仏壇は粗大ごみで捨てられる?自治体に出す場合の手順

仏壇を粗大ごみに出していいのか決めきれず、手が止まっている人は多い。
結論として、多くの自治体は仏壇を粗大ごみ(大型ごみ)として受け付ける。名古屋市と大阪市はいずれも1,000円。解体して指定袋に入れば無料で出せる市もある。ただし品目表に仏壇が載っていない市もあり、金額は自分の市の一覧で確認することになる(2026年7月31日時点)。
この記事の目次
仏壇は粗大ごみに出せる。ただし金額は市ごとに違う
仏壇を粗大ごみの対象外にしている自治体は、編集部が公開情報を当たった範囲では見つからなかった。宗教的な理由でごみに出せない、という制度上の制限はない。分かれるのは「いくらかかるか」と「品目表に仏壇という名前があるか」の2点だけである。
2026年7月31日時点で、各市が公開している手数料表を確認した結果は次のとおり。
| 自治体 | 仏壇の扱い | 手数料 |
|---|---|---|
| 名古屋市 | 粗大ごみ手数料のめやすに「仏壇」の記載あり | 1,000円(2026年10月1日の収集分から改定予定) |
| 大阪市 | 粗大ごみ処理手数料一覧に「仏壇」の記載あり | 1,000円 |
| 神戸市 | 大型ごみ。5kg以内で指定袋に入り口が結べるものは燃えるごみ・燃えないごみ | 申込時に案内 |
| 京都市 | 大型ごみ。手数料券は400円券の1種類で、枚数で金額が決まる | 申込時に必要枚数を案内 |
| 札幌市 | 手数料一覧に「仏壇」の記載なし。大きさ等を基準に案内 | 区分は200円・500円・900円・1,300円・1,800円 |
| 世田谷区 | 一辺30cmを超えるものが粗大ごみ。持ち込みは収集の約半額 | 品目一覧または受付センターで確認 |
幅で言えば、数百円から2,000円程度に収まる市が多い。一点で断定できないのは、同じ仏壇でも高さや幅で区分が変わる自治体があるためだ。札幌市のように一覧に品目名が無い市では、寸法を伝えて金額を案内してもらう形になる。
名古屋市は2026年10月1日の収集分から手数料の改定を予定している。ここで読んだ金額が数か月後には変わる前提で、申し込みの直前にもう一度確認してほしい。
全体の順番から確かめたい場合は仏壇の処分方法と費用|魂抜きから引き取りまでの順番を先に見ると位置関係がつかめる。
出す前に決める3つ。供養・親族・中身
粗大ごみの窓口は、閉眼供養(魂抜き)が済んでいるかを聞かないし、確認もしない。供養の有無はあくまで出す側の判断になる。だからこそ、申し込みの前に次の3点を片付けておくと、後から揉めにくい。
閉眼供養をするかどうか
菩提寺がある場合は寺に相談する。宗派によって呼び方と考え方が違い、くらしのマーケットの解説では浄土真宗は魂を抜く儀式ではなく遷仏法要または遷座法要にあたるとされている(2026年7月31日確認)。菩提寺が分からないまま自己判断で進めると、あとで親族から指摘される要素になりやすい。
親族の合意を先に取る
仏壇は名義のある財産ではないため、誰の同意が要るかが法的に決まっているわけではない。ただ実務上は、位牌や本尊を誰が引き継ぐかを決めずに本体だけ処分すると、後日の火種になる。相続財産の分け方そのものに争いがあるなら、そこは編集部の守備範囲ではなく、弁護士や司法書士に確認する領域になる。
引き出しと裏板の中身を出し切る
仏壇の引き出しや須弥壇の下からは、現金、通帳、印鑑、権利証、古い写真、手紙が出てくることがある。収集に出したあとでは取り返せない。引き出しは全部抜き、裏板と天板の隙間まで手を入れて空にしてから運び出す。
自治体に出す手順は5段階
どの市もおおむね同じ流れになる。順番を守らないと収集されずに残される。
- 高さ・幅・奥行きと、おおよその重さを測る。申し込みのときに必ず聞かれる。品目一覧に仏壇が無い市では、この寸法だけで金額が決まる
- 市の品目一覧で「仏壇」を探す。見つからなければ受付センターに寸法を伝えて金額を案内してもらう。横浜市は粗大ごみ受付センター(0570-200-530/045-330-3953)で確認できる
- インターネットまたは電話で申し込む。受付番号、収集日、出す場所、手数料が案内される
- 手数料券(処理券・シール)を買う。コンビニやスーパーの取扱店で購入する。大阪市は郵便局での販売を2025年3月31日で終了しており、券は払い戻しできない。札幌市、大阪市、世田谷区などはオンライン決済にも対応している
