある布団はどうか
状態次第で断られる。ふとんのヨネタが挙げる「干しても膨らまずほこりが出る」わたに当たっていれば、費用をかけても寝心地は戻らない。写真か現物での診断で分かれる。
実家が遠くて持ち込めない
宅配で受ける店を使う。ただし送料が往復で乗るため、比較は必ず送料込みでする。実家から直接出して自宅に届ける指定ができるかは店ごとに確認する。
直した布団をどこに置くか
置き場所を決めてから出す。仕上がりはふくらむため、圧縮していた状態より場所を取る。置き場所が決まらないうちは、直す判断も前に進まない。