- 収集日の朝、指定時刻までに指定場所へ出す。札幌市は8時30分まで、京都市と世田谷区は8時まで。券に受付番号または氏名を書き、見やすい位置に貼る
札幌市の大型ごみインターネット受付は、シールや決済済みの紙を貼っていないために収集できず残置される事例が多発していると注意喚起している。貼り忘れは、そのまま1週間以上の放置につながる。
仏具・位牌・遺影は本体と分けて考える
仏壇本体を粗大ごみで出すとき、中身は同じ扱いにならない。素材ごとの分別に戻る。
神戸市は、5kg以内の重さでごみ指定袋に入り、袋の口をしっかり結べるものについて、木製・プラスチック製は燃えるごみ、陶器製・金属製は燃えないごみ、複数の素材でできているものは割合が多い素材の区分で出すよう案内している(2026年7月31日確認)。おりんや燭台のような金属仏具、湯呑みや花立てのような陶器は、この基準に沿って本体と別に出すことになる。
位牌、本尊、掛軸は判断が分かれる。菩提寺に返す、供養に回す、手元の小さな仏壇に移す、といった選択肢があり、ごみの分別より先にここを決めておく必要がある。遺影も同様で、写真として残すのか、額から外して処分するのかを家族間で決めてから作業に入ると、当日に手が止まらない。
先に外しておくもの
- 金具、取っ手、扉の蝶番(金属分別が必要な市がある)
- 電球や電池式のろうそく、電源コード
- ガラス戸、鏡板
- 線香やろうそくの残り(発火の危険があるため清掃工場側で嫌われる)
解体して燃やすごみに出す方法と、その限界
費用をゼロに近づけたいなら、解体して指定袋に入れる方法がある。神戸市の基準がそのまま判断材料になる。5kg以内で指定袋に入り、口を結べる大きさまで小さくできれば、木製部分は燃えるごみとして出せる。ただしこの基準は市によって異なるので、自分の市の分別辞典で「解体後の家具」の扱いを先に確認する。
現実的な注意点は3つある。
- 工具と場所が要る。のこぎり、バール、電動ドライバーがないと分解できない。屋内でやると木くずと金粉が散る
- 金箔・漆・金具が混ざる。木材だけに分けられない部分が必ず残る。金属や鏡は不燃側に回す
- 一度に大量には出せない。解体すると袋が何袋にもなる。札幌市は引越しや遺品整理で一時的に多量に出るごみについて別の案内を設けている。ごみステーションに一度に積むのはトラブルのもとになる
解体は費用の面では最安だが、労力と心理的な抵抗が最大になる方法でもある。自分の手でのこぎりを入れることに抵抗があるなら、この選択肢は最初から外していい。物置や家具まで含めて解体と引き取りを比べたい場合は物置の処分方法4つ|解体と引き取りの費用比較で費用の考え方が近い形で整理してある。
運び出せないときの3つの逃げ道
粗大ごみ収集は、家の中からの運び出しをしてくれない。指定された場所まで自分で出すのが前提になる。二階から降ろせない、一人では持てない、という段階で詰まる人が多い。
自分で処理施設へ持ち込む
持ち込みのほうが安い自治体がある。世田谷区は持ち込みが収集の約半額。大阪市は自ら処理施設に持ち込む場合、10キログラムごとに90円。京都市のクリーンセンターは100kgまで1,500円で、100kgを超える分は10kgごとに200円が加算される(2026年7月31日確認)。いずれも事前予約が必要で、車と積み下ろしの人手は自分で用意する。
高齢・要介護世帯の支援収集を使う
札幌市は要介護者等ごみ排出支援事業(さわやか収集)を設けており、大型ごみ収集センターへの電話で申し込む形になっている。同種の制度は自治体名と「ふれあい収集」「ごみ出し支援」で探すと出てくる。対象は世帯の状況で決まるため、条件は市に直接確認する。
運び出しから頼む
階段しかない、大型で分解できない、実家が遠く当日立ち会えない、という条件が重なるなら、運び出しごと依頼したほうが結果的に安く済むことがある。作業内容と料金を先に比べておくと、当日の追加請求を避けやすい。
粗大ごみで出せない・向かないケース
制度としては出せても、実際に断られる条件がある。
- サイズと重量の上限を超える。札幌市は単品で重量100kgを超えるもの、長さ2mを超えるもの、体積2立方メートルを超えるものを大型ごみ収集の対象外としている。大型の金仏壇はここに触れる可能性がある
- 収集または処理が著しく困難なもの。名古屋市は排出禁止品を明示しており、市の処理施設の機能に支障が生じる物は収集しないとしている
- 事業所で使っていたもの。家庭ごみの枠から外れる
- 造り付けで壁と一体になっている。建築工事側の扱いになる
制度の外の事情もある。集合住宅で共用のごみ置き場に仏壇を出すことへの抵抗、近所の目、実家が遠方で収集日の朝に立ち会えない、空き家で電気も水道も止まっている、といった条件は手数料の安さでは埋まらない。ここを無理に押し通すより、依頼先を変えたほうが早いことが多い。
依頼先別の費用を並べて比べる
自治体の粗大ごみが最も安いのは間違いないが、比較対象を知らないまま選ぶと後悔しやすい。くらしのマーケットが公開している方法別の相場は次のとおり(2026年7月31日確認)。
| 依頼先 | 費用の目安 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| 自治体の粗大ごみ | 数百円〜2,000円程度 | 収集のみ。運び出しと供養は含まれない |
| 菩提寺に相談 | 1万〜10万円 | 供養が中心。引き取りの可否は寺による |
| 仏具店に依頼 | 2万〜8万円 | 引き取りと供養。買い替え時に割安になる場合がある |
| 不用品回収業者 | 8,000円〜3.9万円 | 運び出しを含む。他の不用品とまとめられる |
| 遺品整理事業者 | 5万〜8万円(1K・1Rの場合) | 部屋全体の整理。仏壇単体の依頼ではない |
差額の中身は、供養が付くか、家の中から運び出してくれるか、他の物とまとめられるか、の3点に集約される。仏壇1点だけを自分で運べるなら自治体が合理的で、実家全体を片付ける途中なら1点だけ切り出す意味は薄い。サイズ別・依頼先別にもう一段細かく見るなら仏壇の処分費用の相場|サイズ別と依頼先別の比較に分けてある。
業者に頼むなら、許可の確認だけは飛ばさない
自治体を使わずに回収を頼む場合、確認する項目は1つに絞れる。市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか、または市区町村から委託を受けているか。ここだけである。
環境省は、産業廃棄物処理業の許可は工場や企業の廃棄物を処理するための許可、古物商の許可は中古品等の売買を行うための許可であり、家庭のごみの回収はできないと明示している。東京都環境局も、チラシに産業廃棄物収集運搬業や古物商の許可番号を記載して、家庭からのごみの収集運搬の許可を持っているように見せかけている例があると注意喚起している(2026年7月31日確認)。
トラブルの規模も公開されている。国民生活センターが2022年11月2日に公表した資料によれば、不用品回収サービスに関する相談は2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と推移している。東京都環境局は、不用品回収に対して年間約500件の苦情や相談が寄せられているとしている。
依頼前に確かめる4点
- 許可の種類と番号(自治体名の入った一般廃棄物収集運搬業の許可か)
- 書面の見積もり。積み放題や定額パックは追加料金の条件まで確認する
- 閉眼供養が料金に含まれるのか、別料金なのか
- 回収後の処理先。無許可業者に渡した物が不法投棄された場合、依頼した本人が排出者として疑われることがある
名古屋市も、市の許可のない回収業者に粗大ごみなどの処分を頼まないよう案内を出している。安さだけで選ぶと、結果的に処理料を二度払うことになりかねない。
判断の順番
迷ったときは、条件から機械的に絞れる。
- まず自分の市の品目一覧で「仏壇」を検索する。金額が出れば、そこが基準額になる
- 載っていなければ、寸法と重さを測って受付センターに聞く
- 供養をするかを決める。するなら寺または仏具店に先に連絡する。自治体の手続きとは切り離す
- 引き出しと裏板の中身を全部出す
- 指定場所まで自分で運べるか判断する。運べるなら自治体、運べないなら持ち込み・支援収集・業者の順で検討する
- 解体して指定袋に入れられる大きさなら、燃やすごみで費用をほぼゼロにできる。ただし工具と体力が要る
この記事の金額はすべて2026年7月31日時点で各自治体が公開していた情報にもとづく。手数料は条例改正で変わり、名古屋市のように改定時期が予告されている市もある。申し込みの直前に、自分の市のページでもう一度確認してほしい。
なお、仏壇が相続財産としてどう扱われるか、遺産分割でどう配分するかといった判断は、編集部の範囲を超える。金額の大きい仏壇や、相続人の間で意見が割れている場合は、税理士や弁護士に確認する前提で進めたほうがいい。
